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貧困・孤独に苦しむユース世代向けの居場所をつくりたい! 若者の自立をサポートする、新今宮駅近くの「ヨル・ベース」

このインタビューは、WAM助成(社会福祉振興助成事業)に取り組む釜ヶ崎支援機構の居場所・住まい・仕事・社会参加バージョンアップ!ヨル・ベース事業を記録し、最終的に報告書として紹介する目的で作成されました。

編集・執筆:狩野哲也

15歳から25歳向けの居場所づくりはなぜ必要なのか?

ーーーヨル・ベース事業のメインの柱として、住まいの支援・オーダーメイドの就労・生活支援のあるユースの居場所づくりをしていくとお聞きしました。ユースの居場所づくりは今なぜ必要なのでしょうか?

釜ヶ崎支援機構 小林大悟さん
いわゆるユースセンターの必要性が社会全体でも認知されつつありますが、我々として必要だと感じる点は大きく2つあります。

釜ヶ崎支援機構 小林大悟さん

孤独状態の若者たちが頼れる場所をつくりたい

まず1つ目です。法人を設立して以来、我々はいわゆるホームレス状態の方を支援してきましたが、年齢としては比較的40代、50代、60代の方が多く、その人たちの過去を紐解いていくと、 幼少期の家庭が困難な環境であったり、ユース世代の頃の生活が孤独であったり、孤立した状態の方が多かったんです。

若い間はどうにか仕事で食いつなぎながらギリギリの生活していたりするんですけども、年を重ねることによって、求職市場の中での価値が下がってきてしまったり、 本人の肉体面や精神面が不調となってしまって仕事につきづらくなりホームレスに至ってしまう方がとても多いんです。

だから孤独状態の若者たちが頼れる場所を若いうちに見つけたり、つながれることによって、将来の生活が危機的状況になることを防ぐとともに、そうなりそうになった時にリカバリーできる、誰かに頼ったり、必要な情報を入手できる場所をつくりたいというのが1つ目の思いです。

若者世代の支援がすっぽり抜けている

もう1つは、釜ヶ崎と呼ばれるこの地域は、子どもの支援団体が小さなエリアの中に3つあり、子育て支援はすごく注目されています。また年齢構成として40代以上が主となるホームレス状態の方を対象にした支援もそれなりに整っています。ところが、若者世代の支援がすっぽりと抜けている状態なのです。この隙間を埋めることによって、長い人生の中でつまずいて苦しい状態になってしまうリスクを減らしていくというのが2つ目の思いとしてあります。

これまでの釜ヶ崎支援機構の経験と、これからの取り組み

ーーーではその課題に取り組むために、夕方から夜間にかけて安心して立ち寄り過ごすことができるユースのための居場所(ヨル・ベース)をつくっていくということですね?

はい。これまでの取り組みとしては、2019年から西成区より対象者に若年層が多く含まれるサービスハブ構築運営事業の委託を受けてユースへの生活支援や就労支援をはじめました。2020年から若者向けの居住支援を我々の団体ではじめ、 そこで若者の住まいと仕事のお手伝いをする機会が一気に増えました。さらに2023年度から若者向けのシェアハウス事業を立ち上げました。

そのさまざまな事業の運営の中で、仕事と生活の支援だけではなかなかうまく歯車が回っていかないことがありました。例えばせっかく仕事に就けても離職率が高いとともに、そもそも仕事に行く段階までなかなかたどりつけない方が多いという課題が見えてきました。

ただ、我々がサービスハブ構築運営事業の利用者向けに開設している居場所を高い頻度で利用してる人ほど就職率が高く、離職率も低いという効果が得られたので、そういう意味で、居場所の重要性を痛感しています。

参照記事/アルコール依存症だったYさんが「サービスハブ西成」を利用して清掃業に就くまでの8ヶ月間 - ヨリドコオンライン

また、昼夜逆転してしまっている若者たちが多いので、 今まで取り組んでこなかった、若者たちが比較的出入りしやすい時間帯である夜の居場所を開設した方がよいと考えました。

ヨリドコハウスの運営で見えてきたこと

ーーー若者向けシェアハウス「ヨリドコハウス」が1年経過して何か見えてきたことはありますか?

ヨリドコハウスはすぐ入居者が決まるので積極的には宣伝してないんですけども、大きく2つの入口で入ってくる若者がいます。1つが児童相談所や自立援助ホームからの紹介で来ること、もう1つが、ヨリドコオンラインでのLINE相談で辿り着く人たちの2パターンです。

想定はしてなかったんですけれど蓋を開けてみたら、 過去の入居者全員が児童養護施設や自立援助ホームに入所していた子どもたちだったんです。そこからわかるのは、いわゆる社会的養護と呼ばれている領域には年齢制限があって、18歳でポンと社会に出されても、うまくいかない人たちが一定数いると感じました。

生活面をシェアハウスの中で見ていると、生きていく力が弱い人がすごく多いと感じます。自分が暮らす環境をきちんと維持管理することができない人が圧倒的に多い。 例えばトイレの使い方がすごく汚かったり。食べ終わった弁当の容器を捨てられず、部屋をゴミだらけにしてしまうなど、快適に生活していくためのスキルが低い人が多いです。

金銭面では、自分の状況に応じて毎月かかる固定費を算出して、自分の収入と照らし合わせて支払いを済まして、その上で自分の生活を回していくスキルがある人もほとんどいないから、家賃が未払いになってしまう場合がかなりあります。ちなみに家賃は一般と比較してかなり安いです。

ーーーなるほど。ヨリドコハウスの入居者はどんなアルバイトをされているんですか?

今の入居者はなぜか全員飲食店勤務で接客ではなく、料理をつくる側が多いですかね。ただ、離職率が高いです。入って半年以上仕事を続けた人は1人もいないです。離職は別に構わないし、私自身もたくさん転職してるんですけども、次の仕事を決めずに退職してしまうというのが特徴的です。自分にかかる負荷を爆発する前に上手に処理する力が低いので、そのあたりをサポートする機会をつくっていきたいです。

ーーーヨリドコハウスの入居者の人たちが「ヨル・ベース」の対象者でしょうか?

彼らも対象者ではありますが、広く夜に居場所がない若者たちを受け入れていきたいですね。

ヨル・ベースの活動予定

いまヨル・ベースの活動でイメージしているのは、フードバンクからの食材を活用した食事の提供をしたり、自炊の面白さを学ぶ機会をつくったり、料理をみんなで一緒につくったり、テレビゲームで遊んだりしようと考えています。

参照記事/ヨリドコキッチン始めました | サービスハブ西成

すでにうちの団体が就労支援の場所として運営している食堂「ヨリドコキッチン」の営業日が火・水・金曜日なので、それ以外のヨリドコキッチンが開いていない曜日に週2回ぐらいのペースでヨル・ベースを運営していきます。


ヨリドコキッチン 大阪市西成区萩之茶屋1-11-2 営業日は火水金の17〜21時(L.O.20時半)

そのために同世代の学生ボランティアも募集します。サポートする職員は世代が違う分、価値観などもズレる部分があると思うので、比較的世代の近い人たちといっしょにサポートしていけたらと考えています。

ーーーこの記事を読んでヨル・ベースを利用したいと感じた人はどうすればいいですか?

ぜひこちらのLINEからご連絡ください!

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