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落穂拾い

【2020.04.16の記事です。amebloから移動しました】

イスラム教の考え方に「落ち穂拾い」というものがあると、最近知った。

穀物の収穫後、貧しくて食べ物に困っている人のために、わざと麦の穂を落とし、そのままにしておくんだとか。

貧しい人の自尊心を傷付けない、「ありがとう」を言わせない配慮。

無償で提供する時に心がけるべきことは、相手に「恥だと思わせない」こと。

誰にだって落ち穂を拾わずにいられない時がある。人としてのDignity(尊厳)を保つこと。

目の前に困ってる人がいて、自分にほんの少しの余力があるなら、そーっと優しさや体力や希望やお金を差し出す文化。

そんなの当たり前だとみんなが考えてる。
美しいなぁと思う。

で、落ち穂拾いとはちょっと違うんだけど…。

この間ワルン(食堂)だと思って入り、ナシゴレン(炒飯)注文して食べた場所が、実は普通の家だったという衝撃、笑!

知らない人たち(私、アリフ、ルディ)が自分の家に突然やって来て、「ナシゴレン3つとお茶3つ」と注文までしてきて、それでも笑顔で何も言わずに振る舞ってくれるインドネシア人の懐の深さよ。

「絶対ワルン(食堂)と間違えてるんだと思ったの。でもこんな時だし、もしかしたらご飯に困ってる人達なのかもと思って…」と、おばちゃん。

あたたかすぎる!


-------そんなあたたかさに包まれながら、今月は横浜Nidoを休校中。バリ島Nidoもお休み。
自分の時間がグンと増えた。

朝起きて、お庭に育ったパパイヤ食べながらコーヒーを飲む。

ヨガをして、洗濯をして、小さな畑仕事が終わったら、16人分の昼食を作る。

午後はNido(横浜スクール)みんなと英語のオンラインレッスンして、バリ島シェアハウスみんなとは日本語レッスンをする。

その合間に私はインドネシア語を勉強する。
…はずだけど、気付くと大体お昼寝してる。

読書して、掃除して、スケボーしたり、ジョギングしたり、田んぼにドジョウを捕りに行ったり、川に釣りに行ったりする。

帰り道、アンドレ(8歳)に「Nozomiは釣りが下手すぎるよ。今までどうやって生きてきたの」と真顔で呆れられる。

夕日を見ながら家族や友達と電話をし、アリフが弾くギターを聞きながら夕食を作り、みんなで食卓を囲む。

食後はトランプで遊んだり、映画を見たり、ルーフトップから見える星空眺めながら会話を楽しむ。

ゆっくりと1日が終わっていく。


書き出してみると、毎日大したことは何1つしていない。

でも、何もしてないんだけど、いつもより「生きること」を真面目にやっている気がする。

子ども達のお日さまみたいな笑顔を見る時、アリフと手を繋ぎながら川沿いを散歩してる時、みんなで「おいしいねぇ」と食事をしてる時、幸せや愛に包まれる。

小さくても、確かな愛や幸せが溢れている空間というのは、人を素直に&やさしくする。


-------インドネシアの感染者は1日100人・死者は1日10人増え続けている。コロナ感染により、バリ島の知人は先日亡くなった。

インドネシアの死者数はアジア地域では中国を除き最悪。7月までに感染者数は10万人を超えると言われてる。

いつまでこの状況が続くのか、この先どうなるのか、横浜Nidoは閉じるしかないかもしれないとか、あれこれ考えると、不安と恐怖で震えそうにもなる。

でも、私なんかより、今現在「落ち穂拾い」が切実に必要な人たちがバリ島内にたくさんいる。

外出禁止下にあるフランスやアメリカでは、DVや虐待が急増していると言う。日本でも障害児を育てる家庭や頼り先が少ない家庭が孤立していると聞く。

ジタバタしても仕方ない。 

まずは自分が根ざす場所を心地よく整え、周りにいる人たちを大切にし、この世界が少しでもいい場所になるよう、1ミリずつでも動いていようと思う。
 
とにかく目から、耳から、口から、身体にいいものをたくさん入れる。悪いものはなるべく入れない。

色んな景色を観ながら、沢山のこと感じて、目の前の1つ1つと丁寧に向き合っていくしかない。自分にも周りにも正直に、ゆるやかに生きていたいなと思う。

------最後に。

外出禁止を実施するため、各国あれこれ工夫して人々が外に出ないようにしてると聞くけど、「お化けが出る」と村人を脅したら、みんな本気でビビって家を出なくなったインドネシア(ジャワ島)。

実際、白い布をかぶった人がお化け(ポチョン)役で道に待機してるニュースを見てゲラゲラ笑ってたら、「いやいや、ポチョンはまじでヤバイから。下手したらコロナより怖いから」と真顔で怒られた。ポチョンの威力すごい…。

あー、インドネシア最高。

切実な金銭事情により、もうずっとずっと飲んでない私。今ポチョン話をつまみにビール飲んだら間違いなく幸せすぎて、失禁確定。

次にビールが飲める日を夢みて、明日も元気に生き延びようと思います。


''sometimes, to lose balance is part of living balanced life'' 

時にバランス(調和)が保てなくなることも、調和のとれた生き方の一部である。
〜バリの教え〜

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