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教育評論家・研究家 石川幸夫の教育ブログ

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現在、教育評論家・研究家として活動を行い、弊会理事でもある石川幸夫先生による教育に特化したマガジンです。専門は、幼児教育および小学生教育で、胎教から、子育て、受験、学習など幅広く…
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#思考力

記憶力と学力

「記憶力・思考力の公式」 学力を決めると言われる記憶力ですが、今までは「暗唱」が効果的だと言われていました。例えば、中高生に俳句などの暗唱をさせるよりも、幼児の方が優れていることは既に承知の事実です。繰り返し・五七五の語感とリズム、文の短さ、言葉の連鎖などから俳句は覚えやすい一つに数えられます。しかし、これは特別な教育でもなければ、驚きでもありません。言語習得の途中である幼児にとっては、繰り返し聞いて、口にする学習と、五七五のリズムは馴染みやすく、知りたいと願う本能的な脳の

もっと思考力を!「冷静に見る」

「相次ぐ疑問符の付く事件」 佐村河内氏のゴーストライター事件、小保方氏のSTAP細胞論文事件と相次いで世間を騒がす問題が起きている。記者会見はそれぞれ開かれたが、共に後味の悪い会見だった。問題発言を繰り返し物議を醸し出したNHK会長問題、そこに加わったのが佐村河内氏事件だ。彼を特集で扱い、ブームの火付け役となってしまったNHK。公共放送として民法とは違う立場にある筈だがその対応に疑問が残る。言わば、マスコミが作り上げた偶像である佐村河内氏だ。自己責任という言葉がある。また連

基礎・応用・発展+「思考・想像」

「幼児教室の選択」 先日、このブログでマス目君「方眼紙」を使ったサーキットゲームのお話をした。先日、名古屋の西塾で行われたセミナー修了後の研修で、ベテランの先生から、その内容について詳しく聞きたいと質問があった。現場の先生はやはり積極的だ。思考力を要する問題だけに、先生方も興味や関心があったのだろう。 今年の中受験は、その内容において東京を中心に変化の兆しが出てきた。知識中心から、思考力中心へと次第に変化してきている。そこで、研修では、「分数の割り算は、何故逆数にして掛け

重要性を増す「家庭学習」

「経験を与える学習」 来週後半は早いもので3月に突入です。新年度の準備はお済みでしょうか。この1年で、幼児教育への関心がかなり高まってきたことを肌で感じます。幼児教育の場合、今まで、学習色を出していた教室は保護者からは敬遠がちでしたが、脱ゆとり教育が進むにつれ、今までとは逆に幼児教育にも「学習成果」を望む声が高まってきました。学習効果といっても何を基準に見ればよいか解らないという保護者も多いはずです。 また、学習に必要な知識や経験、体験も具体的に何をとなると直ぐに思い浮かば

書く・描く

「表現」 子どもの絵は、芸術性に関係なく、年齢と共に発達する。絵は、言葉と同じかそれ以上の、子どもにとって表現の一つだ。ことばでは表現できないことを絵に託すときもある。絵は、時に現実を表し、時に夢を描くこともある。そして、自分自身の気持ちを表現することもある。一定以上の年齢になって書く日記とそれは同じかも知れない。 子どもは、生後およそ12ヶ月ごろで「なぐり描き」の段階を通過する。この時、子どもの持つ鉛筆やクレヨンは彼の手になる。この時描く線は、子どもの自我と直接的関係を

明日の教育「独り言」

「覚える教育からの脱皮」 学校の行われる指導の中で今でも根強くある「暗記学習」。この考え方は、時代を経て「記憶」という言葉に置き換えられてきた。覚えることが良いことだと、まさしく記憶力を付けることが学習の基本に据えられていた。しかし、最近にこの指導に疑問を感じてきた。それは隣国からの情報からだった。私から見て、今の中国、韓国、北朝鮮の教育は、その中心に政治の力を感じる。幼い頃から、政治色の強い歴史の事柄を教え込まれる(記憶)。教育の中立性を考えると、決してあってはならない事

