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【1-3】心に火を灯した日本のペスタロッチ「疋田浩四郎」[あきる野市・戸倉]

こんばんは、【かわばた】です。

さて、今回ご紹介するのは戸倉村を語る上では欠くことのできない教育者、
“日本のペスタロッチ”こと

疋田浩四郎先生

です。


■生い立ち〜青年期

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疋田浩四郎(ひきたこうしろう)氏。1849年(嘉永2年)摂津国有馬郡三田屋敷町(今の兵庫県三田市)に三田藩士の四男として生まれます。

子どものころは、8歳の時から地元の造士館に通い、16歳で上京し皇漢学を学びます。その後三田へ帰郷し、造士館の助教を勤めながら自身の学習をつづけ、1872年(明治5年)に再び上京。

上京後は神奈川県権令(副知事)の大江家に書生として住みこみ、1873年(明治6年)に師範学校である横浜啓行堂に入学、翌1874年(明治7年)6月には神奈川県4等訓導補の資格を得て、同年10月に神奈川県西多摩郡引田村の集開学舎(今のあきる野市立西秋留小学校)に奉職。

ちなみに五日市憲法草案の起草者として有名な千葉卓三郎さんは、1880年(明治13年)に五日市勧能学校の教員となっています。引田と五日市、もしかすると教員同士の交流があったかもしれませんね。


少年期から青年期はこんな感じです。
日本国内では、疋田少年が4歳の1853年(嘉永6年)にペリーが黒船に乗って浦賀にきています。鎖国から開国へ、そして江戸時代から明治時代へという激動の時代に、勉学に励みながら青少年期を過ごした疋田青年でした。


今回の紹介、難しい言葉が多いので、ここでまとめて解説です。

[造士館]三田藩の藩校の名称。藩校とは、藩士の子どもを育てるための学校。
[皇漢学]皇国(天皇統治下の日本)と漢国(今の中国)の学問の総称。
[師範学校]昔の小学校・国民学校の教員を養成するための官公立学校。今で言う学芸大学など。
[訓導]昔の小学校の正規教員。
[奉職]学校や官庁などに勤めること。


ちなみに、1872年(明治5年)はそれまで使用していた太陰暦から新しい暦である太陽暦へと改暦があった年であり、明治5年12月3日が明治6年1月1日になりました。

この時、改暦までの準備期間が短かったようで、世の中はかなり混乱したそうです。12月中に誕生日だった方はどうしたんですかね⁇

そんな混乱する世の中、疋田青年は三田から上京したんですね〜

疋田青年の話はこのくらいで、次はいよいよ戸倉での教員としての活躍です!


■戸倉小学校での活躍

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1884年(明治17年)、疋田先生は戸倉学校(現戸倉小学校)に第4代校長兼訓導として赴任しました。

当時は、松方正義によるデフレ政策で全国的に不況にあり、教員の給料が払えなかったり、校舎の修理ができなかったりと戸倉村財政も酷い状況でした。

そんな中でも、疋田先生は同僚の清水良八先生とともに子どもたちの教育に取り組みました。木炭運びやわらじ作りなどで生活費をまかなっていたようで、どうしても戸倉村を離れたくなかった、ここで生きていくんだという覚悟のようなものを感じます。

また、子どもだけでなく青年教育にも力を入れ、

自分の村は自分たちの力で

という信念のもと村の再建にも取り組みました。のちに村長となった萩原角左衛門も教え子の一人だそうです。学校だけにとどまらない疋田先生は、気さくな人柄で子どもだけでなく地域の方からも人望が厚かったようです。


■心に火を灯して

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戸倉の教育に心を燃やしてきた疋田先生ですが、1896年(明治29年)、在職中に心臓麻痺で亡くなりました。享年47歳。村では生前の功績をたたえ、村葬が行われました。

お墓はNut-sでも紹介した光厳寺にあり、今でも戸倉小の卒業生が清掃などに訪れているそうです。疋田先生が灯してきた心の火は今も戸倉の人々に受け継がれているのです。

また後年、熱心な教育活動により、「日本のペスタロッチ」と呼ばれるようになりました。

ペスタロッチは1700年代のスイスの教育者で「直観教授」という教育法を提唱した方です。気になる方は調べてみてください。

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■まとめ

新しい時代を迎えた明治時代前半に、戸倉村で教育に心を燃やした疋田先生。これからを担う世代を育てること、そして思いを伝えていくことの大切さを改めて感じました。

今回調べていく中で、映画が大ヒットした「鬼滅の刃」の煉獄さんを思い出しました。逆境でもブレることなく自分の信じた道をいき、その思いを後輩に託す。私も心に火を灯し、そんな風に生きていきたいな〜なんて思いました。


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【参考】
・『五日市町史』五日市町(1976)
・『日本語大辞典』講談社(1989)

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2022.6.23 一部修正
文責:かわばた

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