「あんなに幸せそうだったのに…」の裏側はこうかもしれない。

私は29歳の既婚者で、1歳の可愛い娘と旦那の3人暮らしだ。

娘は毎日少しずつできることが増え、感情豊かになり、可愛いなんて言葉では伝えきれないくらい可愛い。なんなら食べたい。

旦那は私のどタイプの顔で、性格もまっすぐで優しく、仕事もデキる完璧な人だ。私にはもったいなくて心底申し訳ない。

自慢みたいに聞こえてしまうかもしれない。
でも、冗談抜きで、毎日 ”愛おしい” に包まれている。

一方で、真実は毎日毎日繰り返される日常の中にある。

仕事で帰りが遅い旦那の分もひとりで育児に励む平日。溜まった洗い物の山を片付け、しばらく放置して生乾き寸前の洗濯物を慌てて干し、電子レンジとフライパンを駆使して旦那と娘に別々のご飯を作り、娘が撒き散らしたご飯粒を拾い、なかなか寝付かない娘を根性で寝かしつけながら私は

「本当に幸せな日々だ」
「本当に恵まれている人生だ」

と心の中でつぶやく。もちろんその気持ちに嘘はないし、前述した通り私は今の生活や状況に何の不満もない。

でも最近、感情に少しだけ変化があった。きっかけは、家の近くにあるセブンで毎日のように働いている店員のお兄さんと話すようになったことだ。本当に毎日レベルでいるので、大学生か若めのフリーターだと思う。

話題は、私がいつも一緒に連れている娘。

お兄さんは子供がすごく好きなようで、いつも変な顔をしたりジェスチャーしたりして笑わそうとしてくれる。

最初は、娘を介して目が合ったり頭を下げたりする程度だったのだが、最近では「今日は機嫌がいいんですね」「眉間にしわが寄っちゃって可愛いですね」などと話しかけてくれるようになった。

個人的な話をすると、私は20歳のときに半年付き合った人と別れて以来、25歳まで彼氏ができなかった。

そのあと知り合ったのが今の旦那で、それ以来浮気なんてしたことがないし、したいと思ったこともなかった。

でも最近、何かと理由をつけてセブンに行くようになってしまった。

バナナはウェルシアの方が安いのに、食パンは西友の方が安いのに、ヨーグルトはまだ切らしていないのに、今日は雨なのに。

いつの間にか、セブンに行ってお兄さんと話すことを毎日の生きがいにしている自分がいることに気づいてしまった。

もちろん、このあと浮気に繋がるという話ではない。既婚者なのにコンビニのお兄さんを好きになりそうな自分に罪悪感があるわけでもない。

これは私なりの策略なのだ。

こういう少しの胸のときめきをエサに、家庭という戦場で働く専業主婦は今日も頑張れる。

大きなククリで見れば「幸せ」。

でも、小さなことを言えば大変なことなんて挙げても挙げてもキリがない。愚痴や弱音を吐いたり浴びるようにお酒を飲みたい日だってある。

そんな言葉にならない小さなモヤモヤたちを、私は自分で昇華しなくてはならない。完璧な旦那と可愛い娘を持つ私に、言い訳はできないから。

あんなに幸せそうだったのに…
完璧なカップルだと思っていたのに…

という破局シーンをよく見る。

もちろん裏に知られざる事情があった人もいると思うが、私のように「本当に何の問題もなかった」「誰も悪くなかった」という状況で、暗雲が立ち込めることだってあるんだと思う。

そんな自らの危機を察知した私は、今の幸せをうっかり手放さないように、

” 知り合い以上 片思い未満 "

くらいの良い塩梅のスパイスを自らまとって生きていくことを決めた。

自分の機嫌は自分でとるべきだし、自分のメンタルバランスは自分が一番よくわかっているのだから、微調整できるならこんなのも悪くない。

なんて、誰にも言えない話をここだけに書いた。

おわり。





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