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これからの教育について

「新たな教育への模索」

【大きくなる幼児教育の可能性】

・下がる「普通」のレベル

テレビ出演の際、担当ディレクターと「これからの教育についてどう考えるか」を尋ねられました。その姿勢から教育問題を真摯に捉えられている方だと実感しました。

今、教育界は実に多くの問題を抱えています。それらを解決出来るのは、教育の根本からの見直しです。教育の根本とは、幼児教育です。それは、同時に国にとって巨額の費用が必要になることを意味しています。あくまでも義務教育の枠内でというのが順当な考え方です。

現在、子ども達を見ていると、ことばの端々に「普通」という単語が出てきます。いわゆる平均を示す「普通」、このレベルがかなり下がっています。学力低下、子ども達の意識の低下とは、彼らが言う所の「普通」レベルの低下なのです。閉塞感の漂う社会に、夢や希望を語れと大人が言っても、そのことばは空しく宙を彷徨います。

知識偏重の教育は、考える力を奪ってきたのではないでしょうか。学習には知識は必要不可欠のものです。その意味で、知識の獲得は間違っていません。しかし、大切なことは知識の活用です。知識と知識のぶつかり合いから論議が生まれ、それぞれが新たな考え方でぶつかり合い議論が広がりと深みを増していきます。あくまでも、初期の知識は表面的な川の流れに過ぎません。私が顧問をさせて頂いているプリンスジュニアでは、「見る力」「聞く力」「読む力」「書く力」「話す力」の5つを教育の最重要項目として掲げています。その中で「話す力」こそ、子ども達が知り得た知識を活かす教育指導なのです。「話す」ことで、話の内容を組み立てなければなりません。「話す」には助詞や動詞、」副詞や形容詞が必要です。こうして、頭で組み立てる(=考える下地)ことを学びます。この会話のキャッチボールが成立することで、思考力の下地が作られ、更に、大切なコミュニケーションの下地ができあがります。これらは、目に見える成果としては確認しづらいものです。何故ならば、大地を通って染み込んでいく地下水のようなものだからです。

私は、保護者の方々に幼い内から家庭内の会話を重視して下さいとお願いしています。会話は子どもの思考力を高めてくれます。思考力の下地を作ってくれます。会話は一方的では成立しません。相手の話を聞かなければならないからです。周囲を見回して下さい。会話の無さが目につく光景で一杯です。皆、人ではなく無機質な機械と向き合っています。これでは、情報におぼれる人を世に配してしまいます。自然の流れを廃して、私たちは生活をすることはできません。今のままでは、全てをコンクリートで固めた生活が待っているだけになります。得られた知識は、幼い頃からの会話を通し新たな知識へと変化していきます。それは、過去の知識とは大きく変化している筈です。知識に思考という加工が加わったからです。それは、うわべだけの知識ではありません。長い年月を経て伏流水として蘇ってくるのです。

幼児教育は、まさしく将来に向けた子どもに生き生きとした生命を育ませる為に降り注ぐ雨かも知れません。目先の成果に拘ることなく、大切な事を、しっかり積み重ねることが親の役目でしょう。数年後、十数年後、それは伏流水として再び子ども達に帰ってきます。

2013/8/29


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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