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事例集Vol.1|子どもが主役の放課後づくり~「○○したい!」の集め方とカタチにしていく方法~

いま、国・自治体、子育てや教育に関連する施設・機関等において「子どもの意見反映」が推進されています。

放課後の居場所においては、子どもたちの「○○したい!」「こうなるといいな」の声をどう集められるのか、そしてそれをどのように活動や環境に反映できるのか、私たちの事例をご紹介します。


■国も「子どもの意見反映」を推進

2023年4月にこども家庭庁が創設されたことを機に、「こどもまんなか」を合言葉にして、子どもや子育てに関する施策が推進されてきました。その中で、「子どもの意見を尊重し反映すること」を国としても積極的に進めてきています。

196の国と地域が締結している、「子どもの権利条約」においては、“4つの原則”の中の一つとして「子どもの意見の尊重(子どもが意味のある参加ができること)」が掲げられています。

また、こども家庭庁創設と同時に施行された「こども基本法」の”6つの基本理念”の中においても、
・年齢や発達の程度により、自分に直接関係することに意見を言えたり、社会のさまざまな活動に参加できること。
・すべてのこどもは年齢や発達の程度に応じて、意見が尊重され、こどもの今とこれからにとって最もよいことが優先して考えられること。
と定められています。

そして放課後の居場所では、こども家庭庁の「こどもの居場所づくりに関する指針」において「こども・若者の視点に立ち、こども・若者の声を聴きながら居場所づくりを進めることが必要」と明記がされているのです。


■子どもたちの声の集め方|できることからはじめてみる

「子どもたちの声を聴きながら居場所づくりを進める」と言っても、まずは、どのようにその声を引き出せばよいのでしょうか。

私たちの運営するアフタースクールでの事例をもとに、子どもたちの声を集める方法のいくつかの例をご紹介します。

子どもの声を集める方法の一例

「やりたいこと」を書き込める年間のカレンダーを常設しておく
見通しをもちやすくなり、夏休みやクリスマスなどの季節ごとのリクエストが引き出しやすい。他の子からどんなリクエストが出ているかが見えて、意見しやすい。また、これまでに実現できたものもあわせて可視化できる。

いつでも書き込みOK!実施したものにはシールを貼っている

本棚の近くに「読みたいマンガのリクエスト」を​書ける紙を貼っておく
普段の遊びや過ごし方と紐づけることで、気軽に意見を出せる。小さなテーマから子どもたちの声を聴き、できることから少しずつ実現していく、そのサイクルが定着すると、子どもたちが「意見や想いを伝えていいんだ」と実感し、テーマも広げていきやすい。

本棚に貼られたマンガのリクエストを募る掲示

定期的に子ども会議を開催し、テーマを設けて意見を集める(例:「放課後の居場所がこうなるといいな」「どんな夏祭りをやりたい?」)
一緒に放課後の居場所をつくっていく一員として、意見を出してもらう。中高学年が参加してくれたら、会議の進行を任せ、スタッフは記録や相談役としてサポートに回る。盛り上がるときもあれば、モチベーション低めでうまくいかないときもあるので、子どもたちの様子を見ながら設定していく。

このように、すぐに始められそうなものから、子どもたちと一緒に場をつくっていくものまで、その方法や内容は様々です。
ここで、声を集めるときに大切なポイントを3つ紹介します。

声を集めるときに大切な3つのポイント

➀問いは、子どもたちにとって身近で、自身の経験から語れるような話題であること
➁子どもが気軽に「話したい」「伝えたい」と思えるような環境設計をすること
➂「聞いているよ」「伝わっているよ」を伝え、見える化すること

子どもの「伝える力」もスタッフの「聴く力」も、最初から備わっているものではありません。経験を重ねることで少しずつ磨かれていくので、まずは「とりあえず始めてみようかな!」くらいの気楽さで、できそうなことからスタートしてみるのがおすすめです。


■「○○したい!」をカタチにしていく方法|活動事例をもとに

私たちも、子どもたちと一緒に日々試行錯誤を重ねながら、活動設計をしています。今回は「子どもの声」をもとに、子どもたち自身が主体となって活動をつくっていった5つの事例をご紹介します。

