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アメリカのコーヒー文化論考~アメリカ人はどんなコーヒーを飲む?~

 皆さんはアメリカのコーヒーと言われるとどのようなものが頭に浮かぶだろうか。おそらく多くの人には、薄くて飲みやすいアメリカンコーヒーの姿が浮かぶだろう。もしかするとアメリカ映画やホテルでよく見かけるコーヒーメーカーを思い浮かべる人もいるかもしれない。
 結論から言うと、その考えはおおむね正しい。
 アメリカのコーヒーは一般的に日本のものより薄めで、ちょっと浅煎りの豆が主流だ。ビーカー付きのコーヒーメーカーが主流というのも正しい。ほぼボタン一つでおいしくドリップをしてくれる優れもので、保温機能がついていない場合はレンジの直火でビーカーごと温めなおすという人もいる。
 ざっくりとした結論は以上だ。ここから先は一人のコーヒー好きとして、自らの経験と知識を元にアメリカのコーヒー文化を掘り下げていこう。


 アメリカ人が好きな豆はどんな焙煎?

 現在のアメリカでは世界中のコーヒーブームの例に漏れず、多種多様な焙煎が楽しまれている。ただ、国民的な好みはそう簡単には変わらない。
 やはりアメリカでは依然として浅煎りから中煎りの豆が好まれている。具体的に名前を挙げるとAmerican RoastとNew England Roastがアメリカ人好みの焙煎だ。

 American Roast: 日本でいうところの中浅煎りに相当するもので、日本人の感覚からすると割と浅煎りに近い。おそらくアメリカで一番飲まれている焙煎で、ダイナーなどで自由にお代わりができるコーヒーは大抵これだ。酸味と豆の個性がどちらもバランスよく出ていて、個人的には好き。

 New England Roast: アメリカンよりもさらに浅煎りの豆で、昨今ブームを巻き起こしているサードウェーブ系のコーヒーだ。サードウェーブ発祥の西海岸のコーヒーショップでよく飲まれる焙煎で、日本にも数店舗あるブルーボトルコーヒーのライトローストはまさにこれだ。アメリカ以外だとノルウェーやスウェーデンなどの北欧諸国でも一般的だ。代々木八幡にあるノルウェー発のコーヒーショップであるFUGLENのコーヒーも似た味がする。酸味が強めで豆に個性が思う存分に発揮されるので、フルーティーな風味のスペシャリティコーヒーが向いている。

 こういった浅めの焙煎が主流な中あえて深入りの焙煎を好む人も多く、彼らの間では日本の重厚感のある深入りのネルドリップは絶賛されている。今は無き大坊珈琲や、渋谷の羽富はアメリカのコーヒーファンの間でも知られている。
 次にアメリカではどのような淹れ方が行われているのか説明しよう。


 アメリカではどのようにしてコーヒーを淹れる?

 最初に書いたとおり、アメリカではコーヒーメーカーが日本よりも多用される。アメリカの家庭においてあの台形みたいなビーカーは、日本でいうところの急須みたいなものだ。これ以外でよく使われるのはケメックスだ。日本だとカリタやハリオといった独自のドリッパーが普及しているせいか、コーヒー専門店でもほとんどみかけない。壺のような形をしておりドリッパーとビーカーが一体となっている。仕組みは日本のペーパードリップと変わらない。

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 インテリアとして見たことがある人も多いだろう。

 ちなみに日本のガラスメーカーのハリオが作ったハリオV60というドリッパーはめちゃくちゃ人気で、ケメックスに迫る勢いをもっている。
 ペーパードリッパーを総称してHarioと呼ぶこともあり、ハリオはいつのまにやら世界的なメーカーとなっている。

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 日本では家庭でもコーヒー屋でもよく見られるお馴染みのハリオ。
このハリオでコーヒーを淹れることがアメリカ人の間ではヒップでクールだと見なされている。


 アメリカでエスプレッソは人気?

 結論から書かせてもらうと、アメリカでは意外なほどエスプレッソは人気がない(エスプレッソを使ったカプチーノやラテは人気)。
 確かにスターバックスやタリーズコーヒーなどのコーヒーショップには必ずメニューにある。しかし、一般的に家庭でエスプレッソが楽しまれているかというとそうではない。ネスカフェのコーヒーマシンによるネスプレッソがオフィスに置いてあるくらいだ。マキネッタやエスプレッソマシンは一部のラテン系を除くと使ったことがないという人がほとんどだろう。
 ヨーロッパと比べるとアメリカのエスプレッソの浸透具合は圧倒的に低く、日本とあまり変わらない。

 その他の細かい疑問

 Q.アメリカ人は一日に何杯コーヒーを飲む?

 A.三杯くらい

 Q.アメリカではコーヒー一杯いくら?

 A.安いところだと一ドルから二ドルくらい。本格的なスペシャリティコーヒーは日本と変わらない。

 Q.アメリカのカフェってどんな感じ?

 A.軽い食事ができて、お酒は出さない場所という認識。コーヒーショップやサードウェーブ系は日本とあまり変わらない。日本の喫茶店のような雰囲気の店はほとんどない。


 以上が長年アメリカに住んできた筆者の感想だ。コーヒーはアメリカ文化には欠かせないもので、アメリカ人にとっては日本人よりも身近なものかもしれない。日本でいうところの緑茶がアメリカ人にとってのコーヒーだ。
 コーヒーの平均レベルは日本の方が高いけどね

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