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最高の片思い

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その日は翌週のバンドコンテストの打ち合わせでみんなスタジオに集まっていた。出場バンドが多数ガヤガヤとひしめき合っていて、その喧騒がまた楽しかった。
そんな中、見覚えのある顔が遅れて入ってきた。

「コウちゃん⁈」

私の心臓が一気に32ビートを刻む。

「うわぁ!久しぶり!おぉスゲーじゃん!!」

コウちゃんが変わらない陽だまりの笑顔で私に向かってそう言った。
私はうなずく。平静を装って。

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コウちゃんは前のバイト先で知り合った2つ年下のドラマー。面白くて年下だけど頼りがいのある彼に私は惹かれた。
でもコウちゃんには彼女がいた。
私がスタジオ代を稼ぐためにバイトをやっているのを知った彼がある日…

「これ、やるよ。」

と手渡してくれたドラムスティック。
ハットのエッジで傷だらけのそれは、私の失恋の傷を温かく包んでくれた。
それから程なくして彼がバイトを辞めてそれきりだった。

♢♢♢♢♢

「ドラム、頑張ってたんだな。」

コウちゃんが、また妹を見守るような優しい眼差しで私に言った。年下のくせに…

私はさらにキズが増えたスティックを右手に持ちながらピースをした。
鼓動は少しずつビートを落として、打ち合わせのガヤガヤとした喧騒に紛れていった。

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まっしろな紙に一言

「好きです」

        と想いの欠片風に吹かれて

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