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脳卒中患者と片脚立位

昨日に続き、片脚立位についての投稿をさせて頂きます。

片脚立位の構成要素

片麻痺にとっての片脚立位は難易度の高い訓練となりますが、そのメカニズムを知ると様々な問題に取り組むことができます。
 
特に、片脚立位の維持には様々な機能が必要であり、脳卒中患者において、CoMの移動ができない要因は麻痺側/非麻痺側の問題、足部や体幹の問題、感覚の問題など多様であり、局所ではなく「全身を見ること」が必要となります。

【片脚立位での問題】
☑︎ modality
↪︎ 感覚/知覚/認知
☑︎ 視覚/前庭系
☑︎ 上肢体幹の問題
☑︎ 両側の問題
☑︎ 中臀筋の問題
☑︎ 足底の問題
☑︎ 多関節運動連鎖の問題

片脚立位に必要な要素

姿勢制御としては、身体の左右の統合と適切なフィードフォワード姿勢制御が重要です。
 
また、筋骨格系では支持側の中臀筋/小臀筋/大腿筋膜張筋/大臀筋上部繊維/腸脛靭帯や筋膜における受動的緊張が必要になります。

支持側の股関節外転機構は、『CoMの推進移動が加速した後、屈曲肢を引き上がる前にブレーキをかける役目を果たし、立脚側の中殿筋と屈曲肢側の内転筋は、立脚終期とコントロールの乱れ、適切なCoM維持において重要な役割』を果たします。

脳卒中患者の片脚立位

Paiらは14人の脳卒中患者の片脚立位における研究において、80%が麻痺側での片脚立位が困難で、非麻痺側では52%が片脚立位が困難であったと報告している。
また、脳卒中後、『麻痺側主動筋と拮抗筋の動員あるいは同時収縮、または非麻痺側肢の代償性過剰活動のいずれかが存在していることが判明』している。

その為、脳卒中患者は適切な片脚立位の為のCoMを移動/維持ができない為、適切な予測的姿勢制御が伴わず、片脚立位が困難な傾向があります。

重心移動の開始と維持には両側の筋活動が要求されますが、重心移動の為の麻痺側と非麻痺側は、どちらも脳卒中後の影響を受けていると報告されています。

また、Kimらは麻痺側と非麻痺側肢の両方に影響を与える筋トルクの両側性の減少を報告し、脳卒中後において両肢の治療を勧めています。

おわりに

麻痺側だけではなく、非麻痺側下肢や体幹への影響を評価するにも片脚立位での崩れ方やバランス反応を見るのは、上記のような観察項目の視点を増やすことができます。

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