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教育評論家・研究家 石川幸夫の教育ブログ

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現在、教育評論家・研究家として活動を行い、弊会理事でもある石川幸夫先生による教育に特化したマガジンです。専門は、幼児教育および小学生教育で、胎教から、子育て、受験、学習など幅広く…
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2022年12月の記事一覧

セミナーを終えて

「プリンスジュニアの保護者」 秋晴れの晴天に恵まれた日曜日、プリンスジュニア八王子中央教室主催のセミナーで熱弁をふるってきました。このところ自分の持ち時間を忘れる程、話しに夢中になってしまうことが多くあります。これは、聞き手の方々の質に関係するのでしょう。今回は、自分でも時間を意識し臨みましたが、やはり途中時間を忘れました。危ないところでした。 話をする側にとって、最近の傾向はかなり厳しく、話し手泣かせと言えます。講演中の私語が多く、とても気になるのです。しかし、プリンス

ザ・授業

「教しえる側の姿勢」 近年、授業中の子ども達に緊張感がないことに違和感を感じています。また、良いか悪いかの判断が難しいのですが、子どもと先生の距離が縮まったように感じます。その距離とは、教しえる側の姿勢です。教育現場でも教師と生徒との間を、「友達のように」と表現し、これを当たり前のように受け入れています。それどころか、友達のように接する事を良い事であるかのように考える教師もいます。学校でも、塾でも、子ども達に指導する立場の人間は、どこか毅然とした態度が必要でしょう。話のわか

ザ・授業

「緊張感が楽しい」 「先生:計算はどこの位からしますか?」「生徒:一の位からです!」これは、集団授業の際に行われる子どもとのやりとりです。このように、文章に書くと臨場感も伝わらず、子どもが緊張感を持って臨んでいることも伝わりません。この授業は、私流のもので、「スリル・スピード・サスペンスタイム」と呼ばれるものです。このブログに良く登場する新潟県長岡の保育園の園長先生方が30年ほど前、私の授業を見学された際、大変驚かれ、職員の先生方への研修を決断されるきっかけにもなりました。

水野茂一先生を偲んで

「幼児教育の柱」 2012年10月4日(木)、幼児教育の先駆者であった水野茂一先生がお亡くなりになりました。葬儀は極近しい近親者の方のみで行われたということです。2009年4月22日に無くなられた七田眞先生と共に、我が国の幼児教育の先駆けとしてご活躍され、多くの功績を残されました。その中でも、「朝日幼児作品コンクール」は幼児の可能性を大きく世に知らしめたものでした。七田先生との結びつきも、この作品コンクールを通じてであり、このときから、我が国の幼児教育は飛躍的に進歩しました

学習の環境

「勝ち負け」 世の中では、よく「勝ち組」「負け組」と言われることがあります。正直、私の大嫌いな言葉の一つです。人は知らず知らずに他人や、場合によって我が子に対しても差別的見方をしています。そして、この様にレッテルを貼りたがります。少しの失敗でも「負け組」と…。 あるとき、小学校受験に落ちた子、中学受験に落ちた子に対し、「負け組」と称した方がいました。とても許せることの出来ない暴言です。今回、ノーベル賞の生理学・医学賞を受賞された、京都大学教授の山中伸弥iPS細胞研究所長(

学習の環境

「時間の使い方」 今年度、速くも上半期が過ぎ、教育現場からは多くの悲鳴が聞こえ始めてきました。学校の授業に付いていけない、授業の展開が速すぎる、こうした声を多く聞くようになりました。特に、2期制で行っている地域では、期末のテスト範囲の拡大が生徒達を苦しめているようです。学力不振に悩む中学生は深刻で、5教科100点未満という生徒も増加しています。新指導要領の意味するこ事態に、世の中は、確実に学力新時代を認識し始めてきたようです。 中学1年生の数学で見ると、今学習している、正

宿題

「宿題って何?」 フランスの大統領が次のような演説をされました。以下、時事通信による内容です。 「学校は宿題出すな=仏大統領時事通信 10月10日 12時7分配信 【パリAFP=時事】フランスのオランド大統領は9日、パリ市内で演説し、学校の宿題を廃止すべきだと訴えた。家庭で勉強を見てもらえない子どもがいることを踏まえ、教育の平等を推進するための配慮が必要と語った。大統領は演説で、新たな教育プログラムを発表し、学業は「家庭ではなく学校で行うべきだ」と強調。ただ、現在フランス

