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学習の流れ

「タイルと積み木」


「タイルと積み木」

幼児教育でタイル指導をされている機関はごく少数です。それだけ、講師の力量も問われてくるので当然なのかも知れません。子ども達に良いものだと感覚的に理解出来ても、その理論や指導法が難しければ子ども達への指導は難しいでしょう。でも、子ども達と一緒になって学ぼうとする気持が大切です。今、使用していく幼児教材から小学生低学年教材はタイル指導が基本から学べるように系統性を持って作られています。保護者の方が、お子さんと共に学ばれると、そこは大人ですから随所で「なるほど」とうなずけることが出来ます。そして、ご自身もこのタイル指導で学習していたならと思われる筈です。

昨日もご説明しましたが、1から順に2.3、4とタイルを並べタイルの階段を作ります。「2は1より1多い」「3は2より1多い」この一見してなんでもない指導は、中学生の関数に通じる内容を秘めています。両者とも数を具体的に扱っているので、当然と言えば当然です。1から順にタイルを並べた階段は「Y=X」の関数グラフの基本形となります。図には、昨日のY=2Xをマス目くんに書き表したものを載せました。2ずつ増えていることがよくお判りになると思います。中学1年生から、マス目くんは数学授業の必需品となっています。タイルで操作すること、それを実際に書いてみること、自分自身でY=2Xの「2」の意味を理解するには、こうした学習が必要です。

タイルを線上に、1,2,4と並べます。「全部で幾つ」と子どもに尋ねると、大多数の子はタイルを数え始めるでしょう。指導の中で、5のまとまりタイルの存在を知り、何度か使っていくと、数えるのではなく、図のように、4と1で5のまとまりを作り、そこに2を加えるという加法の概念で解くことを考え出す子どもが出てきます。ここにタイルを使った数指導の大きな意味があります。数字だけの指導では、幼児が発見や工夫という考えはなかなか出てこないでしょう。それは、まだ数字だけで抽象的に考えることが出来ないからです。タイルのイメージ指導と、手の感覚を十分に使ったタイル操作、これらのの指導が何度も行われていくことで、「動かす」「くっつける」などから、工夫や発見が生まれてきます。これこそ思考の芽生えです。

同時に同じ数のタイルを集めてみます。3のタイルを集めます。皆、同じ大きさか調べるには、図のように並べるのではないでしょうか。同じ数のタイルがまとまった図は、かけ算の3×5を意味しています。かけ算とはどういうものか、同じ数のまとまりであることが理解出来るはずです。すると「9-3×2」等の計算をイメージすると、9のタイルと、3のタイルが2つ集まった状態を思い起こすことが出来ます。ここで、敢えて計算の順序を伝える必要はありません。タイルは、このように、幼児期の指導が中学生で活かされたり、計算の工夫が行われたり、概念を理解する上でとても大切な教具であることが判ります。

タイルのかけ算指導は、そのまま面積指導へと無理なく繋げることが出来ます。そして、タイルの特性を継承するのが積み木です。それも立方体の積み木は、面の広さをかけ算、つまり面の積で表したように、立体を積で表したものであることを気付かせることが出来ます。幼児期の教具は、幼児にとって玩具と同じです。幼児教育にご理解のない方は、「幼児期こそ遊ばせるべきだと」仰います。その通りなのです。幼児教育者は誰も遊びを否定してはいません。積み木も遊びの中の一つです。子どもは天才です。身の回りにあるものは全て玩具にして遊ぶことができます。その延長線上にあるのが積み木でありタイルです。

2013/6/24


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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