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全員一致で「やってよかった」。創業2年、10人規模のスタートアップがミッション更新に踏み切った話



創業から2年、NYCでは新しいミッションを作成しました。

「その仕事を、未来へつなぐ。」

noteでは、メンバー全員で行った新ミッション刷新プロジェクトの全貌を振り返るとともに「10人規模のスタートアップが、なぜ今ミッション刷新を行ったのか?」「会社の”今”と”これから”に向き合うことで社内に起こった変化とは?」「そもそも”10人の壁問題”はなぜ起こるのか?」といった内容をまとめていますので、会社経営や組織運営にご関心ある方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です!

今回は前編ということで、7か月にわたるプロジェクトの統括を務めた、ヴァイスプレジデントの吉田さんにインタビューしました。

<ヴァイスプレジデント 吉田 幸司>
シャープ株式会社入社。国内子会社の経営管理に従事。 その後、国内ブティックおよびデロイトトーマツコンサルティング合同会社に移り、戦略・BPR・IT導入などの幅広いPJに従事。官民ファンドである地域経済活性化支援機構株式会社(REVIC)にて、ベンチャーおよび中小企業向け投資業務に従事。フロンティア・マネジメント株式会社の経営執行支援部門にて、PEファンドを主要クライアントとしたエグゼキューション支援および経営支援に従事。2023年6月NYC株式会社入社。


今、改めてミッションを見直した背景

ーー改めて、ミッション刷新プロジェクトが始まった経緯を教えてください。
最初のきっかけは、去年7月頃、全員参加で行っている事業戦略会議での議論でした。旧ミッション(中小企業投資の変革を通じて、昨日より良い社会を実現しよう)に対して「スタートアップらしい切れ味がない」「”昨日より良い社会”や”変革”という言葉に解釈の幅があり、ふんわりしてしまっている」といった意見が出てきました。

経営理念は仕事に取り組む姿勢や日々のマインドにも影響すると考えています。自分たちはもちろん、採用候補者の方やこれからNYCを知っていただく方にも、もっとワクワク感を持っていただけたらいいなと。それならば、会社を挙げてミッションの刷新に取り組んでいこうということで議論がスタートしました。

2年前、創業当時の旧オフィス

いきなり頓挫?うまくいかないからこそ、プロセスを見直し議論が深まった

ーーまずは社内で具体案を出し合うことになったと聞いていますが、実際にお互い持ち寄った内容を見てどう感じましたか?

いきなりミッションの具体的な文言、完成形を出し合うことから始めたので、出てきた内容がバラバラだったんですよね。言葉のニュアンスの違いもありますし、社会に対してどんな価値を提供するかといった広い書き方もあれば、もっと手前の投資先をどう幸せな状態にしていくか、といった目線の違いもありました。

このままでは収束しなくなるぞ、ということで一旦この場は締めることにしました。ただ、いきなり完全形から入ってしまったので議論を尽くせなかったという心残りもあったんです。じゃあもう少し時間をかけて、プロセスを踏み、プロジェクト化してみんなで会社の今とこれからに向き合っていこうということになりました。

まず議論を切り分けて、NYCとして向き合うべきはミッションの方向性や、そもそも我々が提供できる価値は何かといった前提の擦り合わせとし、最終的な言葉選び・メッセージを研ぎ澄ますという段階はコピーライターの長嶋さんにお願いすることにしました。

ー9月にキックオフミーティングをした後、11月、12月と2度の合宿を開催しました。具体的にどんな議論をしたのでしょうか?

社内で3つのチームを作り、「NYCの独自性のある強みは何か」「中小企業投資・経営を取り巻く今の状況、10年後どうなっているか」「そもそも優れたミッションには何が必要か」など、チームごとに議論を深めていきました。

中間報告もはさみつつ、一旦11月に社内で合宿を行いましたがこの時に参加できない人もいたため、改めて12月の全社合宿の場で時間を取りました。それぞれの調べた内容や議論を持ち寄りつつ、現状の課題や中長期的にNYCとして事業をどう成長させていくかといったこれからの話もしました。

社外合宿の様子

プロジェクトとして時間はかかりましたが、2度の合宿や議論を経て社内の目線合わせもでき、NYCが創業した当時と比べると競合もものすごく増えているよね、など改めて気づいたこともたくさんあったんです。

そして生まれた新ミッションと、NYCのこれから

ーー紆余曲折を経て生まれた新ミッションを聞いて、どう感じましたか?

