マガジンのカバー画像

物語

31
物語のマガジン
運営しているクリエイター

記事一覧

うそ

うそ

涙が止まらん なんて嘘だよ
明日になれば普通に仕事にいくんだ

忘れられない なんて嘘だよ
時間が経てば薄れていく

あなた以外は なんて嘘だよ
いつかは新たなぬくもりに触れる

必ず互いが幸せになれる
ただ それが悲しくて今泣いてる

モロハ/バラ色の日々

さいきん、あくむばかりみる

さいきん、あくむばかりみる



僕はあの時、彼女を裏切った。いやひどい別れ方をした。申し訳ないと思ってる。

でも、彼女は幸せそうだ。無口な人だったけど、写真の笑顔はそれを感じさせない。僕がそうさせていたのかな。

男の子と女の子。はさまれている。僕ができなかったことを、しなかったことを、彼女は成し遂げた。

嗚呼…幸せそうだ。幸せそうだ。幸せそうだ。

ここだけ

体調が優れない。熱っぽいとかじゃなくて、舌先に出来た亀裂が治らなくて、ご飯が食べられなくて、胃はオーバードーズでずっと気持ち悪くて。運転できなくなって、明日の仕事をするのが精一杯で。

誰も信じたくなくて、見える世界は少しずつ変わってきてて、誰かが近づくとすぐに腹を立てて、涙は止まらなくて。

正気なうちに、なるべく正確に記しておこうと思ったけど、恨み辛み言ったらなにものこってなかった。

ここな

もっとみる
智恵子とkeiko

智恵子とkeiko

智恵子抄の智恵子とglobeのkeikoが重なって見える。

何が、どうして、どこが、どうして。

小学生の時、社会の先生が言っていた。

「すべての科学や学問は、突き詰めれば、ふたつのことを探し続けることに尽きる」

「それは、同じところと違うところを見つけることだ」

同じところは、二人ともアーティストで凄い人が夫で、子どもがいなかったこと。また、これは同じといえるかどうかは分からないけど、智

もっとみる
地震、金縛り、幻

地震、金縛り、幻

昨夜は眠るのが遅くなった。

朝の四時過ぎに眠った。

まどろむ中で、僕は身体を強く揺さぶられた。

地震かと思って、大切な人を助けなきゃってと思ったけど、そんな人はここには一人もいないことに気づいた。

十時過ぎに起きて、気象庁の地震速報を見た。

地震じゃなかった。僕が痙攣していただけだろうか。たしかに、身体は震えていた。

こんなことは初めてだったが、最近奇妙なことが起きていたから、まあいい

もっとみる
globeとマッチ

globeとマッチ

毎日同じことを考えてる。

毎日毎日。

昔のことばかり思い出す。

たいして関心のなかったglobeの曲とか聞くこともある。

耳元で歌うkeikoは、今のkeikoとは違うんだろうか。

45歳でありながら、小4のドリルを解くまでになったkeikoさんは、FACEを歌った頃とは別人なんだろう。

智恵子抄の檸檬のように目の奥に以前の彼女を見出すことが小室氏にはあるんだろうか。

職場で中学の国

もっとみる
あとひとつ

あとひとつ

霊感があるという音楽の教師が言った言葉。

人は意味のある人に3人出遭う。

僕のそれはなんだろう。

1人目。1997年。どの瞬間も僕を思い描いてくれて、毎日何通も手紙をもらった。

2人目。2005年。死にたくなって3年目で、死神じゃなくて、天使を2人連れてきてくれた。

それから。それから。それから…。

出遭いに意味があると言えそう人は誰だろう。

夜の町に立つ僕のシャツにいつもアイロンを

もっとみる
幻覚

幻覚

最近は、できないことばかりだ。

アルコールが飲めなくなった。薬と一緒に一口飲んで、まずくて捨ててしまう。とてもまずい。。

不眠の薬は薬疹が出るようになってしまって、仕事に差し支えるからたくさん飲めなくて、全く利かない。少しの量でも、飲むのも辛くなってきて、かなり無理して飲み込む。

そして、たぶんおそらく、もうすぐ一年になる服薬のせいで、女の子も抱けなくなってる。

涙が止まらなくて、自分の弱

もっとみる
祈り

祈り

かじかんだ君の手を握り締めると

『このまま時間が止まれば』って想う

覗き込む眼が嘘を捜してる

馬鹿だな、何も出てきやしないと笑って応える

遠い未来を夢見たり憂いたり

今日も頭の中を行ったり来たり

触らないで なるたけ手を加えぬように

君の成長の軌跡を、今日も見届けてる

さようならさようならさようなら

夢に泥を塗りつける自分の行いに

無防備な夢想家だって親しい人に揶揄されても

もっとみる
やまい

やまい

風邪を引いたら、熱が出たり、頭痛がしたり、悪寒がしたりする。

怪我をすれば、その部分の皮膚が破れて血が出たり、骨や神経を傷めて、痛みがあったりする。

悪寒がなくなったり、痛みがなくなったりすれば、治療は完了したことになる。

つまり、治ったのだ。

では、心は?

心の場合、その他の場合と違って、自覚することが難しい。

そりゃあ。社会人になって、そこそこの仕事をすれば、毎日平穏という訳にはい

もっとみる

想い出

あれは何年前のことだろう。

近くの山に祖母と一緒に出掛けたことがあった。標高500mくらいの小さな山。でも、急勾配のある山道だった。

途中から、祖母をおんぶして登った。展望台についたとき、「こうして来れるのは、これが最後だろうね」と言った。山間にある自分の町を見つめながら。

祖母は長男である僕をとても大事にしてくれた。いつも笑顔で、僕の要求(時にそれはわがままだった)を快く、しかも精一杯応え

もっとみる
叔父の贈る言葉

叔父の贈る言葉

潮の満ち引きのように、寄せては返し、その波でふくらむ海水に呑み込まれる。

口に海水が入り、塩辛くてすぐに吐き出す。

でも、顕微鏡でみたら、無数の生き物が海水にはいるのだろう。

もう何十年も海原を漂っていた。なかなか沈まない。今ではそういうもんだろうと思う。

16年目。16年前を上回る苦しみはもうないだろうと思っていた。でも、上回る苦しみは、僕の物語には存在した。

底なしだ。僕はいつだって

もっとみる
ランプの灯り

ランプの灯り

ただ信じてたんだぁ 無邪気に

ランプの下で

人は皆もっと自由で

いられるのもだと

~spitz『ランプ』より~

沈黙

沈黙

「あなたは孤独を知らない」

「努力が足りなかったんだよ」

「もっと相手のこと考えなよ」

「あなたは何もしなかったじゃない」

……………………………………。

深い深い谷。

そこに長い長い丸木橋。

その真ん中で僕は声を聞いた。

「おまえは喋りすぎたのさ」

構わず慎重に進もうとすると続けた。

「いつもそうさ。おまえはすぐにでしゃばる」

「そうやって多くの人を傷つけ、貶めてきた」

もっとみる