アイデア開発ワークショップのつくりかた_企画編
さいきん、大学生向けにワークショップをやったり、社会人の人たちにワークショップを実施することが増えてきた。あるとき、自分のしごとのことを大学のときの友人に話したときに「ワークショップの設計ってどうやってる?」と聞かれた。けれど僕はあまりあまりうまく言語化できなかった。
特に会社に続々と後輩(といっても同い年や年上だったりすることもあるのけれど)がはいってきて、これから僕が後輩とかに教える側になったときにまずいぞと思い、自分の中での言語化のために思い切って筆をとることにした。3STEPで誰でも基礎的なワークショップが設計できるようにかいています。
僕もまだゴリゴリの若手なので、先輩諸氏や専門家の皆さんからすると「それはちゃうやろ」など多数のツッコミが入りそうですが・・
それはさておき、さっそく。
STEP1|ワークショップのゴールと目的をきめる 🚩
僕がつとめているのはエージェンシー(代理店)なので、基本的にはクライアントがいる。なのでワークショップをやるときはたいていクライアントの中でゴールや目的が決まっていることが多いので、まずはそこを確認します。
もしあなたが企画する側だったら、次のような項目について考えてみよう。
■ 最終的なアウトプットはなにか?(アイデア?シーンのスケッチ?)
■ このワークショップの目的はなにか?(研修?クオリティの高いアウトプットを出すこと?)
例えば、最終的なアウトプットがプロダクトアイデアで、しかも言葉でなくスケッチが出ていることが望ましい、とする。となると、最終的には必ず絵に落とす必要があり、アイデアを決めて、それを絵にするという設計が必要になってくる。
また、目的によっても変わってくる。例えば研修が目的だったら、1つ1つのワークの意味について丁寧に説明する必要があるし、高いアウトプットを出すことが目的だったら、参加者に提供するインプットを工夫したり、細かくレビューを入れるなどの工夫が必要になってくる。
このように、まずゴールと目的の2つを考える。山登りをイメージしてもらえるとわかりやすいけど、まず到着地点を決めることからはじまる。その後、どの経路で登るのか、それぞれの経路にはどんなリスクが有るのかを考える。
ということで、次に経路のデザイン、ワークショップの全体構成の考え方について説明します。
STEP2|ダブルダイヤモンドで全体の構成をつくる 💎
ワークショップデザインといえば、ミミクリデザインさんが有名。僕もイベントに参加したことがあるけれど、ミミクリさんの紹介する理論は参考になるものが多い。
ミミクリの一員でもあり、赤ちゃん向けのワークショップなどをやられている臼井さんがこんなことをつぶやかれていた。
上にあるように、多くのワークショップの構成は拡散→収束→拡散→収束という構造になっている。ダブルダイヤモンドという有名な考え方があって、たとえば、下の写真はあるワークショップで参加者に見せたものなんですが、
この図にあるように、だいたいのワークショップとはものすごくシンプルです。まずはリサーチしてインプットしましょうよ、じゃあそれをみんなでもちよって共有して、統合していきましょうよ、じゃあどこに着目するか/何が問題なのかを明らかにしましょうよ、じゃあそこからアイデアを考えましょうよ、出てきたアイデアをみんなで発表して、最終的に1つのアイデアにしましょうよ、という、アイデアを生み出すワークショップの構造って言ってしまうとこれだけの話。
ただし、これはあくまで基礎。実際にはいくつか工夫が必要です。例えばアイデアのクオリティが求められる場合には、インプットのクオリティを上げたり、そもそもこのアイデアを出すフェーズを1回じゃなくて何回もやったり、あとは専門家や講師にアイデアをレビューしてもらう時間を設定することでアイデアの質を高める、などなど。
また、たっぷり1日使えればいいけど、2時間しかありませんよ、とか、場合によっては1時間、30分のときだってある。(そもそも30分しか取れないなら、ワークショップの必要ある?とか別日に改めてやろうよという話ではあるのだが) そういった時間が限られているときにも、どこかのワークを削ったりなどの工夫が必要になってくる。だからダイヤモンドは必ずしも2つではないし、3つになったり4つになったりもする。ただ、基本は2つで考えたほうがわかりやすい。
STEP3|1つ1つのワークを詳細を詰めていく 📒
目的とゴールを整理して、ダブルダイヤモンドで大きな構造を設計したら、最後に1つ1つのワークの設計を考えていきます。ここで考えないといけないのが以下の4つ。
■ どのようなワークをやるのか?
■ それをどのくらいの時間でやるのか?
■ どんな道具を使ってやるのか?
■ 参加者がつまづきそうな部分はどこか、その対策はなにか?
そもそも何をやるのか?というところなのだけれど、多くは型が決まっている。そしてだいたいPost-itとサインペンがあれば成立する。
先程ダブルダイヤモンドを紹介したけれど、ダブルダイヤモンドがワークショップ全体の構造で、その中に拡散と収束という2つのモードがある。そして、拡散と収束のそれぞれでやることはだいたい決まっています。
【拡散】
① 個人作業によって、各メンバーの中に情報(リサーチでの発見、ブレスト時ならアイデア)が発生する
② 各人の中にある情報を媒体(post-it, A4白紙など)に書き出し表出させる
【収束】
① 媒体に表出した各自の情報(発見/アイデアなど)を全員が見やすいところに貼り出し、意図を共有する
② それらを目的に応じた選定基準に沿って、絞っていく(投票など)
あとは、具体的なタスク単位に分解していって、それぞれに時間を割り振っていく。初めてなら難しいかもしれないが、慣れてきたら参加者がつまづきそうなポイントをあらかじめ想定しておいて、躓いた際の対策を考えておいたり、ワークの設計に反映させておく。
また、STEP1で確認した目的やゴールに応じて、ワークの内容を細かく調整していきます。例えば最後にアイデアを絵で書くのがゴールだったら、アイデアをpost-itに書いてもらうときに、文字でなく絵で書いてもらうとか。
そういった、メソッドだったり細かなワークのアイデアについて1つ1つここで紹介していくのは難しいので、参考になりそうな書籍を貼っておきます。
あとは、ワークショップが始まる前に、アイスブレイキングとしてちょっとしたチームワークが必要なワークをいれておくなどですかね。
・・・・・・
というようにワークショップを設計することができます。色々書いたけど意外と簡単だと思いませんか。
ちなみに、今回は企画編、どのようにワークショップのプログラムを考えるのか、というところをまとめようと思います。そのあと実施に向けてプログラムをつくったり、投影資料をつくったり、備品を揃えたり、という話はボリュームの都合上、また別の機会にします。
ちなみにワークショップまわりの話題は下のマガジンに色々まとめていますので、もし興味あれば読んでみてください。ワークショップの備品に関する話もあります。👇
それでは、また会いましょう!
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