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電球が照らす私の世界

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電球が照らす私の世界⑤(終)

電球が照らす私の世界⑤(終)

今度は最初から息子に頼んだ。

もうすっかり暗くなっていたので、懐中電灯で照らしながらだったけれど、簡単に作業は終わった。カーテンを閉め、スイッチを入れる。

パチッ!

「おおぉぉぉー!」思わず声に出してしまう。なんと明るい。
そこには新世界が広がっていた。
この感謝を誰に伝えればいいのだろうか!エジソン?それとも×××電力?

自分の世界に光が降り注ぐと、何でも出来そうな気がしてくる。

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電球が照らす私の世界④

電球が照らす私の世界④

15歳の息子は、私の身長をとうに追い越している。

照明器具を天井に再度取り付け(コードが伸びたのは影響が無いようでひと安心)、多少手惑いながらも、今度こそカバーが外れた。
私は、予め用意しておいた掃除機のスイッチを入れ、片手でカバーを受け取った。
掃除機を持っている事に安心して、うっかり目を開けてしまった!!

???んんん???
えっ…無いじゃん…。

カバーの中は(外側も)うっっすらと

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電球が照らす私の世界③

電球が照らす私の世界③

脚立の上に片足ずつ乗せて、ゆっくり立ち上がる。
だめだ。脚立では足元が頼りない。諦めて、イスにする。
なんとか立ち上がれる。

カバーはスポッと簡単に外れるはず…。
しかしバランスを崩すと、頭の上に蜘蛛の死骸が降り注ぐ事になる。
焦る、時限爆弾を解除しているかのように。
そして中々外れない。
こんな事に時間をかけていては、電球を買いに行けなくなる。
カバーを掴んでクルクル回してみる。

あっ!

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電球が照らす私の世界②

電球が照らす私の世界②

休みの日に、ふと気が付いた。

夕暮れ時になると、だんだん憂鬱になってくる。「あぁ、部屋は暗いんだった……」
本を読んだり、大好きな着物のコーディネートを考えたりする事が出来ない。
そしてそのうち、何にも出来ない→したくないに変わって行った。
しばらくそんな風に過ごしていると、夕暮れ時に限らず、毎日がつまらなく感じてきた。

たかが電球が切れただけで?!
それが全ての原因とは言わないまでも、大部分

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電球が照らす私の世界

電球が照らす私の世界

今年に入って、多分1月中旬頃から部屋の電球が切れた。3月3日まで。
自分の部屋だけだし、夜は間接照明だけで特段不便さも感じることなく過ごしていた……つもりだった。

なぜ、すぐに買い替えなかったのか?
それは、怖かったから。カバーを外すのが。
私は高所恐怖症で、イスより高い場所は膝がガクブルガクブルガクブル……だから。
それと、イチバン怖いのはカバーの中。絶対に虫(蜘蛛)の死骸がたくさん入ってるは

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