最愛の猫を亡くすこと「長い長いさんぽ」漫画感想
僕は数年前に愛猫を亡くして以来、ペットロスをあつかった漫画やエッセイなどを追いかけています。
これもその中で出会った一冊です。
長い長いさんぽ。須藤真澄。
以前にnote記事で書いた谷口ジローの犬を飼うはリアル寄りの画風でしたが、本冊はデフォルメされた絵のタッチです。
序盤30ページほどは猫と暮らすうえでの、あるあるネタをギャグタッチで描きつつ、ゆずという猫の紹介をしています。
そしてメインの長い長いさんぽ
作者と夫(8年前からゆずの父ちゃん)が2日前に亡くなったゆずを火葬場に連れていくシーンから始まります。
16才の高齢猫になり、甲状腺の病気になり、闘病、やがて亡くなり、火葬した後、骨壺に入れるところまで細かいディテールで描いています。
故人(猫)への弔い方は人それぞれ
現在、ペットを飼っている方も、愛するペットを亡くした方にも泣ける内容ではあるのですが、僕的に興味深かったのは亡くなった猫への弔い方です。
自分が猫を火葬してもらったときは、遺灰から骨だけ集めて並べられたところに立ち会ったのですが(標本みたいになっていた)
この夫婦は遺灰をすべて持ち帰った後に、模造紙の上に遺灰を広げて、骨の発掘作業をしています(夜の9時まで)
その他にも、寝床についた毛や爪を、ジップロックに格納しているのを見て、ちょっと笑ってしまったんですが、人によって感覚は違うんでしょうね。
僕の場合は愛猫を火葬する前にスタッフに「爪や髭をぬいておきます?」と聞かれたときに「いりません」と即答しちゃったんです。
猫が痛そうだからとか、そんな理由ではなく、大量に画像データが残っているのでそれでいいかなと思ったんです。手のひらに感触が残っているのを思い出せるので、爪や髭、体毛だなんて体のほんの一部分を残すなんて変だと思っちゃったんですね。
希望の持てるラスト
1月にゆずが亡くなり、そのまま意味もなく暮らしていくものだと作者は思っていましたが、夏が来る前に子猫を2匹もらってきちゃいます。
子猫たちを見つつも、ゆずのことを思い出すことに作者は罪悪感を覚えますが、子猫たちは勝手に楽しそうに遊んでいるので、よかったのだろうと思います。
谷口ジローの犬を飼う、でも、ふたたび動物を飼うという結末でした。
動物を飼うと亡くなるときに悲しい、だなんて言わないで、この世には保護を求めている犬や猫がたくさんいるので、新しく迎えた子をたくさん愛してやればよいのかなと思います。
たしかに、ペットが亡くなるときに悲しいのですが、それはまたそのときに悲しめばいいじゃないですか。(いいのか、これで?)
新しいペットを迎えることで、亡くなった子の思い出が薄れるように思うかもだけど、新しいペットの行動を見ていて「あの子の場合は、こうだったな」と忘れかけていた記憶がぽんっと浮き上がってきたりもしますしね。