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脳卒中後の反張膝(Back Knee)について

お疲れ様です。

セラピストの脳リハです。

本日は、脳卒中の反張膝(Back Knee)について投稿させて頂きます。

反張膝(Back Knee)とは?

反張膝とは、立脚期に膝が過伸展してしまう現象です。

反張膝が生じることで膝関節は伸展位でロックされるが、正常な衝撃吸収メカニズムの低下、重心の前方移動の制限に繋がります。

膝が骨と靭帯で強制的に固定する(骨性支持)が生じると、なにが起きるのか。

① 膝関節の軟骨組織や靭帯へのストレスから疼痛を誘発
② 麻痺側での支持性低下(転倒リスク)
③ 麻痺側での支持から振り出しの効率性低下
④ 歩行速度と距離の低下
⑤ 股関節と足関節の可動域低下
⑥ 腰背部などへの過度な負担


など…考えられます。

原因

大きく2つに分けることができます。

▶︎ 高緊張型

下腿三頭筋の高緊張(痙性麻痺)の影響から、足関節底屈位(尖足)となり、膝関節のコントロールが効かなくなる。

▶︎ 低緊張型

下部体幹/股関節/膝関節/足関節周囲筋の低緊張or出力低下に伴い、膝折れが起きない為に、膝関節を過度に伸展させ、ロッキング(骨性支持)させる。

【原因まとめ】

☑︎ 大腿四頭筋の筋力低下

↪︎ 大腿四頭筋の筋力低下によって、荷重応答期から立脚中期に反張膝が出現。大腿四頭筋は脛骨の前方移動に伴う膝関節屈曲を制御する役割を持つが、大腿四頭筋の筋力低下によって荷重下での膝関節屈曲位保持が困難になるため、代償的に膝関節伸展位の状態で立脚相を迎える。

☑︎ 大腿四頭筋および足関節底屈筋の複合した筋力低下(単脚支持)

↪︎ 正常歩行の立脚相において同時収縮することで膝関節を屈曲位で固定する。2つの筋の複合した筋力低下は、荷重下での膝関節屈曲位保持を困難にするため、代償的に膝関節伸展位の状態を作ることで関節を固定する。

☑︎ 大腿四頭筋および足関節底屈筋の痙縮

↪︎ 立脚相で固定された足部に対して足関節を背屈(下腿の前方回転)することが困難になる。これは同時に、膝関節の屈曲が困難になることを意味し、膝関節伸展位での荷重の繰り返しによって次第に反張膝の状態を呈するようになる。

☑︎ ハムストリングスの筋力低下

↪︎ 大腿四頭筋と足関節底屈筋の筋力低下と同様に、同時収縮による膝関節の固定が困難になることで反張膝を呈する。

☑︎ 重度の足関節底屈位拘縮

↪︎ 大腿四頭筋および足関節底屈筋の底屈を同じ原理で反張膝となる。

☑︎ 股関節の屈曲拘縮

↪︎ 腸腰筋の短縮など、何らかの原因で股関節屈曲拘縮を呈すると反張膝が出現する。股関節屈曲拘縮により、立脚相における股関節伸展運動はされ、代償として体幹屈曲位(骨盤前傾)をとることで、重心線は膝関節屈伸軸に対して前方を通るため、膝関節に大きな伸展モーメントが生じ、次第に反張膝を呈する。

評価

▶︎ 歩行周期での評価

まずはどの歩行周期でBack Kneeが出現するのかを評価しなければいけません。

☑︎ 臨床では立脚期から『骨盤前傾/股関節屈曲/膝関節伸展/足関節底屈』で支持を作ることが多いです。

☑︎ 膝関節の姿勢評価(大腿-下腿の捻れ)

☑︎ 膝関節の安定性評価(大腿四頭筋/ハムストリング/膝窩筋/下腿三頭筋)

▶︎ 股関節伸展の可動性

▶︎ 足底での圧情報の知覚処理

アプローチ

一例ですが、基本的な流れを記載しますので、参考程度にどうぞ。

① 骨盤前傾-股関節屈曲のリアライメント
↪︎ 臥位にて、タオルor枕で骨盤後傾を作り、患側の骨盤後退を引き出しつつ、腰背部-股関節外側に付着している筋をリリースさせ、側臥位の形を作る。
 
② 股関節のMobility確保
骨盤前傾/回旋を起こさず、足部から牽引しつつ股関節屈曲/伸展の可動性を作る。
 
③ ハムストリングの促通
腹臥位にて、膝関節屈曲位から遠心性収縮を求める+可能であれば股関節伸展と徐々に合わせる。
 
④ 立ち上がりから膝関節のコントロールと足関節底屈筋のリリース
 
⑤ ステップ肢位でのMstの練習orスポンジでの認知課題

自主トレ

▶︎ うつ伏せにて膝関節屈曲位からゆっくり降ろす

▶︎ パピー肢位での腹部-股関節の伸張

▶︎ 長座位で膝裏にタオルを入れ膝関節で押す

▶︎ 軽スクワット

など。

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