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90秒で読む!コンサルタント「読書日記」(第42回)

「2021年中小企業白書」(中小企業庁 2021年4月23日)

 今年の「中小企業白書」では、「第2部 危機を乗り越える力」の「第3章 事業承継を通じた企業の成長・発展とM&Aによる経営資源の有効活用」において、100ページ以上にわたり、M&Aの重要性について分析している。
 第1節では、「事業承継を通じた企業の成長・発展」として、休廃業・解散や経営者の高齢化の状況について概観し、その上で事業承継の動向や事業承継実施企業のパフォーマンスについて分析している。また、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、経営者の事業承継に対する考え方にどのような変化がみられたのかについて分析していて、大変興味深い内容である。
 主な内容は、①経営者の高齢化の進展等に加え、感染症の影響もあり、2020年の廃業件数は過去最多を記録した。②その中には、高い利益を生み出す企業も多数存在しており、こうした企業の経営資源をいかしていくことが重要である。③事業承継後に販路開拓や経営理念の再構築など新たな取組にチャレンジする企業が多く、「新たな日常への対応」を含めて、企業の成長・発展を促していくためにも事業承継を推進することが重要である。
 第2節では、「M&Aを通じた経営資源の有効活用」として、中小企業のM&Aの動向や実施意向について分析している。
 主な内容は、①事業承継策の一つであるM&Aに対するイメージは向上し、件数は増加している。売買双方が事業規模拡大を主な目的としている一方、売り手側は雇用維持を目的としている割合が最も高い。②M&A実施後は多くのケースにおいて譲渡企業の従業員の雇用は維持されており、M&Aは売り手側にとってもメリットがある。
 事業承継は、企業が更に成長するための転換点と言える。M&Aもまた買い手・売り手双方にとって企業の成長につながる機会と言える。事業承継やM&Aを通じて、これまで企業が培ってきた経営資源を有効活用し、我が国の中小企業が更なる成長・発展を遂げることを期待したいと述べている。




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