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90秒で読む!コンサルタント「読書日記」(第30回)

「中小M&A推進計画」(中小企業庁 2020年4月28日)

4月28日に、中小企業庁が今後5年間に実施することが求められる官民の取組を「中小M&A推進計画」としてとりまとめ公表した。重要な取り組みも多数盛り込まれた非常に読み応えのある内容となっており、関係者は必読であろう。

本計画は、昨年10月に山本昌弘明治大学教授を座長とする「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」が設置され、計6回開催され、とりまとめられた報告書であり、中小企業が培ってきた貴重な経営資源を将来につないでいくことを目的としている。

本計画では、中小M&Aの意義として、①経営資源の散逸の回避、②生産性向上等の実現、③リスクやコストを抑えた創業の3つであるとしている。その上で、案件規模によって、M&A支援機関の支援内容等に差があること等を踏まえ、案件規模に応じてきめ細かに対応するとしている。

対応の方向性として、①小規模・超小規模M&Aの円滑化、②大規模・中規模M&Aの円滑化、③中小M&Aに関する基盤の構築の3つに整理した上で、それぞれの課題を以下の7つであるとしている。

①ー1:支援を必要とする中小企業(譲渡側)の数が膨大で対応しきれない①ー2:最低限の安心の取組がおろそかなケースがある。

②ー1:M&A支援機関の支援の妥当性を判断するための知見が不足している中小企業が存在

②ー2:M&A後の経営統合(PMI)の取組等が不足

③ー1:事業承継が他の経営課題より後回しにされている

③ー2:中小M&Aに特有の制度的課題の存在

③ー3:M&A支援機関の質を確保する仕組みがない

これらの課題に対する具体的な対応策について、期限を明示した工程表となっているところが、本計画の特徴である。

これらの中には、2021年度中に、①M&A支援機関に係る登録制度の創設、②M&A仲介に係る自主規制団体の設立も含まれている。



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