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宇陀“架空”観光協会

宇陀"架空"観光協会とは、その名の通り、架空の観光協会である。旅人である安達えみが宇陀を実際に巡り、その様子を"架空"観光協会としてPR、発信する。宇陀"架空"観光協会自体は実在しないが、巡った場所は実在の場所なので、是非実際に現地へ訪れてみていただきたい。
旅人:安達えみ(ホトケ女子)
旅行日:2021年1月27-28日

宇陀といえば室生寺!…それ以外は?

仏像好きの私が、好きな仏像を聞かれたときに必ずあげるのが「室生寺の釈迦如来坐像」。鼻筋の通った横顔、エッジの立った美しいドレープ、どっしりとした安定感。何度お会いしてもほれぼれする仏様である。室生寺には何度も伺ったことがある。宇陀といえば室生寺
何度も室生寺に行っているから宇陀を知った気になっているが、実は宇陀市はなかなか広い。榛原、室生、菟田野、大宇陀と、4つの村が合併したのが今の宇陀市。そのため、それぞれの地区は今もなおそれぞれ違った個性があり、室生寺があるのはその中の1つ・室生の地域でしかない。あとの3つは?室生寺以外に何があるの?
今回改めて1泊2日で宇陀旅行をした。知った土地、だったはずなのに、蓋を開けてみると知らないところばかり。しかも、結局1泊2日ではすべてをまわり切ることができなかった。
奥深い宇陀、是非この記事で一緒に旅をしてみてほしい。

出発は榛原駅から

近鉄に乗って宇陀市の玄関・榛原駅へ。この日は朝から小雨がぱらつく。
まずは旅のお供を拾いに行く。駅から歩いて3分ほどのタイムズパーキングへ。電車で来たのになぜ駐車場?そう、まずはここでカーシェアを借りるのだ。
事前にネットでカーシェアを予約。専用のカードを車の所定の位置にかざすとガチャといってロックが解除。誰とも会わずにカーシェアリングをスタートできる。

宇陀旅の裏テーマ「石巡り」

以前から宇陀の"土地"が気になっていた。何かというと、宇陀の足元や町を囲む山を形成するのは火山灰が固まってできた凝灰岩、カッチカチの地質。(※宇陀全域ではなく一部の地域。)柱状節理と呼ばれる岩の割れ目が山肌に見えるところが数多くある。元々地学好きの私としては、岩肌を見ているだけでもワクワクする。
そんな豊かな表情を見せる岩盤があちこちにある宇陀は、実は石の聖地なのではないか?渋すぎる気付きだが、この「石」に注目して巡ると、宇陀はそこここにいい「石」がたくさんある。
石、といっても、その辺に転がっている石を愛でるわけではない。石仏、石像である。仏像業界?の中でも「石仏好き」は更にニッチなジャンルになるが、これが一度ハマるとその世界の広さに驚く。宇陀の旅、まず最初は石好きの友人の案内でこの石仏巡りからスタートした。

1日目のランチは宇陀のソウルフード

石仏にドキドキし続けていたら半日が過ぎた。腹が減ってくる。旅先の土地を知るには、現地の人が食べているものを食す必要がある。ということで、宇陀市民が愛する月の輪ラーメンを出す「さっぽろらうめん」へ。
店名がチェーン店っぽいことや、なぜ「らーめん(又はらあめん)」ではなく「らうめん」なのかということなど、いくつか不思議ポイントはあるものの、こちらのお店は歴とした宇陀市に本店のある地元店。(更に謎なのが本店の方は年末に閉店。今は榛原店のみで営業中。)
人気の月の輪ラーメンはスープ全体にとろみがついたスープに、小さく切った野菜や肉が入り、溶き卵が加わった何とも味わい深いラーメン。取材後も無性に食べたくなり、わざわざ宇陀まで行ってしまうほど、日常使いしたくなるお店だった。

大宇陀・宇陀松山は親戚の家?

午後からは大宇陀地区の宇陀松山に移動。ここはかつての城下町。江戸、明治、大正、昭和と、時代の変化に伴い少しずつ街並みに手は加えられているものの、古く趣のある街道はロケーションが素晴らしい。宇陀松山城跡からの眺めもサイコーだった。
東京から移住してきた彫刻家さんが始めたギャラリーに立ち寄る。たまたま来ていたご夫婦も移住組で、近所でギャラリーを開いているという。そちらも後で寄らせていただく。
大宇陀では、移住してきた方に多く会った。しかも皆さんそれぞれ手仕事をされる芸術家、職人さんばかり。私自身も街を歩き、皆さんのお話を聞いていて感じたが、大宇陀は元々城下町だったため、人の出入りに対して非常に寛容な印象がある。移住組だけが集まっているわけでもなく、地元の方ともとても仲がいい。更に言うと、移住まではしていないが、定期的に都会から大宇陀に泊まりに来る二拠点生活の人たちもいる。移住者、二拠点生活者、そして地元民、みんな大きな親戚のよう。そんな親戚の一人に入れてもらった気分である。

夜は温泉入って鍋をつつく

本日のお宿は築120年の古民家を改装した「奈の音」。宿でもお風呂に入れるが、近所に日帰り温泉があるというので行ってきた。
あきののゆは地元の人にも大人気の温泉施設。宇陀特産の薬草・大和当帰を使ったお風呂があって、少しの時間入っただけなのに芯まで温まってビックリ。さすが古代から使われている薬草なだけある。
宿に帰ってオーナー夫婦、友人、私の4人で鍋をつつく。暖炉の薪が燃える音も心地いい。古民家の雰囲気もあいまって、完全に実家。

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静岡→東京→奈良…!

