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教育評論家・研究家 石川幸夫の教育ブログ

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現在、教育評論家・研究家として活動を行い、弊会理事でもある石川幸夫先生による教育に特化したマガジンです。専門は、幼児教育および小学生教育で、胎教から、子育て、受験、学習など幅広く…
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#計算

思考が停止する子ども達

「学習中の独り言は…」 酷暑の中の夏期講習もいよいよ大詰めです。私は算数・数学の担当です、教室は冷房が効いている良いのですが、扇風機だけだっらと思うとぞっとします。この暑さでは脳も思考停止をしてしまうでしょう。新指導要領が展開されてから、学力遅滞、昔言われた「落ちこぼれ」について問題提起をしてきました。やはり、20年前の小学生と比較し、文章問題などの理解力、発想力は間違いなく低下しています。今、私の手元にある文章問題の資料は、1970年代後半のものです。中学入試に向けて文章

考えない子ども達

「算数の問題で…」 多くの小学生が躓く問題があります。それは、「距離・速さ・時間」・「割合」・「比例・反比例」「単位換算」などです。その中でも、「距離・速さ・時間」に関係する問題と、「割合」では相当手こずっているようです。算数では、よく計算の重要性が叫ばれます。それは、その後出てくる多くの問題を解く際に必要な学習だからです。計算ができなければ答えを導くことはかなり難しいでしょう。だから、計算練習が多くなるのです。ただ、計算問題ばかり練習しても、算数を理解したとは言えません。

考えること

「質問の反芻(はんすう=繰り返す)」 授業中に生徒達に向けて行う質問、投げかけられた生徒の反応がそれぞれ違います。ある生徒は即答し、ある生徒は首を傾げます。そんな中に、私の質問を何度も繰り返し声に出す子がいます。  先生:「この計算はどこから始めますか?」  生徒:「この計算はどこから始めますか。」     「この計算はどこから始めますか。」     「うぅーん、えーと、この計算はどこから始めますか。」 質問を繰り返しながら、問題に取り組みます。最近、このように問

子どもの学習履歴

「学習の積み残し」 学年が上がる毎に増してくるのが学習内容の積み残しです。この積み残しが最も顕著に表れるのが、国語では漢字であり、算数では計算です。このどちらにも共通するのが、「演習量」です。つまり、ある程度の量を繰り返し行うという、子ども達にとって家庭学習の積み重ねが問われます。このブログで何度か申し上げたように、例えば1年生の漢字は80文字です。何でこれだけの数を覚えられないのか?と疑問に思う保護者は意外にも多く、表面的な数字でごまかされます。漢字を分析すれば、音読み・

こんな所でつまずく算数

「ケアレスミスが全ての元」 中学生の数学、テスト採点をしていると頻繁に出てくる「+」と「-」の符号ミス。分析してみるとそれがミスでないことに気付きます。一定のパターンの数式でそのミスが発生しているからです。これはミスではありません。正負の符号の付いた計算の中で、足し算や引き算の場合と、掛け算や割り算の場合で異なる符号の変化をしっかり学びきれていないことが原因です。こうした一見ケアレスミスによる計算などの間違えは、認識不足や学習不足が主な原因です。こうした学習の積み残しは小学

誤った認識が…「独り言」

年末も押し迫り、今日のクリスマスが過ぎると、日本国中新年への準備に入る。しかし、年々、日本の正月の風情がなくなって来ていることが寂しい。今年は、後半から教育界に学習の低年齢化の波が押し寄せてきた。中高生から指導に力を入れ初めても遅い、というのが大方の見方であり、実感である。算数という学習で、子ども達の状況分析をすると、やはり小数・分数での躓きが目に付く。特に、計算では、数の概念に問題を抱える子が多くいる。 今月初めに行われたプリンスジュニア新越谷校のセミナーで、タイルを使用

タイル指導の強化

文部科学省は、20年度から、中学校の英語を原則として英語で行う方針を決めました。英語の必要性については今更確認する必要はありません。日本人の英語力の無さは、この間行われてきた受験に問題があります。筆記で合否を決定してきたので、話すこと、聞くことは英語授業の基本ではありませんでした。つまり、高校や大学に入るためのテストであり、そのテスト自体も、会話力など特に求めてはいませんでした。文科省の教育改革は、今後来年に掛けて更に加速していくと思われます。 英語同様、算数・数学の授業も