EQ「心の教育」

「選ばれた命!」 「心の教育」に欠かせないものがあります。子ども達が学習を積み重ねていく中で、最も大切に扱うべきもう一つの学習内容です。それが「命」の学習です。子ども達は、幼い時から生命の尊厳を、命の大切さを、心の発達と共に知り学ぶ必要があります。また、特にお母さんになる女性にとっても大切な学習です。私は、今年、久しぶりに「胎教」講座をさせて頂きました。命を育み、生まれてくる小さな命を皆で待ちわびるのです。短絡的にただ賢い子を育てるのが「胎教」ではありません。まだ言葉の通じ

EQ「心の教育」

「EQとIQ」 詰め込み教育が問題にあげられた1970年代、その反動として、子ども達の「心の発達」に関心が集まり始めました。まるで対立するかのように「詰め込み教育」に対して「ゆとり教育」が叫ばれたのです。同時に、偏差値や「IQ」知能指数等にも、数字だけで人(子ども)を判断できるのかと批判的な意見も数多く出ました。 1980年代に入り、大脳科学が教育の流れを変え始めます。すると、知識偏重教育は「左脳教育」という言い方もされるようになり、「右脳教育」のブームがきました。脳科学

EQ「心の教育」

「EQとIQ」 今日から、文体を変えて書かせて頂きます。  「EQ」という言葉を聞いたことはありませんか。このEQに対するものが「IQ」です。今から20数年前までは、このIQが知能の目安として使用されていました。知能を数値で表したものです。知能検査は、たとえ同じ点数であっても月齢で異なる為知能指数に違いがあります。一般的な知能検査ではIQ100が、その年齢相応の知能と言うことになります。 例えば知能指数125は、年齢に対し25%知能が高いという事になります。ちなみに、こ

不器用な子ども達

「大人社会を映す鏡」 子ども達の不器用さが目立つ。そう感じている方は多いだろう。昨日、新潟県長岡市にある保育園の園長と話をさせて頂いたが、最近の傾向として子ども達の不器用さをあげておられた。全てに於いて徹底される園である。子ども達の変化を見逃さず対応される行動力、教育力には脱帽する。また、今回の話とはそれるが、0歳から園に通っていた卒園生が、中学の社会体験授業の一貫で、園を訪れたそうだ。彼のご両親は、数年前離婚され、その後お父さんが引き取り、まさしく手塩に掛けて育てられたと

どうなる日本の教育

「分析・総合 話は最後まで」 時折、幼児教育の専門家の方でもフラッシュカードを批判される方がいる。「泥んこ遊び」を提唱し、「遊び」は大切だと声高におっしゃる方がいる。実際その通りだと思う。ただし一瞬を捉えた場合の判断ではそうなるだろう。どうも、我が国の気質なのだろうか、物事に白黒を付けたがる。フラッシュカード=知識の詰め込み、と決めつける。そして、プリント学習をしようものなら、幼児期の遊びの大切さを無視した知識偏重の教育だと口角泡を飛ばす勢いで批判される。 物事の端を切り

どうなる日本の教育

「子どもを守る」 文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果から、全国で確認されたいじめの件数は7万231件という数字が報告された。最も多い県は愛知県の8523件、最も少ない県が佐賀県の68件であった。愛知と佐賀の125倍となる違いは何を示しているのか。全国平均が1633件からすると、今回問題となった隠蔽体質がまたも疑われる事になる。調査する側も、される側も「いじめ」という先入観は拭いきれないだろう。全ての数値を鵜呑みには出来ない。しかし、教育

数学を語る

私の授業は良く脱線する。しかし、面白いことに、自然と本線に戻り予定の学習を終え、目的地に到着する。授業前のオープニングトークから始まり、数を通した不思議の世界に案内することもある。 中2の授業では、現在一次関数を行っている。生徒から、暫く使っていなかった「素因数分解」で求める最小公倍数の方法を尋ねられた。復習を兼ねて指導をしているとき、かけ算を簡単にできないかという話題になった。そこで、当然ながらタイルを取り出し、生徒とあれこれ考えることになった。 数学はどこかで共通の考