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「寝る」と「眠る」は違うんだって、ということをお話しようと「思います」。


「もう寝た?」と「もう眠った?」

「立ったまま寝ちゃった」と「立ったまま眠っちゃった」

「眠るように亡くなった」と「寝たように亡くなった」


寝ると眠る。

感覚的に使い分けていますよね。

どっちかは使わなくて、どっちかを使います。


この二つの言葉は定義が違うそうです。

反対言葉から考えるとわかりやすい。

「寝る」の反対は「起きる」。

「眠る」の反対は「覚める」。


何となくわかりますか?意識的なのと無意識なのと。

「寝る」は、体を横たえるということがメインの意味。

なので、「立ったまま寝る」というのは間違い。

「立ったまま眠る」が正しい。

「眠る」は、目を閉じて無意識になり活動が停止した、がメイン。

なので

「眠るように亡くなった」のですよ。


「眠る男」という映画を見た時、私は見事に「眠り」ました。「寝る」という段階はなく「眠る」。ひたすら役所さんといっしょに「眠り」ました。役所さんの「ねむり」は演技を超えた「眠り」でした。あの映画はいったい、なんだったんだろう。

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そして。「睡眠」

これは、漢字からもわかるように「ねむる」ほうです。しかも、「睡」がつくのでなおさら「寝る」ではない方です。

目が垂れてくるから、つまりまぶたが落ちてきて、眠ります。

「睡」と「眠」で完全に眠る言葉です。


言葉や漢字って、本当に面白いですね。

歴史と言葉は、辿っていく方がとても面白いです。


ちょっと話は違いますが、

わたしが今一番気になるのは

「思います」

という語尾。

これ、同じように気になっている人にまだ巡り合ったことがありません。

それどころか、乱発する人が多いです。


「それでは、〇〇という会を始めさせていただきたいと思います」

という言葉を聞いたときは、つい

「ながっ・・・」

とつぶやいてしまいました。語尾+語尾=うるさい。ですよ。時間、労力の無駄です。聞いていて、美しくありません。


わたしは人形劇をやるときに、絶対に「思います」は使いません。

「思います」と言った瞬間に、相手と自分の間に距離ができてしまうのです。


「わたしはこうしようと思います」

転じると、

「あなたはお好きなようにどうぞ」「まあ、気が向いたらご一緒に」

考えすぎなのかもしれませんが、私の耳には、乗ってきた相手を突き放しているように聞こえます。


アナウンサーも使っています。

「それではこのお店に入ってみようと思います」

これだと、「わたしが」が主語になってしまいます。せっかく、こっちの「わたし」も「あなた」と入る気分でいたのに。

「それではこのお店に入ってみましょう」

って言ってくれると、

「うんうん!入りましょ!」

となります。

「楽しみですよね!いい匂いがしてきましたよ~!」

というと、ますますわくわくします。


現代人の驚異的な自己防衛能力が、言葉尻に出ているのでしょうか。


人形劇で

「それではこれから、〇〇というおはなしをしたいと思います」

だと、お客様の気持ちは無意識のうちに離れます。

「これから〇〇っておはなしをするよ!さあ、どんなおはなしかな」

の方が、ぐっと近づいた関係になります。


話している相手を、自分の心のうちに入れるような言葉を使いたい。

あなたの前で話しているわたしは、あなたのことが大好きで、今ここで、あなたと共にこの場にいて、この時間を一緒にいられることが、とても幸せなんですよ、わたしはこの時を待っていたの。ということを、言葉一つ一つで表現していきたいのです。

言葉尻こそ、大事にしたい。人は結構、言葉尻を聞いています。

「人の言葉尻をとらえて・・・」って、言うくらいですからね。

これからも、言葉を追い続け、そして、大事にしていきたいと思います。


・・・。


あらっ!!!!

思っておりますのよ。ええ。失礼♪♪♪

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