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社労士開業前に、弟子入りは必要か

社会保険労務士を生業として、中小企業の雇用環境整備の支援を行っております、やはだと申します。学生時代のあだ名”つーじー”で活動する時もあります。

私が社労士試験に合格したのは2009年。
受験後に「どこかで修行させてもらおう」と思い、同じ年の10月から前事務所にお世話になることになりました。
入職時点では合否結果が出てませんでしたが、何はさておき修行がしたかったのです。

社労士試験に合格して独立開業を目指される方の中には、他の先生の元で修行した方がよいのか迷われる方もいるでしょう。

今日はその辺りについて私の考えを述べておきたいと思います。

私は弟子入りして本当に良かったと思ってます!

結論を言うと、そういうことです。
弟子入りして良かった。理由は大きく2つあります。

①お客様の悩みどころが何かがつかめたから
②偉大な相談相手が身近にいるから

①お客様の悩みどころが何かがつかめたから

私が「修行したい」と考えたのは、お客様の悩みどころを知りたいと思ったからです。
お客様が実際のところ労務管理でどんなことに困っているのかは、労働基準法や労働安全衛生法をいくら読んでもわからないですからね。

修行した社労士事務所は、超大手というわけではないですが顧客数が多く、それだけたくさんの悩みに触れることができました。

超大手の場合、顧客担当と手続業務担当とで分かれる分業体制が確立されている事務所が多いと聞きます。対して修行先は、”○○社の担当は誰々”という分業体制で、一担当につき20社程度の割り振りがされていました。

各社に関する総合的な顧問業を一担当に任せられ、大きな問題が起こってどうしても困った時には代表社労士に相談して問題解決をするという体制。

手続業務だけをやるのであれば事務指定講習で十分に間に合うと思います。(私は事務指定講習を受けたことがないので本当は何とも言えないのですが)
ただ実際、現在の私の普段の業務から考えてみても、手続業務は全体の5%以下だと思います。

手続業務以前に、どうすることが会社および本人の利益になることなのか、法的に正しいことなのか、相手に説明しコンセンサスを取る、その能力がはるかに重要なわけです。いわば総合提案力を問われるので、総合的な力を身に着けるのには前事務所は素晴らしい環境でした。

②偉大な相談相手が身近にいるから

一番大きな理由はこれです。様々な労使トラブルについて代表社労士(元ボス)に相談できたことで、実務上の深い知識を得ることができました。

特に労働契約の終了の仕方については労使トラブルになることが多いです。

社労士試験的には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という労働契約法の条文内容の理解程度で済みます。

でも、実務で必要とされるのは「客観的に合理的な理由、社会通念上の相当性」がなくても社員にどうしても辞めてもらわざるを得ない状況をどう解決するか、です。

「社長、それは客観的合理的な理由がないし社会通念上の相当性がないから、辞めさせることはできませんよ」…なんて言ったって、トラブルは解決しませんよね。

そこで活躍するのが「解雇」と「勧奨退職」の違いについての知識です。「解雇」なのか、労働者合意がある「勧奨退職」なのかは法的にまったく違います。(今日は解雇と勧奨退職の違いをテーマにしているのではないので、これ以上深追いはしません)

トラブルに対するリスクをできる限り減らした上で解決への見通しを立て、法的根拠をもって説明する能力が身に着いたのは、「法的思考を持て」とさんざん叩き込んでくれた、元ボスの指導のたまものです。

精神疾患による休職など、複雑な事例について、落ち着いて見通しを立ててあげることができるのは、紛れもなく前職による経験によります。 。。はぁ、ありがたや。


必要と思える知識を身に着けることが可能な事務所に勤務できたことは、非常に幸運でした。

私の場合は、いきなり開業しても、前事務所に在籍していた場合と同じくらい深みのある知識にはたどり着けなかったと思います。

お客様の悩みをしっかり聞き取り、プロとして様々な観点からのメリデメを提示する基礎力を十二分に養うことができました。




以上、社労士試験に合格された方の中で、修行が必要か迷われる方の参考の一つにでもなったら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました♡

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