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学習の環境

「時間の使い方」

今年度、速くも上半期が過ぎ、教育現場からは多くの悲鳴が聞こえ始めてきました。学校の授業に付いていけない、授業の展開が速すぎる、こうした声を多く聞くようになりました。特に、2期制で行っている地域では、期末のテスト範囲の拡大が生徒達を苦しめているようです。学力不振に悩む中学生は深刻で、5教科100点未満という生徒も増加しています。新指導要領の意味するこ事態に、世の中は、確実に学力新時代を認識し始めてきたようです。

中学1年生の数学で見ると、今学習している、正負の数と計算、文字式、方程式で既に大きな差がついています。この差は本人の努力がなければそう簡単には埋まりません。しかし、問題は、基礎学習の未修得にあるのです。計算の順序、( )のある計算、加減乗除の計算、かけ算九九の未修得が中1の数学理解に暗い影を落としています。基礎計算は小学1年~3年で履修します。簡単だし、いつでも学べる、そのうち出来るようになるだろう等、この基礎学習を甘く見ていると後で大きな代償を支払うことになるのです。この様に見ていくと、誰もが知っているように、学習は積み重ねであることが良くわかります。

学習姿勢は、年齢が上がるから出来るわけではありません。ものの理解も同様です。そこには「教育」というものがあるか否かです。つまり、同じ時間を過ごす子どもに、学力の優劣が付くのは子どもの置かれた学習環境以外の何物でもないと言うことです。勿論、この学習環境の良し悪しは、子どもが誕生と同時に判断されるものです。そして、最も大切な学習環境は、ご両親であることに間違いはありません。

既にご存じの通り、高学歴はご両親の年収に比例するというデータがあります。私達にとっては、あまり歓迎できない内容なのですが、その意味する所は、単に年収という狭い観念ではないように思うのです。それは、如何に、ご両親が、我が子への学習に興味関心を示すかではないでしょうか。現在、我が国の教育レベルは下がる一方です。大学の世界ランキングでも、東大で30位、京大で35位という報告がされています。民意であった以前の教育環境がこの結果を物語っています。

幼児期からの学習は、思考力を高める基礎である語彙力の土台を築きます。また、学ぶ事に抵抗感のない子に育てる事が可能です。我が子を賢く育てるには、大切な時期の、時間の使い方を検証すべきです。いたずらに無駄な時間を過ごすことのないよう、お子さんの将来像を想像すべきです。それは、過度な期待をかけるのではなく、我が子が伸び伸びと学べる環境作りを目指すことにあります。例えば、玩具などの与えすぎがあります。一つの玩具を長く大事に使う事が大切で、モノを豊富に与えても、欲求が強くなるだけで、好奇心や疑問という学習の種を蒔くまでには行きません。また、生活体験、社会体験が必要になります。それは難しく考える必要はありません。家の手伝いや散歩など、行った事、見た事等を日記などに記していきます。

ここで、親子の会話が行われ、その日の行動などを文章化することで、子どもの心に、学習への最大のスパイスである、物事への興味関心が芽生えてくるのです。これを共同作業で行う事が大切です。しかし、世の中の親の大多数が、この手間暇かける大切な子育てを放棄しているのです。皆さんはどうですか。手間暇かける大切な子育てを放棄しますか、それとも、自分自身も楽しんで子育てをしますか?

2012/10/15


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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