なぜ悲劇は繰り返されるのか? 第11章:他責習慣化が生む悲劇 ⑦

なぜ、人は自分で責任を負うのではなく、人に責任を押しつけるのだろうか?

 考えられる要因として第1に“連鎖的個別基準習得”が挙げられる。

 これは大人から子供が言葉や行動を教えてもらい、それを真似することで使えるようになるという“行動心理学”と同じ原理だが、違うのは親の価値観を最初に覚えることで知っていることと親以外の大人から新たに知る事がお互いに合わさって徐々に価値観を形成し、1つの答えを導き出すのだが、すでに知っている親の価値観や誰も知らないことを自分で経験したときには違和感を覚える事も多々あり、どれが正しいのかを自分の中で判断する事は難しい場合が多い。

 そして、成長と共に徐々に小規模・大規模いずれかの集団生活も始まっていくため、自分が持っている基準と周囲の基準が大きく乖離した状態になっていると、社会からも集団からも孤立してしまうことや考え方の違う人から反感を買って、悪質かつ陰湿ないじめなどが発生する可能性が高くなり、本人にとっても周囲にとっても過ごしにくい環境が形作られてしまう。

 そんな中で起こりやすいのが“自分と考えが違う人に対する対処の仕方をどのように指導していくか?”だ。

 現在は同じ園から同じ小学校に進学する子供が大半だが、ごくまれに違う園から来る子もいるため、最初のお互いの意思疎通が難しくなっている場合も少なくない。

現代において小学生になった時点での家庭内経済格差は幼稚園までの感覚とは全く異なってくる。なぜなら、今までは学区の違う子供たちなどと一緒に生活をしていたため、その子たちが本人にとって“スタンダード”であるという認識が強くなるが、小学校に入学すると地方などでは学区の広域化が急速に進んでいる地域もあるため、住んでいる地域によって家庭の経済状況が大きく異なっているケースも少なくない。そして、現在は地域の子供の人数が減るなどして各地区もしくはエリアに設置されている学校の児童減が顕著になりつつある。そこで、行政などが児童数の少ない小学校などの統廃合計画を進めているため、今まで交流がなかった学区内にある地区の子供たちとも交流をしなくてはいけない、その子たちが持っている物の基準が異なっているなど子供たちの基準が統一されていないことも多く、これらの格差が子供たちのストレスや人間関係構築の難しさを露呈するきっかけになっているケースも少なくない。

そのため、通学に関しても学校から近い子供たちよりも学校から遠い子供たちは毎朝憂鬱な気持ちになりやすいし、学校の近くの子と遊ぶにしてもタイムラグが生まれることで疎外感や孤立感が生じることもある。

なぜなら、複数校を1つにまとめることによって友人関係の構築が難しくなる、学区が遠いと遊びに行くために自転車などを使わないといけないなど移動に関しても負担になってしまい、交流しにくいなど子供たちの交流や学校における人間関係に支障が出る可能性があること、子供によっては同じ学校に通っている生徒との価値観が合わず、どんどん孤立していってしまい、次第に不登校になることや性格が穏やかだった子がいきなりキレやすい性格になってしまうなど子供たちの心理面にも大きく影響してくることがある。

 特に小学校低学年の子供たちは精神的に安定が取れないことや新しい環境に順応していない事も多いため、お互いを攻撃し合ってしまい、お互いに責任を押しつけ合うという他責思考が芽生えやすい時期でもある。そのため、大人が子供の発するサインを見逃さない事が求められる。

 その理由として、子供たちに状況判断するために必要な知識などが不十分なケースやそれまで育ってきた環境によって基準がバラバラになっており、その環境で正しいと思われている事を信じてしまっていることで他にもトラブルが起きたときに自分の基準を正当化して相手のせいにしてしまい、更にエスカレートしてしまう事も多い。

そのため、低学年が初等教育で最も子供たちのバランスを慎重に育てていかなくてはいけないステージだと思っている。もちろん、中学年、高学年であってもトラブルなどは起こるが、更に複雑な問題が多くなる傾向があるため、経験のある先生でないと解決が出来ない問題や専門性が高く、その分野を専門としている先生でないと解決出来ない問題も起きてくるため、学年問わず1人1人に向き合って動いていかないと子供たちが孤立する可能性もある。

現在、小説とコラムを書いています。 コラムに関してもこれから完成している物を順次公開していく予定です。 自分の夢はこれまで書いてきた小説を実写化することです。まだまだ未熟ですが、頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いいたします。