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びおら弾きの哀愁

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びおらとクラシック音楽に関する覚え書き
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#びよら

びおら弾きの哀愁 1

びおら弾きの哀愁 1

ビオラという楽器は、同じバイオリン族のバイオリンやチェロ(本名はバイオリン・チェロ)に比べると、知名度も音質もマイナーである。それを知っていてなぜビオラを弾くという選択をしたのだろう。しかも気づいたらアマチュア歴20年を超えているではないか。

その間にさまざまな作曲家、指揮者、演奏団体と関わり、もう限界だもうやめようと思いつつ、そのたびに音楽の神様に首根っこを捕まえられては引き戻されてきた。

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びおら弾きの哀愁 2

びおら弾きの哀愁 2

前の記事で、ビオラが受け持つのはほとんどリズムや和音作りと書いたが、実際は作曲家によってビオラの扱い方は月とスッポンぐらい違う。

シューベルト
たとえば「未完成交響曲」。おいしいメロディがバイオリンとチェロの間を言ったり来たりするのを、あたかも焼きたてのパイが右から左、左から右へと行き来するのを眺める気分でリズムを刻み、和音を作らなくてはいけない。あるいは金管楽器が悲壮なテーマをキメている時に裏

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びおら弾きの哀愁 3

びおら弾きの哀愁 3

今回はビオラ特有の音色の話。

協奏曲やソナタについてもやはりマイナーなビオラである。
ビオラのための楽曲は、主にバロック時代と近代以降に集中しており、ベートーベンやブラームスが活躍したロマン派時代に作られたもので有名曲はほとんどない。

理由はある。バロック時代にはビオラの先祖にあたるビオラ・ダ・ガンバやビオラ・ダ・ブラッチオなどヴィオール属の楽器が活躍していて、それ用の協奏曲が何曲も作られてお

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びおら弾きの哀愁 4

びおら弾きの哀愁 4

ビオラ弾きはどのようにしてビオラ弾きになるのだろう。これはなかなか興味深い問いである。というのも、子供用のビオラは存在しないからだ。

バイオリンについては、周知のように子供の身体の大きさに合わせて1/4サイズや1/2サイズなどを選べるようになっている。チェロにも子供用サイズがある。ビオラはどうするのかと言えば、ほとんどの場合、成長したバイオリン奏者がビオラに転向する。掛け持ちで弾く場合もある。(

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