教育の躾け

「賢い子を育てる」 家庭学習の習慣化は幼い内に躾けておくべき、年齢が高くなってからの学習習慣は、遊びやゲーム、友達等の影響から習慣化には時間も労力もかかる。まだ、学習習慣が身に付いていない小学校入学前の年長さんは、入学を目の前に、学習意欲が高まっているので、今から始めるのも一つのチャンスだろう。学ぶことにマイナスなどない。幼い内から学ぶことに積極的な保護者でなければならない。こう言うと、詰め込みとか教育ママ・教育パパなる名称を受ける事になるが、学ぶという知的行為に年齢は関係

思考力を鍛える「数・算数」

「計算:図形:量と測定」 数・算数学習の中で、計算指導に暗記学習=記憶学習があるとお伝えしました。これは、タイルという具体的に計算指導ができる教具が無い時代が長く続いたことが原因としてあげられます。また、我が国では「そろばん」という計算に便利な道具がありました。また効率的な学習をと考える人は「電卓があるじゃないか」と言い切ります。そろばんはともかく、電卓を持ち出されると、計算指導は電卓の機能説明となってしまいます。考えなければならないのは、計算だけが算数や数学指導ではないと

もっと思考力を(独り言)

「われ思う、ゆえにわれあり」 よくコメントを頂く森下さんのコメントにあった「われ思う、ゆえにわれあり」、フランス人であるデカルトのことばだ。このことばの真の意味は、人は知識のみではなく、その先にある「思考」が大事だと言うことを指している。森下さんは、私の「教育は思考力の時代へ」をデカルトのことばを引用され表現して頂いた。非常に光栄に思う。この間、「知識」と「記憶」について、その先の思考力への道筋が如何に大切かを述べてきた。長く続いた「知識は力」の時代は終わったのだろう。しか

ことばのロジック

「あのね」お母さんは聞き上手に! 「思考力を高めるにはどうしたら良いですか」というご質問を多数受けました。以前は「集中力」についてよく聞かれました。良くお解りの通り、思考力も集中力どちらも簡単に高めることはできません。短期間では無理とお考え下さい。評価5の子ども、小学6年生でおよそ3万7千語の語彙数を持っています。対して、評価3の子どもは、1万6千語です。これだけでも集中力と思考力に差が生じます。評価6の子どもは月間あたり30~80冊の本を読みます。対する評価3の子どもは3

入試が変わる

「大学入試改革」 今日の題目はちょっと固いですね。でも、親として、我が子の将来に関係する大学入試問題です。指導要領の変更に伴う大がかりな大学入試改革は、その手前である高校教育にも大きな変化を与えます。この入試改革は5年後をめどに審議が行われています。まず、お子さんの将来を想像しながら、逆算をしてみましょう。 12歳、小学6年生の場合、5年後の改革実施時は17歳、改革案対象年齢です。 9歳、小学3年生の場合、5年後の改革実施時は14歳、高校受験目前です。 6歳、小学

学ぶ

「必要なことばの獲得」 これからの社会はより思考力を持った人を求める。最近よく言われていることですが、思考力は今まで何度も触れているように実に難しい指導です。思考力をつける為の指導を始めても、子ども達には能力差があります。能力差を埋める学習ほど難しいものはありません。そして、能力差の一番の原因が語彙数の量になります。ご存じの通り、思考にはことばが必要です。人は、ことばを介して、思い、悩み、考えます。思考を音楽のメロディーに例えてみますと、ピアノで3つの鍵盤で奏でるメロディー

子ども達の現状

「低学力対策」 これまで、思考力重視に移行している教育界の問題点として知識偏重を上げました。この視点は分類すれば成績の4~5段階の子ども達に当てはまります。彼らが更に学力を伸ばす考え方を主にお話ししてきました。現在の環境を考えると、教育も一元管理などできる状態ではありません。今後、最も重要になってくる学力向上の対象は、成績中位の子ども達、そして低学力の子ども達です。そして、その対策です。 低学力だから、思考力の指導をしなくても良いとはいう事ではありません。むしろ、気づいた

これからの教育について

「新たな教育への模索」 【大きくなる幼児教育の可能性】 ・下がる「普通」のレベル テレビ出演の際、担当ディレクターと「これからの教育についてどう考えるか」を尋ねられました。その姿勢から教育問題を真摯に捉えられている方だと実感しました。 今、教育界は実に多くの問題を抱えています。それらを解決出来るのは、教育の根本からの見直しです。教育の根本とは、幼児教育です。それは、同時に国にとって巨額の費用が必要になることを意味しています。あくまでも義務教育の枠内でというのが順当な考