❶やりたいを実現する!トキワ松アフターマルシェ

・活動内容:季節イベントに合わせて子どもたちがお店屋さんを企画・運営
・声の集め方:子ども会議

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子どもたちに任せる、というのは少なからず心配な気持ちもあります。
「それだとうまくいかないかも、、、」「こうしたほうがいいんじゃない?」など、おせっかい心が働いて、つい口を出しすぎてしまうことも多いのです。
でも、少しうまくいかなかったとしても、あるいは大人から見たら「もっとこうしたらよかったのに…」と思うことがあったとしても、子ども自身が「こうしたい」と思ってやることこそに価値があり、彼らの「満足感」「経験知」につながるのだということを学びました。


❷「居たい・行きたい・やってみたい」を叶える居場所を目指して~ただ今、活動設計中!~

・活動内容:月1回で、子どもたちのやりたいことを起点に○○実行委員を組織し、プログラムを企画・実施
・声の集め方:子どもたちとの会話の中から拾う

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「あいキッズは『時間』『場所』『相談できる人』を用意するから、やりたいこと表現してみようよ、できるよ、やっていいんだよということを子どもたちに知ってもらって、自分たちで自分たちの居場所を創造してほしい」私たちスタッフの一番の願いです。


❸子どもの声に寄り添いカタチにするスタッフにインタビュー!~子どもが企画運営する「こどもキカク」とは?~

・記事の概要:❷のブログ内にある「こどもキカク」を担当しているスタッフへのインタビュー。伴走の方法や子どもたちのエピソードを紹介。
・工夫ポイント:子どもたちの声を実現した活動を掲示物として見える化。それを見た他の子どもが、自分も○○やりたいと声をかけてくれることも。

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子どもたちと企画をやるとき、私からは絶対に「無理」と言わないようにしているんです。「やってみたい」に対して、やるなら何が必要だと思う?と問いかけてみて、そして自分自身で「やっぱり無理かも」ということに気づいてもらいたくて。考えてみてできるかもと思うなら、頑張って難しいものを実現するか、何かを我慢してできる範囲で実現させるかというところで、提案や声掛けをしたり。私からは、「無理」ではなく、「できる方法」を伝えるようにしています。


❹子どもたちのやりたい!を形に できたよ!を力に

・活動内容:子ども主体のプログラム企画
・声の集め方:やりたいことをいつでも書き込めるようにカレンダーを常設
・工夫ポイント:「やりたい」を実現するための計画書を子ども自身が書く

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子どもたちの目に見える状態にしたことで、いつでもひらめいたときに表現できるようになりました。普段は言い出せない子もそっと自分の気持ちを表現することができ、また、友達の「やってみたい」に共感して協力し合う、仲間づくりも始まりました。


❺子どもたちのリクエストを叶える~Kidsgram(キッズグラム)でより多くの子どもたちの「やりたい!」を形に~

・活動内容:子ども主体のプログラム企画
・声の集め方:掲示型のアンケートでリクエスト募集

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放課後という日常の中でより多くの子どもたちが純粋にやりたいことができ、夢中になれる機会をつくっていこうという想いから、「Kidsgram(キッズグラム)」という子ども主体の活動をスタートさせました。(中略)
今では大人が予想もしていなかった素敵なリクエストをたくさん上げてくれます!「のみ会」も“子どもだけ”というところがまたいいですよね(笑)「おかし食べ放題」「お昼寝」「おとまり会」などなど…!放課後でやるためにはどうすればいいかを子どもたちと一緒に考え、ぜひ実現できればと思っています!!


■最後に

子どもたちが「自分たちの意見を言ってもいい居場所なんだ」と認識していくと、子どもの主体性が発揮され、どんどん意見があがってきます。
ただ、声を集めたその先で「絶対それを叶えなければならない」「叶えることがゴールだ」ということではありません。

子どもたちにとっては、自由に意見を言える場があること、そしてそれを真剣に聴いて「これならできるかも」と一緒に考えてくれる人がいること、このような環境が身近にあることが自体が大きいと思います。

うまくいくときもあれば、そうでないときもある、その一連の経験を通して、子どもたちもスタッフも共に成長していき、徐々にその関係性が「共につくる仲間」になっていきます。

子どもが集う居場所の主役は、子どもたち自身。
次、子どもに会ったとき「ここがどんな場所になるとみんなが楽しいかな?」と問いかけてみることから始めてみませんか?

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文:コミュニケーションデザインチーム・太田