見出し画像

教育と科学と心理学


タイルは右脳と左脳

新指導要領の実施の影響が少しずつだが出始めていいる。今回の指導要領は、質、量共に大幅にアップした。何よりも、決定的なのが「思考力」重視という教育の方向性だ。機械的な学習や単純にパターン化されてきた指導法では対応できない。平成の子ども達にとって、苦手な内容がメインに据えられた。

小学生では久しぶりに「円周率3.14」が復活した。本来、この円周率のお陰で小数の奥深さや、精密さを感じていた。だから「およそ」ということばも理解できたはずだ。中学生では、2次方程式のマスターキーでもある公式も復活した。つまり、理解力に乏しい子や、思考力のない子は、確実に成績は下がるのだ。

小学生でも、文章問題の理解力が確実に落ち込んでいる。文章読解ができないだけでなく、考える事を嫌う傾向があるからだ。問題も、足し算が続くと、引き算でも足し算計算をしてしまう。そして、中には、答はわかるが式が立てられないという珍現象まで起きている。計算だけできても、理解しているとは言えない子ども達が目立つ。

算数学習を基本から学んでいる子は以外と少ない。「幼児の算数」を系統的に指導している教育機関が少ないからだ。系統的とは、幼児→小学生→中学生の学習過程を指している。現在、私の塾部門では、中2の子ども達が1次関数の学習に入っている。勿論使用するのは「タイル」と「マス目くん」だ。y=2xのグラフ指導から始まり、比例定数が分数のものまで、指導時間は10分とかからず終了した。子ども達からは「さすがタイル」と絶賛された。グラフも、切片が変わる平行移動もイメージ処理ができる。実際にタイルを見る、触る、イメージする。そして、具体的にグラフ用紙に書き込む。それをことばで説明解説させる。随所に、右脳的な学習、左脳的学習が詰め込まれている。これを偏った指導で展開すると、指導時間もかかり、理解力も半減する。

右脳教育をしてきた筈の子が、タイルで躓くことがある。タイル操作ができないのだ。定番である「面倒くさい」がでる。それは何故か。右脳教育と言いながら、数式だけのパターン計算をさせていたのだ。既に答を「暗記」していた事で、タイル操作が面倒くさかったのだろう。当初は、「暗記」組の子が早い。しかし、タイル操作を着実に積み重ねた子は、ケアレスミスがなく着実に計算問題をこなすようになってきた。驚きなのは、文章問題であった。文章から問題をイメージし、タイルを使い式を立てるようになって来た。しかし、「暗記」組は式が全く立てられない。問題の解説や解き方の説明も同様にである。タイルは、イメージが大切だ。この指導こそ右脳教育ではないのか。しかし、計算は左脳だ。学習は、非常に高度な脳内処理だ。だから、あらゆる機能を駆使して問題の処理を行う。右脳も左脳もない。目に見える「右脳左脳教育」として、タイルはその代表選手かもしれない。

2012/8/10


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?