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【後編】地方自治体ご担当者様向け勉強会『こどもまんなか社会』をSDGs×公民連携×放課後でつくろう!

~前編からの続き~


■パネルディスカッション

木村祥一郎さん×松尾泰貴さん×平岩国泰

ここからは株式会社みせるばやおの代表を務める木村石鹸工業株式会社社長の木村祥一郎さんに加わっていただき、松尾さんとのトークセッション。平岩がモデレーターとして、お二人にいろいろなお話を聞きました。

木村石鹸工業は八尾市で創業して来年100周年ということで、会場の皆さんから温かい拍手が起こります。やさしいイメージの木村さんですが、松尾さんが「みせるばやお」プロジェクトの話を持ちかけたとき、「行政も八尾のまちも嫌いだから、興味ない」と話半分で聞いていたそうです。

木村祥一郎さん(写真右):木村石鹸工業株式会社 代表取締役/株式会社みせるばやお 代表取締役社長。1995年、IT企業を立ち上げ、商品開発やマーケティングを担当。2013年、家業の木村石鹸工業株式会社へ。2016年、4代目社長に就任。稟議書の廃止、「自己申告給与制度」の導入、社員自らが組織づくりを行う「じぶんプロジェクト」等、自立型組織改革をめざしている。

木村「でも松尾さんがかなり熱意を持って、この会社の人は木村さんが出たら参加されると言っていますとか言われて。半分騙されたみたいな感じでした(笑)」
松尾「面白い企業がたくさんあるのに、横のつながりがない。もったいないので、飲み会ベースでマッチングしたら、あっという間に仲良くなっていきました」

しかし、規模も業種も異なる企業が集まれば、利害の一致は難しいもの。いざ何をしたらいいのかと悩みました。そんなとき、「子どもに仕事を見せ、体験してもらい、喜んでもらう」というテーマが飛び出し、全員が賛成して一致団結。中小企業のコミュニティが生まれ、「みせるばやお」を活動の拠点にその絆も深まっていきました。

「とにかくやってみたら面白かった」と木村さん。面白いだけではなく、社員の育成や人材採用などに大きな効果もあったと教えてくれました。

木村「社員がやりがいを感じてくれたんですよね。ワークショップで子どもに教えるためには自分が理解しないといけませんので、めちゃくちゃ勉強する。それから、ワークショップでうちの存在を知ってくれた学生が、地域貢献している会社だからと入社してくれる。ものづくりのまちとして、八尾のブランドが認知されると、地元企業の価値も上がるんだなと感じました」

松尾さんに行政の立場で苦労した点を尋ねると「八尾市と地元企業さんで費用は折半して運営する形ですけど、公共施設にはしないようにするのが大変でした」。公営にしてしまうと、行政に責任が生じるため、イベント内容に対してもルールが厳しくなりがち。そうしたことに縛られず、自由に使ってほしかったからだそうです。

みんなで楽しんで育ててきた「みせるばやお」のワークショップには、来場者数もどんどん増加。3年連続で体験にやってくる子どもたちもいて、この先、地元の就職率アップにも期待が持てそうです。


■グループディスカッション~交流会

ここで、勉強会に参加された方々を3つのグループに分け、これまでのお話を聞いて印象に残ったことなどを語り合っていただく時間を設けました。
各グループには当団体スタッフが入り、グループ内のお話をまとめて全員にシェア。各グループから、こんなお声をいただきました。

グループ①
・これから取り組みをするにあたって、企業と子どもをつなぐという具体的な事例がそのまま参考になりました。
・地元を出て行った若い世代に戻ってきてもらい、人口流出に歯止めをかけたい。そのために何ができるかと考えたとき、共通のテーマとして、子どもを中心とした取り組みはいいなと気づきました。
・行政はルールに縛られるところが大きいですが、それをどう解釈するか、どう突破していくかというところで、松尾さんのお話を聞いて勇気づけられました。

グループ②
・子どもたちを喜ばせたい、そんなまちづくりを考えていたので、バックグラウンドも様々な方がいらっしゃる地域の中で、子どもをキーにするというお話がとても刺さりました。
・「みせるばやお」が子どもたちだけでなく、就職世代にも響く場所になっていることがわかりました。
・「みせるばやお」のワークショップに興味が湧きました。プログラムをどう組み立てているのか、現場ではどんな苦労があるのかなどをもっと知りたいです。

グループ③
・現在も地域の方々とプログラムを実施しているのですが、企業さんが入ってくださるという可能性に気づきました。
・企業との連携で市町村のメリットはあるのかと思っていたけれど、今日のお話を聞いて、あると気づいたので、ぜひトライしてみたいです。
・子どもを軸にすることで、関係省庁や産業界など、いろんなところとつながって取り組みを進めることができるのではと思いました。

ディスカッションの後は交流会です。参加者の皆さんは全員と名刺を交換しながら、積極的にコミュニケーションをとられていました。ゲストの松尾さんや木村さんとトークが盛り上がっている姿も見られ、会場のあちこちから楽しそうな笑い声が。熱気あふれる皆さんの様子に、この勉強会に対しての満足度の高さを感じることができました。


■参加者にお話を聞きました!

滋賀県総合企画部 企画調整課 企画第二係 主事
上坂崇人さん

滋賀県でも今年度から「みせるばやお」プロジェクトに近い事業を、放課後NPOアフタースクールさんにご協力いただいて、スタートする予定があります(※放課後NPOアフタースクールでは、2023年6月より滋賀県総合企画部企画調整課より、「SDGsまなびとイノベーションプラットフォーム」事業の運営を受託。詳細は追って皆さんにもお知らせ致します!)。SDGsへの取り組みの一環で、企業と子どもを結んで、体験の機会を増やそうというものです。今日のお話で特に参考になったのは、ゼロから企業さんとつくり上げたことで、成功モデルになったというところですね。皆さん、やっぱり当事者意識があるから熱心に活動していただけるんだろうなと。滋賀県は同じ体制というわけではないのですが、平岩さんのご意見も伺いながら、そんなプラットホームにしていくのが大事なことだなと思います。
木村さんがインナーブランディング、会社の経営にとってもいい側面があったとおっしゃっていたので、県内の企業さんにもこの事例をぜひ紹介していきたいです。

京都市子ども若者はぐくみ局 子ども若者未来部育成推進課
小野寺亮太さん

「こどもまんなか」という言葉が世の中に出てから、その社会をどうやったらつくっていけるのかなっていうことをいろいろ考えていました。
京都は日本で最初に小学校ができたところで、「まちづくりは人づくりから」と、当時はみんなでお金を出し合って小学校をつくったという歴史があります。それがいまは人口減少が著しく、活力の低下が懸念されています。その中で、子どもを真ん中に据える社会づくりに本気で取り組んでいかないといけないという危機意識があったので、今日はすごく勉強になりました。
「みせるばやお」を立ち上げた松尾さんと木村さん、行政と民間の方が同じ目線で話されていたのが印象的でしたね。ゼロから一緒につくることで信頼関係もできて、それがまちづくりの原点になっていたんだろうなというのが大きなヒントになりました。


今回の勉強会を終えて、平岩も「昔の日本には寺子屋があり、長屋文化があって、地域で子どもを育てていました。子どもとつながることで、大人も社会も幸せになっていく。自治体の方々に、いまもできることがまだまだあるとお伝えする機会が持ててよかったです」と参加者の皆さんに感想を伝えさせていただきました。

勉強会にご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました!

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