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ことばの教育「インプリンティング」

「話して聞かせる」

文科省の推し進める教育改革の骨子が次々と発表されている。学制の変更は昨日も申し上げた通り。教育委員会の改革も、各自治体主導の考え方がある。力には力という論理の集団的自衛権問題や、特定秘密保護法等と相まって、知らぬ間に軍事国家、警察国家のような様相を呈してきた気がする。教育者として、親として危機感を感じている。

退廃した社会、閉塞感の漂う社会、今問題視されている「居所不明児童」のように、犠牲になるのは常に社会の弱者達だ。選ばれた命としてこの世に誕生し、本来であれば親の愛情に包まれ育つはずの幼い命、無縁社会と言われるように、誰にも見てもらえず、ひっそりと短い命を終える子ども達に、どんなことばをかけられるだろう。こうしたニュースを見るたびに無力感が全身を襲ってくる。せめて、今目の前にいる子ども達をと考える。体調はいまいちだが、何故か子ども達の前に出ると息を吹き返す。子どものパワーは凄い。私を元気にさせてくれる。

生まれたての我が子に、さて親は何を学ばせるだろうか。これは、たぶん世界共通だろう「ことば」であるはずだ。子どもがことばを学ぶには2通りある。一つは目から、もう一つは耳からだ。生まれたての子どもは耳からことばを学ぶ。親、得に母親から繰り返し、それも継続的に発せられることばを聞き、子どもはコミュニケーションの際大切な道具となることばを覚える。母国語の誕生だ。

このことをことばのインプリンティングという。0歳から3歳までの母親や父親が話すことばはとても大切で、何故なら、子どもの知的発達に大きな影響を及ぼすからだ。今、小学1年生で先生の話を聞けない子ども達が多いという。それは、小学1年生に限ったことではないが、ことばのインプリンティングが足らないとこうした人の話を聞くことが出来ない状態を招く。幼児教育、とりわけ0~3歳までの年齢は「ことばがけ]「はなしがけ」を欠かしてはならない。また、次のことも忘れてはならないだろう。こどもの幼児期の語彙数は親の愛情に比例することを。

幼児が文字や数字に興味関心を示してくる時期は平均して3歳半ごろだ。この前に、しっかり耳を鍛えておくべきだ。だから、話しかけも、言葉がけも早口ではいけない。ことばをしっかり聞き取ることが出来なければ意味はない。何度も言うが、ことばを指導する際にフラッシュカードを使う場合がある。ことばの重要性と子どもの心の発達を十分理解している指導者であれば、けして早口では発音発声はしない。はっきり解る発音発声を心がけなければいけない。事務的に行えば良いという指導ではだめなのだ。

耳から学んだことばは、3歳半前後を境に目から学ぶことばへと移行し始める。つまり「文字を読む」という学習が始まる。現代社会では、この「目から学ぶ」学習に傾きすぎている。これは、私達幼児教育に携わる者にも責任がある。民間幼児教育が、あまりにも利潤追求に走りすぎ、奇をてらう教育が人目を引くことを理由に、指導が見世物のようになってしまったからだ。「幼児で四字熟語が!」など、教育の基本を忘れてしまった。子どもの成長発達に促成栽培のような指導は絶対に避けるべきだ。「聞いて学ぶ」3歳までにすべきはこのことばの教育ではないだろうか。この教育は、この先も続く。親は、幼児期の子どもの前でけして寡黙であってはならない。

2014/6/5


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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