痛みを読み解く：肩前上方の痛みを考える「伸張ストレス：原因／治療編」
お疲れ様です。はらリハです。
本日は…
『肩前上方の痛みの原因の1つである伸張ストレスの根本的な原因』について説明します。
痛みを誘発する動き
前回の記事では…
肩関節前上方の疼痛は力学的ストレスから考えると「伸張ストレス／圧縮ストレス／摩擦ストレス」に大分し、伸張ストレスの影響について解説しました。
前回の話をまとめると…
☑︎ 運動方向による伸張ストレス
→肩関節「外旋」
☑︎ 疼痛原因の仮説
1)肩甲下筋
・肩甲下筋の下部筋束の拘縮に伴う肩関節外旋制限が伸張ストレスを増強させる
・評価は触診＋lift off testが有効
2)腱板疎部
・走行の異なる腱板の間隙を埋め、張力を調節している烏口上腕靱帯の機能不全から拘縮、もしくは不安定性が伸張ストレスを増強させる
・評価は触診＋sulcus testが有効
次は、上記の問題が生じる根本的な問題に視点を変えていきましょう。
触診と評価からわかる根本的な原因
以上の触診／検査から、伸張ストレスにより肩前上方に疼痛が発生させる部位の評価が可能になります。
次に、なぜこの部位に機能障害が加わったのかを推察する必要があります。
肩関節前方部分に伸張ストレスが加わる原因は、「前方の筋をはじめとする軟部組織の硬度が上昇した場合」と「前方への過度な滑りが生じた場合」です。
前方への過度な滑りは、2つの要素に起因します。
１）上腕骨頭の位置が前方に変化する場合：静的な要素
２）滑り運動が大きくなる場合：動的な要素
１）上腕骨頭の前方変位
この原因は…
「肩関節前方の軟部組織の短縮」
or
「前方の軟部組織の伸張性が高い状態における後部組織の短縮」
です。
前方の軟部組織が短縮すると、上腕骨頭を前方へ引くために、前方変位が生じます。
一方、前方の軟部組織の伸張性が高い状態で後方の軟部組織の短縮が生じると、後方の軟部組織が骨頭を前方に押し出し、それを止める前の軟部組織の伸張性が高いため、後方へ押し返せないことが考えられます。
２）肩関節運動時の上腕骨董の前上方への変位
運動時の不安定性に起因する場合は、主に「肩関節外転／外旋」した際に発生します。
肩関節後下方の軟部組織の伸張性低下に起因する場合は「肩関節挙上位での内旋運動」でも発生し、ここは上腕骨頭の変位と混合する場合も多いので、上腕骨頭と関節窩の位置関係、動的安定化機構を構成する回旋筋腱板の機能評価も重要になります。
上腕骨頭と関節窩の位置間関係の評価
肩甲上腕関節のアライメント評価が重要になりますが、定量的に測定する方法はないのでポイントを確認します。
ここでは「上腕骨頭の前方変位が内旋位で生じるのか？／外旋位で生じるのか？」を評価し、内旋位で生じるのであれば前方軟部組織の拘縮が関与し、外旋位で生じるのであれば前方不安定性や後方軟部組織の拘縮が相まっている可能性があります。
治療ポイント
【治療ポイント】
☑︎ 腱板構成筋の筋力UP
☑︎ 上腕骨頭と関節窩の位置関係のアライメント修正
☑︎ 運動療法のポイント
→zero positionから、肩甲上腕関節内転の等尺性収縮を行わせることで、腱板筋群の同時収縮を促し、肩甲帯の筋収縮を促すことで、より効果的になる
おわりに
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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