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韓国の春、おいしいもの。냉이(ナズナ)

 3か月ぶりに訪れた義両親の畑で、냉이(ナズナ)をたくさん掘ってきた。日本でナズナと言えば、七草粥に入れる野草の1つとして知られているけれど、韓国では初春の頃、さっと湯がいてナムル(和え物)にしたり、味噌汁に入れたりして味わうのが一般的だ。

 私は結婚を機に韓国へ移住した年の春、初めて夫の実家でナズナのナムルを食べ、そのおいしさに感動した。今までなぜこの味を知らずに生きてきたのだろう、と思うほどに。

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 義両親の畑では、わざわざナズナを育てているのではなく、畑の脇のあちこちに自生しているものを掘り起こし、食している。なので、見栄えは悪いが無農薬。他の雑草の中からナズナを見つけ出す作業は、宝探しをしているようなワクワク感もある。

 日本の七草粥はナズナの葉の部分だけを使うけれど、韓国では根っこまで余すところなくいただく。そのため、収穫する時は、周りを少しずつ深く掘っていき、根の先っぽまできれいに取り出すのだ。

 花も食べられるようだけど、韓国では花が咲く前に収穫して売られているので、それがナズナであると誰かに教えてもらわない限り、何の草かわかりにくい。写真を見ても、ただの雑草にしか見えないかも?

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 ところがどっこい、このナズナ。ただの雑草ではないということが、キッチンで証明されるのだ。水で泥を何度も落とし、きれいに洗ってさっと湯がいてみると、葉は鮮やかな緑色に、根は乳白色に変わる。ざるにとった後、鍋の中をのぞくと、湯気と共に草の香りがぐっと立ちのぼり、お湯が美しいグリーンに染まっていた。

 軽く水気を絞り、ニンニク、塩、ゴマ、唐辛子粉、エゴマ油で合えてみた。ゴボウのような風味とほのかな甘み。さらにちょこっとだけ砂糖を足すと、よりおいしい。うん、これこれ!ナズナ万歳!

 ナズナの味噌汁も最高だと聞いたので、今年こそ作って味わってみるつもり。これからどんどん出てくる、甘くてちょっぴり苦い春の野草たち。ナムルに天ぷら、ジョン(チヂミ)に味噌汁…。春の恵みに感謝して、少しずついただきます。

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