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おせち料理は連綿とつづくアップデートとリニューアル

写真を整理していたら、数年前に実家でつくったおせち料理の写真が出てきた。毎年、うちの実家のおせちは同じラインナップで、写真の通り。

年によって思いつきでのし鶏をつくってみたり、蒲鉾を飾り切りにしてみたりする年もあるけれど、子供の頃から30年以上ほぼ変わらない。12月31日は、朝から母と妹とおせちを作る。毎年そういうルーティーンだった。

「おせちは余る」「子供に不人気」という家庭も多いが、うちは毎年三ヶ日の間に売り切れる。その理由を検証したところ、代わり映えしないと思っていた30年の歴史の中で、少しずつうちのおせちも家族好みにアップデートされていることに気づく。

うちのおせち料理の完成レギュレーション
・栗金時は8割がさつまいも
・父が好きな明宝ハム(岐阜県の名産)は絶対入れる
・伊達巻もだし巻きも入れるので甘辛のたまご率高め
・田作りにはカシューナッツとアーモンド
・子が成人した頃から箸休めの紅白なますがジョイン

上手い具合に家族が好きな要素を組み込み、子の成人と共にほぼ完成形に近づいたと思われる我が家のおせち。家族内での人気は異常に高く、うちではほぼ同じメニューに唐揚げやエビフライを追加したオードブルバージョンを別途製作し、大晦日の夕食からなんと同じメニューを食べ始める。

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手前のお重とほぼ変わらない12月31日用のオードブル皿が奥に…。

家族全員、もうおせちを待てない身体になっている。
毎年来るその日を待ちわび、準備するおせち料理だからこそ、結婚しても「つくらない」という選択肢はなかった。
夫の実家はと言えば、黒豆や田作りを購入して元旦のみ既製品を食するスタイル。だからなのか、新婚1年目の昨年末、夫は「おせち?どっちでもいい」みたいなテンションだったので、半ば自分のために実家の味を継承することにした。

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新婚一年目、初めてひとりで用意したLight版おせち。

実家では不人気のため何年か前にレギュラー落ちしたニシンの昆布巻きが、新しい家庭では改めてジョインした。どっちでもいいと言いつつ、京都府出身の夫のリクエストだ。関東と関西で味が分かれるだし巻きは控え、伊達巻だけ拵える。実家では鰹出汁だったお雑煮も白味噌に。
30年をかけて完成形に近かった我が家のおせち料理が、新たな家族編成を経て、ついにリニューアルされた。今年からは、これが「うちの味」になっていく。

おそらく実家のおせちも、その昔は祖母の味のリニューアル品。父の好みを加え、私と妹の好みを加え、アップデート。
家の味を継ぐ、なんてつもりはなくても、おせち料理はつくると決めたその時から家族を想ってアップデートとリニューアルを繰り返すようにできている。何だかちょっと、素敵じゃない。

梅雨に差し掛かったこんな時期におせち、なんて言い出したのには理由がある。もし、「今年はおせち作るのもいいなあ」なんて思う人がいたとしたら、そろそろ準備を始めることをおすすめしたいからだ。
(今年も早いものでもうあと半分!)
年末に一念発起しても、いざやるとなると絶対億劫になるのがおせち料理。慣れないことをするのは楽しいけど、とにかく億劫。それも仕事も収めた年末に、なんて…。

構成要素は和食だし、今から一品ずつ作り慣れていけば、失敗しても言い訳が聞く。お弁当や夕食を、一品考えずに済むかもしれない。
半年後、自画自賛できる一品を、ぜひお重やとっておきのお皿に並べてほしい。

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