計算

「素過程計算」 算数の力を示すものの一つに計算能力があります。計算は、算数の基礎と言われますが、学習自体が簡単で地味、そして、面倒くさいと言われています。種類は、基本である足し算、そして、引き算、かけ算、割り算の4種類です。ここに混合計算や、括弧を含んだ計算が加わります。これら基礎計算の学習は小学3年生でその指導を終了します。その後は、桁の多い計算や、複雑な計算など、それまでの機械的な計算処理ではなく思考する計算へと変化していきます。 チャレンジ100という計算練習のプリ

家庭学習

「幼児から始めよう”家庭学習”」 学力時代は、徐々に進行速度を上げています。この時期、中学では中間試験の真っ最中か、既に終了している時期です。たぶん、中学1年生は、期末試験の結果から大きな衝撃を受けている生徒は多いでしょう。中間と比べ、平均点は大きく下がっているはずです。それは、学習進度の速さから来るもので、試験範囲が広く拡大されているからです。当然ながら、塾では先取り教育を行いますが、問題は学習の定着です。 学習の定着には家庭学習は不可欠で、ところが、家庭学習の習慣が無

学習の流れ

「タイルと積み木」 幼児教育でタイル指導をされている機関はごく少数です。それだけ、講師の力量も問われてくるので当然なのかも知れません。子ども達に良いものだと感覚的に理解出来ても、その理論や指導法が難しければ子ども達への指導は難しいでしょう。でも、子ども達と一緒になって学ぼうとする気持が大切です。今、使用していく幼児教材から小学生低学年教材はタイル指導が基本から学べるように系統性を持って作られています。保護者の方が、お子さんと共に学ばれると、そこは大人ですから随所で「なるほど

算数指導

「考えさせる指導」 今、小学生で習う「かけ算」について一つの論議が巻き起こっています。「かけ算式の順序」がそれです。教科書、教科書、市販の問題集などでは、 ※「1つぶんの数(1あたりの数9 × いくつ分 = ぜんぶの数」 というように順序があることを示しています。しかし、文部科学省の指導要領には、この逆で式が書かれたものを誤答とは限定していません。式の順序に関し国が定めるべき性質のものではないというのが見解です。 かけ算式には順序があるという考え方が一般ですが、かけ算

ザ・授業

「教しえる側の姿勢」 近年、授業中の子ども達に緊張感がないことに違和感を感じています。また、良いか悪いかの判断が難しいのですが、子どもと先生の距離が縮まったように感じます。その距離とは、教しえる側の姿勢です。教育現場でも教師と生徒との間を、「友達のように」と表現し、これを当たり前のように受け入れています。それどころか、友達のように接する事を良い事であるかのように考える教師もいます。学校でも、塾でも、子ども達に指導する立場の人間は、どこか毅然とした態度が必要でしょう。話のわか

数・算数・数学を学ぶ

「大切な3者関係」 教科の成績で最も注目されるものが算数・数学だ。頭の良さをはかるバロメーターとも言われる。算数指導は小学校から始まるのではない。既に、私達は幼児期から数の世界で生きている。ことばの中にも数に関するものが多い。大きい・小さいから始まり多い、少ない、いっぱい、減る、増える、○歳、低い、高い、広い、狭い、速い、遅い、一番/二番、併せて、みんなで、いくつ分等々数え上げたらきりがない。テレビなどのリモコンには数字が書いてある。 数分野は、「論理数学的知性」と言われ

教育と科学と心理学

新指導要領の実施の影響が少しずつだが出始めていいる。今回の指導要領は、質、量共に大幅にアップした。何よりも、決定的なのが「思考力」重視という教育の方向性だ。機械的な学習や単純にパターン化されてきた指導法では対応できない。平成の子ども達にとって、苦手な内容がメインに据えられた。 小学生では久しぶりに「円周率3.14」が復活した。本来、この円周率のお陰で小数の奥深さや、精密さを感じていた。だから「およそ」ということばも理解できたはずだ。中学生では、2次方程式のマスターキーでもあ