見出し画像

文字は体調のバロメータ

小学生の時、漢字ドリルをやったことは誰でもあると思う。
横長の漢字ドリルを開くと、見本の漢字が一文字書かれていて、そのすぐ下の3つほどある空欄に見本の漢字を書く。空欄の見本には薄い破線が縦軸と横軸で薄く欄の中央に書かれていて、子供に書きやすいような工夫がなされている。

ここまで詳細に覚えているのは、単純に漢字が好きだったからだ。小学校1年生の時に「漢字の森」という、小学6年間で習う漢字の辞書みたいな本を、ボロボロになるまで読んだ。何がそんな好きだったのか、よくわからないけど、もしかしたら漢字の成り立ちが面白かったからもしれない。モノからコトについて、「なぜそうなったのか」を1人で深掘りして考えたり調べたりするのが今でも好きだ。もしかしたらASD(かな?)が研究者に向いていると言われるのはこういうところが所以なのかな、とも思いつつ、とにかく何かの成り立ちを知るのは好きだ。余談だけれど、そんなわけで漢字が得意なので、漢字の小テストだけは満点を取りまくるので、英雄みたいな扱いを受けていた。高校の時には漢検準2級が取れた。しかし悲しいことに、今ではそれは何の役にも立っていない。。。

しかし、その、好きなものに対してはトコトン好き+拘りが異常な性質のおかげで、困るときもあった。

漢字ドリルで漢字がうまく書けない時に、決まって癇癪を起こした。
見本みたいにうまく書けない。自分の思っていたような文字じゃない。なんで書けないんだ。そうすると決まって私は、わんわん泣いて、漢字ドリルや鉛筆を壁や床に叩きつけた。家族がびっくりして、私のところにすっ飛んできて、「うまく書けているよ」と言ってくれるのだけど、ただの慰めなんか要らない、私は自分が思うような文字を書きたいのだ、と聞かなかった。子供ながらに完全なアーティスト気質だ。そうしてわんわん泣きながら、折り込みチラシの裏にぎっしりと、納得のいくまでその漢字をひたすら書いた。いやあ、今思えば、完全に発達障害ですね。笑

さすがに30を迎えようとしている今は、自分の書く文字が気に入らないということでは癇癪を起こさない。ていうか、割とどんなことでも癇癪を起こさない。けど、文字を書いていて、何か形が気に入らないな、と思う時がある。そんな時は決まって、体調かメンタルの調子が落ちかけている、または落ちている時だった。それも自分が全然気づいていない時だった。思い返すと、イライラしているときに書いた文字は全然気に入らないし、またどれだけがんばっても綺麗に文字が書けない。逆に調子が良い時は、(自分で言うのもなんだけど)文字がめちゃくちゃ綺麗に書けていて、好きだ。これに気づいたのはここ数ヶ月のことだった。

そんなわけで、文字を書いているときに、「なんか文字がうまく書けない、気に入らない」と思う時は、休むようにしている。心なしか、イライラすることが減ったような気がしている。文字から測る体調のバロメータ。ここから自分の調子が分かるなんて、人生って面白いね、と他人事のように思っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?