見出し画像

NMNサプリメント(ニコチンアミドモノヌクレオチド)のまとめ

少し前に流行っていた「NMNサプリメント」について、今更ですが考えてみました。

■NMNとは何か?

NMNとは何かというと「ニコチンアミドモノヌクレオチド」という名称の略称のことを指します。

カラダの代謝経路の中で「NMN」がどこにいるかというと、ビタミンB3の代謝と深く関わっており、

ナイアシン(ビタミンB3)からNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を合成する際の途中にいます。

※ナイアシン(ビタミンB3:ニコチンアミド)→『NMN』→NAD+

NMNは、分子栄養学的にも超重要な「NAD+」に変わりやすいという点が面白い物質です。

NAD+はビタミンB3の補酵素の形態です。

NAD+は「ミトコンドリア」にとっても重要な物質で、エネルギー産生においての「水素と電子を運ぶトラック」の役割でありヒトが生命維持活動するためのATPを作る上で重要です。

この「NAD+」の量は年齢を重ねるとともに減ってくることもわかっています。

要するにざっくりいうと「NAD+」を増やせるよというのがNMNサプリメントのメリットです。

■NADは体内でも合成されている!?



NAD+はトリプトファン(アミノ酸)からも一部体内で合成もされています(キヌレニン経路)。

その変換率は「トリプトファン60mgからナイアシン1mgくらい」の変換率なので低いです。

やはり、ビタミンB3は外部から摂らないといけません。ビタミンB6やマグネシウムなどの栄養素が低下すると途中のナイアシンへの変換がうまくいかないという点もあります。

じゃあ「NAD+を摂ればいいんじゃね?」となると思いますが、NAD+をそのまま経口摂取してしまうと「消化の過程で分解」されてしまうそうです。

ビタミンB3にも種類がある

また、難しくしてしまうのですが「ナイアシン」には種類があります。

ひとつは「ニコチンアミド(主に動物由来)」で、もう一方は「ニコチン酸(主に植物由来)」です。

この2つ、NAD+になるためのルートが少し異なります。

「ニコチンアミド(動物由来)」は

ニコチンアミド →NMN →NAD+ →(戻る:ニコチンアミド)


のサイクルです。ここで面白いのは「ニコチンアミド」で摂るとサーチュイン遺伝子の「活性を阻害」してしまうということです。
※サーチュイン遺伝子については後ほど。

一方「ニコチン酸(植物由来)」は

ニコチン酸 →NaMN(ニコチン酸モノヌクレオチド) → NaAD(ニコチン酸アデニンジヌクレオチド) →NAD+

という別ルートです。このルートよりも「NMN→NAD+」の変換率が高いそうなので「NMN」の方が良いとされています。

なので理論的には「ニコチン酸」でもNAD+の増加(サーチュインの活性)が期待できますが、大量に摂ると「ナイアシンフラッシュ(皮膚紅潮)」がおきるため、それに不快感を示す方も多いです。(個人的にはナイアシンフラッシュ状態は好きです。)

また一部肝臓への負荷も人によってはかかるため注意です。

■サーチュイン遺伝子について

もう1つNMNを知る上で理解しておかないといけないのが「サーチュイン遺伝子」です。

サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子や抗老化遺伝子とも呼ばれており、活性化させることで寿命が伸びることに関わっていると言われています。

ヒトを含む哺乳類では7種類が発見されており「SIRT1~7」と命名されています。

サーチュイン遺伝子が活性化すると何がいいのか?というと

・DNA修復の促進
・寿命延長
・抗炎症作用
・肥満の抑制
・免疫活性
・ミトコンドリア機能の向上 など

のメリットがあると言われています。

活性化させるには
「運動、ファスティング(断食)、寒冷・温熱刺激(サウナ)、レスベラトロール、NAD+」などが有効とされています。

ここで出てくるのが「NAD+」です。

このように「NAD+」が大量に増えると遺伝子に働きかけ、たんぱく質の発現量(読み込みの度合い)を調節することがわかっています。

※余談ですが、レスベラトロールもサーチュイン遺伝子を活性化させる成分として「赤ワイン」に含まれているとして有名ですが、グラス一杯の赤ワインに含まれるレスベラトロール量は実験で使われた量の「0.3%」くらいしかないそうです。

■NMNサプリのメリット・デメリット

結果「NMNサプリ」は「NADの量を上げるので良い!」となりそうなのですが、注意すべき点もありますのでアンチ意見も知っておきましょう。

①マウス実験での結果でしょ?

