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「素過程計算」

算数の力を示すものの一つに計算能力があります。計算は、算数の基礎と言われますが、学習自体が簡単で地味、そして、面倒くさいと言われています。種類は、基本である足し算、そして、引き算、かけ算、割り算の4種類です。ここに混合計算や、括弧を含んだ計算が加わります。これら基礎計算の学習は小学3年生でその指導を終了します。その後は、桁の多い計算や、複雑な計算など、それまでの機械的な計算処理ではなく思考する計算へと変化していきます。

チャレンジ100という計算練習のプリントがあります。これは、今まで何度かこのブログでも紹介してきました。このプリントは、小学生から中学3年生まで使用しています。100という数字は、加減乗除全ての計算の基礎となる問題、「素過程」の計算数を意味しています。後は、各100種類の計算の組み合わせと言うことになります。このチャレンジ100を行うことで、子どもの弱点が見つかります。だから、中学生まで使用できるのです。学力に悩む子どもの学習状況を分析すると必ず基礎学習の未習熟に辿りつきます。

例えば、4年生の場合、加減乗除合計400問を行います。400問を20分以内が標準です。(ただし、チャレンジ100を使用した場合)20分以上かかる場合は、毎日の計算練習が必要になります。20分を切るには1問3秒以内で計算をし終えなければなりません。これを100問行います。まさに集中力を結集しなければなりません。

中学3年生では、同じ条件で7分が標準です。すると、1問につき1.05秒で行うことを目標としなければなりません。普段から消しゴムを多用する子は大きなロスタイムを作ります。また、集中力のない子は、筆記具が止まったり、顔を上げてしまいます。学力に問題のある子どもは、こうした単純な学習が苦手です。当たり前の事ですが、単純なことが苦手では複雑で思考を要する問題は解けません。このように、計算という単純な学習なのですが、そこから見えてくる子ども達の弱点は数多くあります。実際に、途中入塾の生徒にこの計算をして貰うと、殆どが標準の時間からはほど遠く、中学生になると途中棄権者も出てきます。ただ、繰り返し行うことで、毎回時間短縮がされていき大きな励みにも繋がって行きます。単純な計算問題ですが、達成感があり、苦手な計算を克服したと喜ぶ生徒も数多くいます。

小学1年生で足し算、引き算を履修します。2年生でかけ算を3年生で割り算を履修します。各学年でしっかり計算練習を積んで置くべきです。その際、学習を進めていく場合の合い言葉になりますが、「丁寧に書く」ことを毎回徹底して下さい。丁寧さは全てに於いて優先です。

算数学習は計算が全てではありません。しかし、最近の傾向として計算力がかなり落ちてきています。これは、間違いなく計算練習の不足です。また、かけ算九九の未習熟も目立って来ています。

低学年で身につけるべき学力が身についていないことから、子ども達は、その先の学年で苦労しています。楽しく学ぶという考え方ではなく、楽して学ぶという傾向が全体を被っているように思います。家庭学習の大切さは、今後より比重を増してきそうです。チャレンジ100のような計算練習を二日おき、三日おきでもする必要がありそうです。

2013/9/13


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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