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学習と緊張感

「スリル・スピード・サスペンス」

私は立場上数多くの先生方の授業を見る機会があります。最近、民間教育は個別指導が中心となり、授業というより、その名の通り「指導」という言葉の方がぴったり来るようです。子ども達の環境は、少子化も手伝い、集団で切磋琢磨し刺激し合うというより個人に偏る学習が目立ちます。しかし、学習の主体となる学校は間違いなく集団授業で指導が行われます。幼児教育も少集団で行われるのですが、「子どもは集団で育つ」という言葉通り、少なくとも1クラス8名前後の人数が最適と考えています。小学1年生で、授業中座っていられない、勝手に立ち歩く、私語が多く先生の話を聞けない等、いわゆる「小1プロブレム」は子ども達が育ってきた様々な環境によって引き起こされていると考えられます。それは、幼児期の過管理・過干渉、個食など一人でいる時間の長さ、保育時期と保育時間の長さ、会話の少なさ、親子のコミュニケーション不足と多くも問題点が浮き彫りされます。

私達、教育現場では、授業に工夫を凝らし、集中を高める為似様々な指導を行います。フラッシュカードはその中の一つです。フラッシュカードは、見なければ答えられない、聞かなければ応えられないという場を作ります。また、一定のスピードが子ども達に緊張感を与えるのです。授業ではある程度の緊張感が必要です。緊張感は、学習に対する意識を高めてくれます。子ども達に欠けている緊張感、最近、特に著しく低下しているのではないでしょうか。私の授業に「スリル・スピード・サスペンス」というものがあります。子ども達に対し、驚くべきスピードであてて行きます。即答できなければ立ちます。次に答えられれば座れます。勿論順番通りなどあてません。一度座っても直ぐに質問がくるということもあります。また、右側の生徒を見て、左側の生徒をあてるという離れ業も披露します。子ども達を叱ることなく集中させ、緊張感の中、次の質問を予想させます。この授業は疲れますが、子ども達に人気です。すると、1時間の授業で30~40回も子どもが答えられる場があるのです。それだけ集中していないと立ったまま授業を受けることになります。それは、立ち歩くことより座れることの有り難さを肌で感じることになります。よそ見をすれば直ぐにあてられる。聞くときに何かを書いていれば直ぐにあてられる。そんな緊張感のある授業は活気があり、楽しく学ぶことができます。

学力の低い子は、10人が10人、授業中先生の話を聞いていません。と言うより聞くことができません。学ぶという基本ができていないからです。「学ぶ為には何が必要ですか?」と子ども達に聞きます。すると、彼らの口から正解が出てきます。「聞くこと・見る事です。」であれば聞きましょう!見ましょう!となります。ではしっかり聞いているかをどのように判断するかです。ここでフラッシュカードの指導を活かします。それが復唱です。授業では、声に出すことが大切です。答えるとき、発表するとき、必ず声を出します。それだけで緊張感が生まれます。誰かが答えているとき、声を発しているとき、他の生徒にはそれをしっかり聞くよう指示します。話す側、聞く側、それぞれに緊張感を与えるのも指導者次第です。しっかり聞いているか確認の質問が飛びます。

実は、以前、研修中に先生方を立たせたことがあります。この研修は今でも語りぐさになっています。生徒になった感覚で緊張感を持って貰う為です。それほど学習と緊張は切っても切れない関係にあります。

緊張には照明も関係してきます。レストランなどリラックスするときの照明は白熱球のオレンジ色、大してオフィスなど仕事の緊張感を持つためには、白色の蛍光灯です。子ども達が居間や食卓で学習する事が多いのはこのためです。どこか安心する場所なのでしょう。

2013/1/7


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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