→NMNの実験で出た良いエビデンスはマウス実験が主なので、ヒトではどうなの?と言われています。NMNによって寿命が伸びました。をヒトデータにて証明するには、まだまだ時間がかかりそうです。



②価格が高い!
→NMNサプリメントはかなり価格がつり上げられているものが多いです。日本主導のメーカーのものは海外からのを使っていることもありまだ高めです。「安いなー」という値段のものはNMNの容量が少なかったりするそうです。最近では、iHerbにて格安で出てきているので価格は徐々に落ち着いてくるかと思われます。

③保存が難しい
→NMNの成分は不安定な構造を持っており外部刺激により劣化しやすいとのことで、冷蔵保存などが必要とのことです。冷蔵庫から出してボトルを開け閉めしたりすると結露になったりするので成分的にも変化はどうなの?という声もあります。

④簡単には細胞に入らないでしょ?(MNM vs NR)
→海外では「MNM」なのか「NR:ニコチンアミドリボシド」なのか?の戦いがあります。

代謝の流れを整理すると

「NR ↔︎NMN →NAD+」

となります。両者の大きな違いはサイズです。「MNM」の方が大きく、「NR」には細胞にすぐ入れるためNRの方が重要だとされてきました。(MNMはNRに変換されてから細胞に入ると考えられていた。)

しかし最近の研究では、NMNがNRに変換されずに細胞内に入ることを可能にする輸送体たんぱく質(SLC12a8:腸や結腸、胃、甲状腺、精巣などに多い)を通じて細胞膜を通過できる。といったことが明らかになりつつあります。

なので、NMNは「細胞によっては通すよ(肝臓、筋肉、脳組織の細胞に入ることが示されている)」ということになります。

その他にもNRはビジネス的側面からも特許論争なども起こっていたりします。また、動物実験の結果しかない状況でヒト用の製品化に踏み切っておりビジネス的に持っていきたい側面も強く見受けられます。

⑤末梢神経の損傷が起きるのではないか?
→NMNには「末梢神経を守る」という結果もありながら、一方で長期間NMNを摂取させたラット実験にて「末梢神経に損傷が見られた」という報告もあります。

⑥NAD+レベルが高い人には効果がない?
→ここまで散々書いてきた通り「NAD+」がしっかりとあればNMNは必要なのか?という問題もあります。実感があるのはNAD+レベルが下がってきている人の方が大きいと考えられるので、若者が摂っても効果はあるのかな?というのが正直なところです。もしかすると大量に入れることによるメリット(デメリットも)はあるのかもしれません。

このように、NMNはメリットもおそらくあるけれど「まだ判断は難しいよ」というのが結論になるかと思います。

■まとめ

NMNサプリの科学的効果についてはもう少し見守らないとなんとも言えないというのが正直なところです。

個人的には、NMNを摂る以前に、やるべき「栄養アプローチ」はたくさんあるよな。と思っています。

では最後にNMNについて言われているメリット・デメリットをまとめておきます。

【メリット】
①老化を防ぐ
・エネルギー代謝の増加
・心身活動の促進
・インスリン感受性の改善
・体内の脂質の改善
・サーチュイン遺伝子の活性化
②糖尿病を防ぐ
③脳を活性化する
④心臓機能の改善
⑤血管と血圧を改善する
⑥末梢神経を守る
⑦肥満の抑制

【デメリット】
・動物実験中心のエビデンス
・まだまだ高い。
・保存が難しい
・NMNは全ての細胞に入れるわけではない
・末梢神経の損傷の可能性?

■NMNが含まれる食材 (100gあたり)
枝豆(0.47 -1.88mg)

ブロッコリー(0.25 -1.12mg)

キャベツ(0 -0.9mg)

アボカド(0.36 - 1.6mg)
トマト(0.26 -0.30mg)
牛肉(0.06 -0.42mg)

エビ(0.22mg) など
※食材にも含まれるが微量である。


🎙音声配信(ポッドキャスト)始めました🎙


#未病予防栄養学
(未病段階で予防する栄養学の知識)などを発信しております。

本投稿記事は #チーム未病ラボ  オンラインサロン内にて先行配信されている内容のバックナンバーとなっております。最新投稿情報をいち早く知りたい方はサロンにてお待ちしております^ ^

↓

【登録者1,100名突破!】

健康と美容を仕事にしていく#チーム未病ラボ オンラインサロン

Team Mibyo Labo 公式アカウント登録はこちらから
https://landing.lineml.jp/r/1655707346-KwvBpJpq?lp=tFrFR5

↑

まずは公式アカウントをご登録ください。勉強会動画まるまる1本プレゼント中!

この情報が何か皆様の気づきになりますと幸いです❗️


↓

分子栄養学を体験できる無料勉強会もやっています。
https://peatix.com/group/1229362/events

instaNMNまとめ.002


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?