さぁ、ストレッチをしよう(週末琉球ごはんのすすめ)
前回の記事3時間後にしあわせが訪れる琉球料理「ラフテー」は、今年下半期で1番反響をいただきました。
ラフテーを何度か試作する中で、気づきがありました。というかずっと心に持っていたことが言語化できたようなので、ここで書いてみることを試みてみます。
「一緒にストレッチをしませんか?」
何それ!って思われるかもしれませんが、料理とつながりがあることなので、もう少しお付き合いください。
結論から言うと、一緒に時間のストレッチをしませんか?ということ。ここで言う「ストレッチ」とは、筋肉や関節を伸ばす体の動きではなく、時間の概念をグーッと伸ばす活動のことを言います。この「時間のストレッチ」が、日常の幸福度を上げる効果効能を持つように思うのです。これを説明する前に、時間について掘り下げてみます。
「時間を有意義に」の限界
私たちは「限られた時間を有意義に使おう」と言うことを、まぁまぁ子供の頃から教わってきました。1日24時間と枠があるからこそ、多くの方はルーティン化して日々の営みを効率よく済ませたり、「時短」グッズや方法を使ってみたり、工夫をされているのだと思います。私も普段はそう言うところがあります。
「時間を有意義に」と言う考えは素晴らしいことです。しかし、その考え方は必ず限界を迎えます。「有意義」と言うのは、本来は他人軸の思考なのです。自分で有意義だったと言っているように見えて、実はその背景には社会的な価値が隠れていると思います。そもそも「時間」「有意義」は概念であるため、限界がないのです。
ダラダラと琉球料理を作ること
だから私は違うことを言ってみます。「時間を有意義に」と言う思考を、意識して手放すことです。
無駄にしていい、ダラダラとしちゃっていい、好きなことを好きなだけしていい。時間は家族やパートナー、上司ためではありません。自分のものである、と言い聞かせるのです。
イメージしてください。目の前にふかふかのベッドが用意されました。今からここで好きに過ごしてください!と言われるのです。そう考えると、一気に時間という概念がブワッと広がる感覚を感じませんか?これが「時間のストレッチ」です。
私は、ゆっくりと琉球料理を作っているときに、似たような感覚を覚えます。
琉球料理は、宮廷料理なので時間がかかるものや、手の込んだメニューが並びます。(チャンプルーやポーク卵といったものは琉球料理ではなく沖縄料理で、含まれません。)
例えばラフテーを作る、となるとおよそ3時間かかります。普段の夕食は30分程度で作るので、その差はすごいこと。一見すると「大変なのでは?」と思われるかもしれませんが、そうではないのです。とことん、時間を無駄に過ごしています。
豚肉の煮込みをしている間は、ぼーっとしたり、コーヒーを飲んだり、模様替えをしたり、子供と遊んだり、SNSを眺めたり、好きな動画をみたり。普段の料理中にはできないような時間の使い方を心がけます。ダラダラしていたら料理ができちゃった!っていう感じなので、罪悪感もない。達成感すらある。(そもそも、週末なのだから、罪悪感がないのが当たり前なのだけれど)
効果は次の日以降にも現れます。そう言う時間を持った翌日、翌々日に料理をしていても、なんか心のゆとりができているんですよね。「時間がある」って思える感覚、肩の力が抜ける感覚と。
それがあるから、なんとなく平日の家事や、健康的な食事を続けられているのかな、と思うのです。
サーターアンダギー、イナムドウチ(沖縄のごちそう味噌汁)、ジューシーを作るときにも同じことを感じます。
その変化と体感が、ストレッチの効果効能に似ているなぁと感じたんです。
これに習って言語化するとすると、「料理をする」と言うひとつの行動の時間が普段になく伸びることが、ある種「ストレッチ」になる。それにより時間の概念が柔軟になり、行動の可動域(可能性)が広がり、緊張がほぐれる
と、結論付けてみました。
料理を作る、という時間をね、のび〜〜〜っと伸ばすんです。それが幸せ度を上げること、心と体の健康につながるのです。
週末に琉球料理を作る、と言うストレッチ法
以前の記事で「ゆんたく」と言う時間の重要性について、書いてみました。
ゆんたくとは沖縄の方言で「ゆるいおしゃべり」のことを表します。
この記事では「無駄なおしゃべり」が、成果を生むためにも重要だ、と言い切りました。そうしたら、この記事を読んだ同僚や知人、何人もの方が「私もゆんたく必要だ」とおっしゃってくださいました。共感のコメントも数件いただきました。
ゆんたくはいわばアジェンダ(議題)のない会議。これはビジネスの場では無駄とされる考えです。しかし、各人がその意義を認識した上でその場を過ごすことで、結果はついてくると思います。
今日の結論とも、通ずる考えです。
だから、私は週末に「ダラダラと一緒に琉球料理を作りませんか?」と言う提案をしたいのです。
料理に気が進まない方は、ゆんたく〜だけでもでも一緒にしましょう。
平日の過ごし方が変わってきますよ。
週末琉球ごはんに、こちらのメニューはいかがでしょうか。