夜明け方のシャルルドゴール空港で

夫に会うのは3カ月ぶりだ。現地集合現地解散の旅。私は日本から、彼は赴任先の南米から。行き先は間を取ってスペイン。いつの間にか遠くに来たな、と思う。そもそも私は彼に会うまで飛行機に乗ったことがなかった。パスポートも持っていなかった。それが今、1人でスペインへ向かう乗り継ぎ便を待っている。彼に出会って、私の人生に旅が加わった。どこへだって行ける、そう思った。夜明け方のシャルルドゴール空港で。 #旅

いつか、あれがほしい。

スペインを旅行した時、私の相棒はオレンジジュースだった。季節は夏。とにかくよく歩く旅だったし、買い物で自由行動のときや、1人でちょっと早く起きた朝も、カフェに入って「スーモデナランハ ポルファボル」と覚えたての呪文を得意気に唱え、搾りたてのオレンジジュースを手に入れた。そう、どんなカフェに入っても搾りたてのオレンジジュースが出てくるのだった。店員さんがいくつかのオレンジを手に取り、マシンの上からゴ

日本に恋する

夫が海外赴任をしていた時、休暇で日本に帰ってくる彼は、日本に恋する人だった。特に食。休暇中、適当に選んだものを食べるまいという執念はすさまじいものだった。そのおかげで私は数週間、毎食おいしいものが食べられて嬉しかったし、その時の旬の野菜や魚介類に少し詳しくなった。私の普段のなんてことない少し憂鬱ですらある毎日は、彼の日本を恋するフィルターにかかり、魔法のようにきらめく毎日になった。私も旅人のように

サグラダファミリア

それを初めて目にしたのは地下鉄の駅の出口から。外が見えた瞬間に目に飛び込んできたので心の準備ができておらず、ただあわあわと「でけーな」なんて言いながらチケットを購入し、中に入った。その内部は森のよう。にょきにょきと地面から生えてきたような柱。ステンドグラスから入る光はひたひたとあふれる水のよう。入ってきた光をごくごくと飲んで塔がにょきにょきと育ってしまったように感じた。なんだか生き物の中にいるみた

パワースポット

夫と香川旅行をした時に、半日直島を観光した。レンタルサイクルで島をぶらぶらとめぐり、島中にあるアート作品に触れた。我々は現代アートについてまったく不勉強であったのだけれど、初夏の気持ちよい日に、自転車で、気の向くままに知らない土地を巡るというのはなかなか爽快だった。地図を読むのは彼に任せてしまったので、私は次に何にでくわすのかワクワクしながら自転車をこいだ。そんな中出会った風景が文化大混浴というア

ミレーをたくさんみてきたんだけど、生きろという鈍器で頭を殴られたようだった。

やまなし、に行ってきた。はじめてのほうとう。

ポケットに ミルキーひとつ いれたから
どこまでだって 行ける気がした #tanka

きみのこと おもいだすのは いつもよる
おぼえてるのは ゆびのさきだけ #tanka

おかあさんに、おべんと！つくってもらっちゃった。たまごやきが甘くておいしかった #お弁当

あさやけ、という名前のかきごおり
。しびれる。

シラス丼の中からこちらを見る目目目
いのちまみれのごはんをたべる #tanka

くりかえす駅名くらいのスピードであなたをすきになれたらよかった #tanka

みなれないフォントで名前かいたときちがうだれかの人生のよう #tanka

しゃりしゃりとすくった氷は最後にはなみだとおなじ水になるのね #tanka

カーテンのふくらみの中でキスしてと練習したからじょうずに言えます。 #tanka