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読書感想文#36〜自分の人生の価値はいくら?〜


あらすじ含め、少しネタバレを含んでいます。

一番重要なクライマックスには触れないようにしていますが、ネタバレしたくないと言う方は、是非一度本を読んでから戻ってきて欲しいです。

また、どんな話だろうと興味のある方にはちょうどいいくらいに、なっていると思うので、この感想文を読んで、興味が湧いたら実際に読んでみるのもありかなと思います。

あらすじ

みなさんは自分の人生の価値について考えたことはあるでしょうか。

サラリーマンの生涯年収は2〜3億と言われているので、それくらいか?それとも周りより自分はいけてるからもっと価値は高いか?

などなど人によって考え方はそれぞれかと思います。

主人公のクスノキは、周りの人たちが「自分の人生が3億円だとすると…」と言う会話をしているのを聞き、それなら自分は30億くらいはあるだろうと思っていた。

しかし、二十歳になった今、実際はお金に困る、平凡な人生を歩んでいた。

そんな時、クスノキは寿命を買い取ってくれる店に出会う。

10歳の頃は30億円と見積もった自分の人生の価値。その頃ほどの自信はないにせよ、この時クスノキは自分の人生を6億円ほどと見積もった。

しかし、査定価格は最低価格の1年につき1万円。寿命が30年と3ヶ月だったクスノキの人生は約30万円の価値しかなかった。

今更、失うものなどほとんどない

そう思った彼は、3ヶ月を残し、残りの30年を全て売り払う。

残りの3ヶ月の人生がスタートした頃。監視員のミヤギがやってくる。

寿命を売った人間は、自暴自棄になり、他者に危害を加える可能性があるため、監視員制度がとられているそうだ。

こうして、クスノキとミヤギの3ヶ月間の物語が始まる。

余生で幸せを掴もうとやりたいことを叶えようとするクスノキ。

しかし、親しい友人もおらず、唯一の心の拠り所だった、小学生の同級生のヒメノにも嫌われていた事実が発覚。

そういった様子を冷めた目で見るミヤギに対して、少なからずクスノキは嫌悪感を抱いているようだった。

しかし、自分と似た境遇であるミヤギの過去を知り、2人は少しずつ心を開いていく。

ミヤギを喜ばせることが一番の幸せなのだと気づいたクスノキは、ミヤギが周りの人から見えず、一人芝居に見えることは承知の上で、

ミヤギを喜ばせるために、外でも話しかけたり、手を繋いだり、いろいろな場所に連れて行ったりした。

一番の幸せを見つけた頃には、クスノキの寿命は残り少なくなっていた。

残りの人生をどう過ごすのか。そして三日間の幸福とはなんなのか?

この本の見どころです。

感想

読み始めた頃は、身近な人を大切にしよう。そうでないと、助けてくれる人がいなくなるよ。

そのようなメッセージ性の小説かなと思った。もちろんそれもあると思う。

しかし、それだけだと、どんどんみんなに裏切られるだけの後味が悪いと言うか、モヤモヤすると言う気持ちが残りそうだなと感じた。

最後は、残り少ない人生なのに、ミヤギのために、行動するクスノキの暖かさ。

そして、人のために行動すること。人を喜ばせることは自分の心も満たしてくれるということを感じた。

最初は、冷たい性格なのかと思っていたミヤギもどんどん心を開いていく様子が心温まる。

とても、いい気持ちになる。人のために何かをするって素晴らしい。自分が幸せになれるってのが伝わってくる。

自己啓発本などで、giveしろって言われるより、こういうことから、自分で感じる方がより伝わってくる。

小説も悪いものではないと思う。

この本に出会えてよかったなと思う。個人的には今まで読んできた小説の中でもトップ3に入る一冊。

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