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The Beatles 全曲解説 Vol.66 〜Honey Don’t

「頼りない男」と「名ドラマー」二つの顔を楽しめる “Honey Don’t”

『Beatles For Sale』10曲目(B面3曲目)。
リンゴがボーカルを務めるカバー曲です。

オリジナルは、カール・パーキンスが1956年に発表したナンバー。

何度も指摘している通り、ライブ活動のためにかなり制約された制作時間でレコーディングされた本アルバムですが、ここへ来てリンゴのボーカル曲が無いことに気付きます。

前作『A Hard Day’s Night』のような例外はあるにせよ、アルバムには必ず1曲はリンゴのボーカル曲を入れることが約束事になっていました。

そこで、それまではジョンのボーカル担当だったこの曲を、リンゴに交替する形で収録されることになったのです。

なぜこの曲が選ばれたかと考えると、大きかったのは “Matchbox” と同じく、パーキンス作のロカビリーナンバーであったことではないでしょうか。

リンゴはもともとロカビリーやカントリー&ウエスタンなど、ハードなものよりは穏やかで牧歌的な曲調の音楽を好んでいました。
後に自作曲を発表する際にも、その好みは作風に大きく現れることになります。

ビートルズバージョンはオリジナルを忠実に再現した演奏ですが、リンゴのボーカルが曲にいい味を加えています。
歌詞は奔放な彼女を諌める内容ですが、特にサビのボーカルの調子は、彼女に振り回されて困っている彼氏の様子が目に浮かんできそうで、大変微笑ましいです。

そんな頼りなさげな男を演じつつも、間奏に入る直前は「Oh, rock on George!」などとメンバーを鼓舞するアドリブを入れたりと、バンドをリードするドラマーとしての顔もしっかり見せてくれます。

そんなリンゴの「名演」ぶりが楽しめるナンバーです。

補足情報: ジョンのボーカルバージョンについて

先程述べた通り、この曲はもともとジョンのレパートリーでした。
ジョンがボーカルをとるバージョンは、公式からはBBCでのライブ音源にて発表されています。

デビュー直後の若くエネルギーに溢れたジョンのシャウトが楽しめます。
ただ、リンゴのバージョンに比べ、こちらは男の方も遊んでそうですね(笑)。

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