朝。オーナー夫婦と娘さんと私で、薬草茶をいただきつつまったり雑談。娘さんから「(安達さんと同じで)静岡出身で東京いって奈良に移住してきた人が近所にいるよ!」ということで、さっそくその人に会いに行く。
オーナー夫婦と一緒に大宇陀の町を散歩。歩いて数分でその方のお宅へ。
若いご夫婦が住んでいて、奥様はダーニングという刺繍にハマって工房を始められたという。ただ自己紹介の段階で「出身、静岡じゃなくて千葉です」と言われ爆笑。それでも娘さんの勘違いで出会えたことに感謝。

人気の古民家カフェへ

お昼はオーナー夫婦オススメの宇陀松山にあるカフェへ。こちらも古民家を改装したお店で、店内で雑貨やパンも売っている。野菜いっぱいのプレートランチをいただく。姉妹で営業されているというこちらのお店は、平日にも関わらずお客さんがたくさん。大宇陀の人気店。

山に包まれた室生寺

そして、なんやかんや言って外せない室生寺へ。昨年宝物殿が完成してからは初めてのお参り。楽しみ。
室生寺は境内の空間設計が素晴らしい。蛇行するように配置されたお堂、階段を上がるたびに違う景色が広がり、奥へ奥へと足を進めたくなる。山寺に相応しい豊富な木材を利用した建築、仏像は、山そのものと一体となって、私を迎えてくれる。
上へ上へと進んでいき、勢いで奥の院まで。奥の院へと続く階段には寄進者の名前が刻まれ、階段脇には真ん丸の顔したお不動さん、奥の院本堂にはかつては極彩色、今は色褪せてパステルカラーになった地獄絵が掲げられている。何度も来ているはずなのに「こんなところにこんなものが!」という発見が嬉しい。
室生寺は変わらずとも自分自身は日々変わる。自分が変われば見えてくるものも毎回違う。それが奈良のお寺の魅力の一つ。
久々の奥の院を満喫し、下山。待望の宝物殿を拝観しようとしたらまさかの閉館!「今日ではない、また改めて来い」という室生寺からのメッセージであろう。また来ます。

笑う狛犬

この旅は、石に始まり石に終わる。
江戸時代に丹波佐吉という石工がいた。彼は一時期宇陀に住み、数多くの石像を残した。最後に彼の造った狛犬を見に、宇太水分神社へ。
ここは国宝の本殿が美しいのだが、注目はやはり鳥居前の狛犬。ぺちゃんこの頭にニヤッと笑う口、しっぽはもみじ饅頭のよう。余りの可愛さにカメラで撮りまくる。宇陀にはここの他にもいくつも佐吉の狛犬があり、平井大師山石仏群には佐吉と弟子たちが作った四国八十八カ所の石仏が並ぶ。隠れた宇陀の名所である。

宇陀で飲むならココ!

宇陀旅行もいよいよ終わりを迎えようとしている。最後は気持ちよく、美味しいお酒と料理で締めたい。ということで、榛原駅前のみーちゃん寿しへ。
手書きのメニューがずらっと並び、カウンターでは常連のおっちゃんが一人で飲んでいる。そんな店、旨いに決まっている。
特価過ぎる100円の生牡蠣をつまみに地酒をいただく。「寿し屋のエビチリ」という気になるメニューも注文。とにかくどれも旨い、安い。
この店のために、わざわざ電車で榛原まで来る価値あり。

山がつつみ石がわらう宇陀

「奈良"架空"観光協会」という企画を考えて初めての取材が今回、宇陀だった。
元々この企画は私一人で旅して宣伝するつもりだった。それが、取材前日になって宇陀の友人から「明日取材ですよね?よければ案内しますよ」と連絡が入り、旅行中も人が人を呼び、どんどんつながっていった。初めて会った人も古くからのご近所さんのように迎え入れてくれ、気づけば親戚みたいな仲になっていた。
宇陀は深い自然と共にある。宇陀を囲う山々は硬い岩山にも関わらず、古くからの信仰や伝承が残り、人々の生活を見下ろす。また、岩山から切り出された石には仏や神が刻まれ、優しく人々に寄り添っている。宇陀の自然は古代から人々の生活と共にあり、我々を生かし続けてくれた。その、自然から人間に対しての優しい視線のようなものを「山がつつみ石がわらう」というキャッチコピーに込めた。
山も石もそして人間も、宇陀では豊かに生きている。そんな土地に惹かれ、移住してくる人が多いのも納得である。自然も人も無理なく等身大の姿で生きれる町、それが宇陀なのかもしれない。

是非、皆様も宇陀へお越しいただきたい。宇陀観光のお問合せはコメント欄、もしくはコチラからお願い致します。

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