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(続)学歴は成績証明書Transcriptをもって正式確認。卒業証明書(日本特有?)は不要・・・具体例

はじめに

別稿「学歴は成績証明書Transcriptをもって正式確認。卒業証明書(日本特有?)は不要」を補足する続編です。

アメリカでは大学、大学院、企業、機関に応募時の願書に卒業した高校、大学、大学院などから「直接」送付された成績証明書transcriptをもって過去の学歴を正式確認する旨を述べました。

卒業証書は額縁に入れて飾っておく写真のようなものですが、かつて大学教員採用人事に携わっていたころ、卒業証書のコピーを送ってくるケースに遭遇しました。もちろん無効です。また、卒業証明書は日本特有の慣行で、アメリカでは無視されるでしょう。

本稿ではアメリカの成績証明書transcriptの具体例を提示し、その記載事項の詳細を述べ、何故にこれをもって正式な学歴証明とするのかつまびらかにします。今回は筆者の最終学歴(博士課程、博士号取得)の成績証明書を例にします。

成績証明書はあなたがアメリカで勉学した記録を克明にそして正式に証明してくれる公文書です。これからアメリカの大学に留学される人の参考になればと思います。

筆者は1978年2月に博士論文審査を受け合格し帰国し、同年4月より慶應義塾大学に就任しました。したがって5月の卒業式には出席できませんでした。同年6月に以下の卒業証書とともに成績証明書transcriptが送られてきました。


ジョージタウン大学での博士号取得を表す卒業証書


以下が送られてきた卒業証書の写真です。

ジョージタウン大学博士号証書ラテン語で書かれている

ラテン語で書かれているので、下記の翻訳が付いていました。

博士取得証書の英訳(証書とともに送られてきた)

要は、筆者(Nathanael Yuji Suzukiアメリカ登録名)がジョージタウン大学で博士号取得をしたことを祝した卒業証書です。


ジョージタウン大学博士課程修了・博士号取得を証明する成績証明書transcript


以下が送られてきた1978年当時のジョージタウン大学大学院の成績証明書transcriptの写真です。


1978年ジョージタウン大学大学院博士課程成績証明書transcript


内訳項目を見ましょう。

*大学院名Georgetown University, The Graduate School , Washington D.C. 20007

*氏名 Nathanael Yuji Suzuki (筆者アメリカ登録名)  学籍番号 Student ID#
*生年月日3/02/44

*入学前の取得学位,大学,大学院 Keio University, B.A. Waseda  University ,M.A.  
*入学年月 Fall 1973

*所属学部 School of Language and Lingustics  学科 Linguistics
*対象学位 Ph.D

*1968年~1978年現在評価システム(Grading System Since June 1968 )
A=優秀Excellent 
B+=優Superior
B=良Good
C=可Fair
F=不可Failure
I=未完成Incomplete
W= 取り消しWithdraw(ad or drop期間中drop選択)
X=聴講Audit
S=Satisfactory (博士論文執筆中の所属研究会にのみ該当)

*取得学位 博士号Doctor of Philosophy (Ph.D)

*専攻 言語学(Lingustics)

*学位取得年月日 May 28, 1978 

*博士課程に要する外国語能力(母語以外2か国語のリサーチ言語に要する言語能力)1.英語(September 19, 1974~October 4. , 1975,言語学科履修授業での好成績での判定)2.フランス語(November 7,1974 フランス語科によるテストで合格)

*博士課程資格試験Qualifying  Examination for The Ph.d. (Comprehensive Examination for Master's DegreeでHigh Pass取得し正式にPh.Dコースに)October 9, 1974

*博士候補生試験Comprehensive Examination for the Ph.D  Dceember 9, 1975

*博士論文Ph.D Thesis ”A Generative Semantic Analysis of the English Modals"

*履修科目, セメスター毎に履修した全科目につき、授業要綱カタログ番号,コースタイトル Course Title, 成績Grade,単位Semester hours を列記しています。

これをもって正式にジョージタウン大学博士課程を修了し博士号取得したことを直接筆者に告げたことになります。それを受け、ジョージタウン大学事務局に慶應義塾大学人事課に成績原簿より筆者の成績証明書transcripのコピー一部を送るよう依頼しました。ちなみに卒業証明書transcriptは当該大学事務局(Registration Office)が直接応募先の大学や機関に送るもののみ有効とされます。

アメリカの成績証明書は日本の戸籍謄本・抄本に例えれば学歴謄本・抄本

筆者はこの成績証明書をみて大変感激したのを覚えています。それぞれの項目がまるで大見出し小見出しのように、筆者マガジン『アメリカ留学(1968-1978)を振りかえって 恩師の方々』に収録した10篇(特に最後の5篇)で述べたような留学の勉学の苦楽を想起させてくれるのです。

日本には自治体が保管する戸籍簿の写しである戸籍謄本と戸籍抄本があります。前者は家族全員を写したもの、後者は家族の内の1人を写したものです。アメリカの成績証明書transcriptは学校が管理する成績簿の個人の写し抄本に当たるものでしょう。日本の戸籍抄本には個人の出生からの戸籍を克明に記していますが、上記の成績証明書は個人の入学前後、その後の勉学記録を克明に記しています。成績証明書をもって学歴の正式認定する理由がよく分かります。




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