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【4-8】人気和風映画のロケ地!守り継ぐべき水辺の景観「熊川神社&熊川分水」[福生市]

みなさんこんばんは。バックスリーです。

さて、今日の舞台は、福生市の南側に位置するのどかな住宅街エリア「熊川(くまがわ)地域」です。

福生市といえば横田基地やベースサイドストリートなどのアメリカンなイメージが強いですが、今回紹介する熊川地域は、古来から続く神社があったり、街中に歴史のある用水路が通っていたりと、福生市の中でもとりわけ「歴史」「和」を感じられるスポットになっています。

ちなみに熊川地域の最寄りの駅のJR五日市線熊川駅は、なんと都内でも珍しい無人駅!(笑)

中々マイナーな駅のため、訪れたことがある人は少ないと思いますが、この記事をきっかけに興味を持った方はぜひ足を運んでみてください!

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■『ちはやふる』のロケ地!熊川神社でお参り

熊川地域に訪れたらまず立ち寄ってほしいのが熊川神社です。

熊川地域を古くから守っている神社で、福生市が指定する「ふっさ十景」にも指定されています。

詳しい創建や由緒は不明ですが、一説によると平安時代の初めに地元の有力一族が弁財天を祀ったのが始まりとのこと。

神社の奥にある本殿は東京都の文化財に指定された福生市内最古の木造建築物で、桃山時代の様式と技法を今日まで伝えています。

また熊川神社の境内には、七福神の石像が設置されており、熊川神社1社を訪れるだけでお手軽に七福神めぐりができます!

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(↑本殿)

そして実はこの熊川神社は広瀬すずさんや野村周平さんが出演する映画『ちはやふる』のロケ地としても使用された神社です。

拝殿前や、境内の熊川明神会館で撮影されたシーンが作中にも登場するので、一度視聴した方も、ぜひ映画を見返してみてください!

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(↑拝殿)

■歴史ある文化遺産 恵みをもたらした熊川分水

熊川神社の脇には、熊川地域のシンボル熊川分水が流れています。

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熊川分水とは以前紹介した玉川上水から分水された用水で、福生市の条例で「景観重要資源」に指定された地域の貴重な資源です。

上下水道が整備された現在は日常生活で水に困ることはありませんが、実は熊川地域は昔、崖線の上に位置する地理的な要因のため、水に非常に乏しい地域でした。

江戸時代には当時の旗本の長塩(ながしお)氏が水不足に苦しむ住民のために共同の井戸を掘った伝承なんかも残っています。

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(↑ 長塩氏が造った共同井戸)

承応3年(1654年)に玉川上水が開かれてからは、住民たちは玉川上水から水を引きたいと考えるようになったみたいですが、なかなかすぐには実現されず、明治23年(1890年)になって、ようやく約2kmの待望の分水が完成します。

分水が完成してからは、地域の生活用水としてだけでなく、農業用水、工業用水としても利用され、地域産業である酒造や製糸業の発展等、村の産業の近代化を促し、多くの恵みをもたらしました。

現在は住宅街を静かに流れる用水となっていますが、貴重な水辺の景観として地域の住民に愛され続けています。

水辺がある地域って景観もいいしすごく癒されますね!

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(↑長塩氏の墓 福生院)

■製糸から自動車産業へ! 熊川地域の近代化

現在の福生市の有名な産業といえば酒造ですが、実は明治期から大正期にかけては、養蚕製糸が盛んでした。

江戸末期から、生糸は茶などと並ぶ日本の主要輸出品目であったため、当時日本では、全国的に養蚕や製糸が奨励されました。
ちなみに最近世界遺産になった群馬の富岡製糸場なんかもこの時期に設立されています。

そして熊川地域にも東京で最初の製糸工場「森田製糸」が設立されました。
この「森田製糸」、最盛期には従業員400人ほどの大工場だったみたいで、年間27トンほどもの生糸を製糸していたみたいです。 

大正期に入ると、生糸相場の暴落や関東大震災による経済打撃などで森田製糸の工場は日本最大の製糸会社「片倉製糸」の傘下に入ります。

その後工場の操業は続けられますが、第二次世界大戦の影響で生糸の生産は中止され、工場では軍需品を生産することになります。

そして戦後「片倉製糸」は軍需設備の生産の技術を活かし自動車産業へと転換し、自転車やオートバイ等を生産する工場に生まれ変わります。

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「片倉自転車」で製造された自転車「片倉シルク号」は、当時高品質で大変人気であったため昭和39年(1964年)の東京オリンピックの競技車としても使用されたみたいです。

ちなみに「片倉シルク号」は現在、福生市郷土資料室(福生市立中央図書館内)で見ることができます。上の写真のようになかなかカッコいいデザインです!

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■さいごに

今回は、熊川地域のスポットや歴史を紹介してみました。

少し散策するだけでもたくさん発見があり、なかなか面白い地域でした。

ちはやふる』の聖地巡礼をするもよし、熊川分水関連の史跡を訪れるもよし、ぜひ熊川地域に足を運んでみてください!

そして次回は、

おしゃれ系バンドのPVにも登場する地元で人気のハンバーガーショップ

を紹介!

それでは次回の更新もお楽しみに!

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参考:福生市ホームページ
文責:バックスリー



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