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上腕骨通顆骨折、高齢者の治療は難しい?偽関節になるリスクとその対策を徹底解説!

みなさん、上腕骨通顆骨折って聞いたことありますか?
高齢者の肘に近い部分で骨折するんですが、
これがなかなか厄介なんですよ。
特に高齢者になると、治療が難しくなる。
骨が脆い「骨粗鬆症」が絡んできて、
骨折部分がうまく癒合しないなんてことがよくあります。
今回は、手術をしたにも関わらず偽関節
(骨がちゃんとくっつかない状態)になった事例を基に、
問題点と今後の対策を探っていきましょう。

背景:高齢者の骨折は要注意!

高齢者の骨折って本当に怖いんですよ。
転倒して骨が折れるだけでなく、
その後の治療がめちゃくちゃ難しくなるんです。
理由は簡単、骨粗鬆症です。
これ、高齢者がかかりやすい病気で、
骨がスカスカになって脆くなってしまうんです。
そんな状態で骨が折れると、
骨がうまく癒合しないことがよくあります。

今回の事例では、86歳の女性が室内で転倒して
上腕骨通顆骨折を負いました。
彼女は、過去に脳内出血を経験しており、
右上下肢に不全麻痺がありました。
この背景から、転倒は非常に深刻なものになり、
手術後に偽関節となってしまったというケースです。
高齢者における骨折治療の難しさをよく表した事例です。

方法:手術で治療、しかし結果は…

では、どうやって治療したのか?
手術の流れを見ていきましょう。
骨折部分は、K-wire(細い金属線)を使って仮固定され、
外側にはテンションバンドワイヤリング、
内側にはプレートとスクリューを使って固定しました。
これが通常の手術方法なんですが、ここからが難しいところ。

まず、術後すぐに問題が発生しました。
K-wireが皮膚から露出し、
一部の固定具が外れてしまったんです。
さらに、軽度の感染症が発生。
手術から4ヵ月経過しても、
骨折部分の骨癒合は見られず、
最終的には偽関節になってしまいました。

固定具が外れる問題や感染は、
高齢者特有の問題です。
免疫力が低下しているため、
手術後に感染しやすく、
骨が癒合する力も弱い。
だからこそ、骨折が治りにくく、
結果として偽関節に至ってしまったんです。

結論:偽関節の原因は?

ここで気になるのは、
なぜ偽関節ができたのか?
その原因を探っていきます。

1つ目の原因は、手術時の固定力不足です。
骨粗鬆症があると、固定具をしっかりと骨に装着することが難しいんです。特に高齢者は骨が脆いので、
プレートやスクリューの効果が十分に発揮されないことがあります。
今回の症例でも、プレート固定が行われたものの、
完全な固定が得られなかったことが偽関節の原因とされています。

2つ目は、術後の軽度の感染です。
感染が起こると、炎症が広がり、
骨がうまく癒合しない原因になります。
今回のケースでは、感染は軽度でしたが、
それでも骨癒合を妨げる大きな要因となりました。

さらに、高齢者特有の問題として、
リハビリの困難さが挙げられます。
リハビリが必要なのは当然ですが、
全身状態が悪い高齢者や認知症の患者では、
リハビリに十分に協力できないことがあります。
これも骨折部の治癒を妨げる要因となります。

今後の対策:治療の改善策は?

では、どうすればこのような問題を防げるのでしょうか?
ここで今後の治療に向けたポイントをまとめます。

まずは、骨粗鬆症対策が必要です。
高齢者の骨折治療において、
骨粗鬆症を無視しては治療が進みません。
手術前にしっかりと骨密度を評価し、
必要であれば骨を強化する治療を並行して行うべきです。

次に、感染予防が非常に重要です。
手術後の感染は、骨癒合を妨げる大きな要因なので、
術後管理を徹底し、早期に感染症の兆候を察知することが大切です。
高齢者は免疫力が低いため、
感染しやすいということをしっかりと考慮する必要があります。

また、リハビリのサポートも欠かせません。
術後のリハビリがうまくいかないと、
骨折が癒合しないばかりか、関節の動きも悪くなります。
特に認知症の合併症がある患者では、
リハビリが困難になることが多いため、専門のケアが必要です。

まとめ:高齢者の骨折治療に慎重さが求められる理由

今回の症例は、高齢者における骨折治療の難しさをよく表しています。
偽関節の発生は、固定力の不足や感染症、
リハビリの困難さといった高齢者特有の問題が原因でした。
今後の治療においては、
これらの問題に対して慎重なアプローチが必要です。

高齢者における骨折治療では、
手術方法の改善や、より適した固定具の選択が重要です。
また、術後のリハビリテーションや感染予防にも
十分な注意を払うことが求められます。
これにより、高齢者でも安心して手術を受け、
良好な結果を得られるようになるでしょう。

偽関節や感染を防ぐための手術方法の改善が進めば、
今後さらに治療結果の向上が期待できるはずです。
骨粗鬆症や感染リスクが高い高齢者でも、
より安全で確実な治療ができる未来に期待しましょう!


  • タイトル: 骨接合後偽関節となった高齢者上腕骨通顆骨折の一例

  • 著者: 森山病院 整形外科 仲 俊之, 岡本 巡, 有山 弘之, 井上 謙一

  • 掲載誌: 北整・外傷研誌, Vol. 23, 2007

  • ページ: 60-63

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