いい感じにエッセンスを出していただけましたよね。

中塚さん(代表)のオーダーとしては社内の納得度が優先としつつ、例えば投資検討先の方々とお話させていただく時にもわかりやすい方がいいよね、という話はしていました。中小企業経営者には年配の方も多いですし、我々の事業がわかりやすく伝わるフレーズだと思います。

これまでの旧ミッションでも伝わる部分はあるのですが、新ミッションと比べると少し自分たち目線が強かったのかな。社会にとってNYCがどんな価値を提供できるか、どんな未来を実現していくかといった視点は薄かったのかもしれません。

ーー確かに、新ミッションは小学生でも伝わるくらいのわかりやすさですね。とはいえ旧ミッションでも入社後のカルチャーフィットに課題はなかったような印象もありますが…。

もちろんNYCに集まっているのは日本の中小企業を救いたい、力になりたいという想いを持ち、泥臭いことにも取り組める人たちばかりです。

実際、プロジェクトをスタートするにあたって「今やらなくてもいいのでは?」という声もありました。ただ、それでも「(旧ミッションが)しっくりこない」というのはみんなの共通認識としてあったように思います。

2024年は新入社員も続々入って、投資先も増え、NYCが会社としてビジネスを研ぎ澄ましていく段階に入っていくタイミングです。今、改めて全員で目線を合わせて、足元を固めることができたのは結果としてよかったと思います。

スタートアップが急成長を止めないために、ミッションを掲げる理由

ーー10人規模のスタートアップではミッションやビジョンにこだわるよりもサービスや顧客に向き合うべき、といった考え方もあるようです。今ミッションを刷新してよかったと感じる点は他にありますか?

今ユニコーンと呼ばれる大企業でも、10人規模の段階でミッション・ビジョン・バリュー(以下MVV)に妥協なく取り組むことで成功している事例やデータがたくさんあります。だから今のNYCの規模でミッションに向き合うということには、私自身は迷いはありませんでした。

そもそもスタートアップはなぜ急成長・急拡大しなければならないのか、それは社会が抱えてる課題を解決し、より良い世界を実現したいからです。ミッションを研ぎ澄ますことで組織の求心力が増せば、組織が拡大してもあるべき姿を見失わず、一体感をもって成長し続けることができます。

昨年10月、新オフィスへ引っ越した当初の様子。まだゆとりがあります。

また、競合が増える中で優秀な人たちを巻き込む為には、我々の経営理念や立ち位置を明確に打ち出していく必要があります。事業の根幹であるミッションにこだわり抜くことでNYCの魅力をもっと多くの人に最適な形で知ってもらえたら、更なる成長スパイラルを生み出すことができるのではないでしょうか。

実は、合宿が終わってプロジェクトがひと段落した頃にみんなが「やってよかったね」と言ってくれたんです。

まだミッションの完成形は出来上がっていない段階でしたが、チームを組んで、情報を集めて、シェアしてというプロセスを踏むことで認識のずれが本当に少なくなった。創業メンバーと同じくらいのレベルで目線が合い、一体感を持てたことは大きな収穫だったと感じます。

ーーその一方で、これから入社する人たちに向けて、ミッションの浸透や目線合わせをどうしていくか、という課題は残りますね。

そうですね。現状、NYCではきちんとしたオンボーディングも行えていません。異業種からの転職者も増えていますし、今回のプロジェクトのように定期的に自社の立ち位置を知る、事業や業界に対する理解を深めるような社内イベントを定期的にやってもいいよね、というアイデアも出ています。

またプロジェクトの中でも、我々と同じようなスモール・マイクロキャップという領域に参入する投資会社がどんどん出てきていることがわかりました。だからこそ、ここから1.2年で会社としてどう実績を築いていくかが勝負になりますし、そのためには組織としての求心力を高め、足場を固めないといけません。

社外合宿中、レクリエーションの様子

時間も手間もかかりましたが、10人の壁を越えてスケールアップしていく、創業から2年が経ち競合が増え、NYCとしてもビジネスをもっと研ぎ澄ましていく段階で、ミッションに向き合うことができたのは組織にとってもプラスになったと感じています。

終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!7か月にわたるミッション刷新プロジェクトの流れと、そのプロセスを通じて社内で目線合わせができ、より足腰の強い組織として変化していく様子をお届けしました。

組織が10人の壁を超えるタイミングでは、創業メンバー以外のメンバーが増えることで志は同じはずなのに、ベクトルが合わない、前提が合わないことで現場と経営がすれ違ってしまう…多くのスタートアップが同じ道を辿っているかもしれません。組織課題に悩む方へ、少しでもお役に立てればとても嬉しいです!

現在のオフィスの様子。デスクがぎっしりと並んでいます。

また、今回のプロジェクトで、社会における自社の存在意義であるミッション刷新に取り組むことは、メンバーのキャリアにとってもひとつのターニングポイントになったのではないかと思います。ぜひご来社の際は、弊社メンバーにミッションについて話を振ってみてください!熱く語ってくれるはずです!

後編では、新ミッションの完成形を整えてくれたコピーライターの長嶋さんのインタビューをお届けしますので、よろしければフォロー・いいねで応援いただけると嬉しいです👏

▼NYCでは新しい仲間を募集しています!

4月以降、4人の新メンバーが参画予定のNYCオフィスでは、昨年末に引っ越したばかりなのにすでにオフィスが手狭に感じてしまう、、という嬉しい悩みも出てきました。

とはいえこの成長スピードもスタートアップの醍醐味ということで、NYCや中小企業投資・経営にご興味をもっていただけたら、ぜひカジュアルにお話ししましょう!吉田さんは民間と公共、事業会社とコンサル、ベンチャー投資と事業再生投資等、幅広くご経験を積まれているので、NYCならではの仕事の面白さもまた違った切り口で聞けると思いますよ。

▼募集中のポジションはこちらからご覧いただけます!

お問い合わせはこちらから https://nycinc.jp/contact/

(執筆:中野)



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