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2023年12月の記事一覧

惡の華

惡の華

山の窪みに雪が積もっていて、それが無邪気に居座る構造物と届きそうにない冬空の間で、垣根のように聳えていた。
月や北極星のように、追いかけても、追いかけてもその距離は一向に縮まらない、雪の積もった山もそう思えるほどに人力が及ばない神聖なもののように感じた。荘厳さを常に漂わす山は四季によって様変わりする。夏の開放的で触れれそうなほどはっきりとした緑々しい感覚とは対になっている冬の山。構造物も山もそこか

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揺蕩

揺蕩

取るに足りない日常のある日を、何かに触発されて思い出す時がある。それは例えば、パターソンを鑑賞した時だとか、すべて忘れてしまうからを寝る前に読んだ時だとか、朝にカネコアヤノを聞きながら駅まで歩く時だとか。その日常のある日は、ひょんなことから絢爛とした記憶となって私を巡る。

朝、カーテンを開けて、それから窓を開けると澄んだ鳥の声が網戸を越して私に届く。鳩の鳴き声は信号のように周期的なのに突然終わっ

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