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第1話|朗読について図解しました。〜イメージ読み解き編〜

音声コンテンツが話題なので、朗読について図解しました。
文字で書かれた物語を声にする技法についてですが、読み手⇔聞き手の関係書き手⇔読み手の関係にそのまま置き換えられるので、ライターの方や読書が好きな方にもオススメです。
(読書が100倍楽しくなります!)

初回は朗読前の準備段階でのイメージの読み解き方について図解します!

1.音声表現は直接伝えることのできないメディアである

朗読というと''書いてあるものに気持ちを込めたりして読むこと''だと思われがちですが、それは一つの要素に過ぎません。
朗読は文章で書かれた情報を一度分解して、音声として再構築し、聞き手のイメージを喚起する表現です。
一度言語を介して伝えるため、映像などの直接的な表現技法と違い、いかに聞き手のイメージを喚起するように導くかがポイントです。

良い朗読は自然とイメージが喚起され、つまらない朗読は文字情報を追うことになります。

また、良くも悪くも聞き手のイメージに依存するため、事前にどんな人が聞きに来るのかリサーチできる場合は、聞き手に合わせた作品を選ぶとよいです。

余談ですが、わたしは読んでいてアニメのイメージが喚起される文体を、ラノベに分類しています。アニメの流行とともにラノベ文体が流行っていったのも、読み手のイメージのバンクにアニメーションのカットが増えていったからかもしれません。

2.伝えるイメージをしっかり準備する

作品が決まったら、読み始める前に伝えるイメージを準備します。文章で書かれた物語を一文一文分解して、イメージ化していきます。

細かく分析していくと、優れた小説や名著と呼ばれる作品たちは、総じてこのカットやカメラワークが自然に演出されていて、読みながらイメージが喚起されるように組み立てられていることがわかります。
(名作の読書がなぜプレゼンに効くのか、これで納得ですね!)

ポイントは、誰がどの位置からその物語を語っているかをしっかりと把握することです。そのキーとなるのは視点です。

3.物語の視点とはカメラの位置のこと

物語の視点はカメラに置き換えると分かりやすいです。
・誰のカメラか
・カメラがどこにあるか
以上がわかれば、そこからどんな情景が見えるか想像して、イメージを明確にすることができます。
カメラを見つけることは、普段読書しながら自然にやっていることなので難しいことではないのですが、いざ意識してみるとできなかったり、曖昧になっていたりすることもしばしば。
文章を読み込む時は、その一文は誰がどこから語っているかを意識しながら読むようにしておくとよいです。

4.物語における視点は6つだけ!

物語における視点を分類すると、
・誰の視点か(作者or登場人物)
・どの位置からか(物語の外or物語の中or心の内)
以上の組み合わせで、2×3=6つに分けることができます。どんなに複雑に見える文でも、必ず6つのうちのどれかにあてはまります。
(ほんとはこれに時間とか空間とかが組み合わさってもっと多層的になったり複雑になっていくのですが、こんがらがるので別の機会に)

作者の視点に立てば、物語の世界設定を語ったり、登場人物が知り得ないことを語ったりできます。作中をどこでもいつでも移動できるリポーターのようなカメラです。俯瞰的なカットや、ゲームでいうとTPSみたいなイメージが多いです。

登場人物の視点に立てば、物語の世界でその人物の目線を共有しながらストーリーを追体験したり、登場人物が思ったことを語り、それに共感したりできます。主観的なカットや、ゲームでいうとFPSみたいなイメージが多いです。

その一文がどの視点に当てはまるかを見つけることで、逆説的にそこから何が見えるかがわかるため、文字に書かれていない情報を得ることができます。よく言われる行間を読め!は心情に限ったことではないことがわかります。

5.視点を読み解くとイメージができる

繰り返しになりますが、物語の視点がわかればイメージを明確にすることができます。
上の図のように、『鬼が島に到着した』という一文があったとして、誰の視点で語るかによって得られるイメージが変わります。
物語の視点=カメラの位置がわかれば、そこから何が見えるかを想像することができるからです。

6.視点の組み合わせ(転換)で物語が立体的になる

''物語の視点''という観点で、文章を一つ一つ分析していくと、作者と登場人物の視点を行ったり来たりしながら、どの位置から物語を語るかという組み合わせで、物語が立体的に構成されていることがわかります。ちょうど、カット割りの組み合わせで一つのシーンを作るように、文字で書かれた物語にもカメラワークがあることがわかります。
音声表現として再構築する時は、視点の組み合わせ(転換)を意識しながら、聞き手のイメージが喚起されるように、間やスピード、語尾語頭の音を調整して演出していきます。

7.終わりに

いかがだったでしょうか。
朗読の図解といいながら、一度も声に出すパートがなかった。苦笑
機会があれば、イメージを音声表現に再構築するときのヒントとか、今回はスルーした『セリフ』の取り扱い方なんかを図解してみたいと思います。


それでは!

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#朗読 #図解 #インフォグラフィック #音声コンテンツ #読書 #ライター #小説

待てうかつに近づくなエッセイにされるぞ あ、ああ……あー!ありがとうございます!!