【読書3回目感想】すべてはノートからはじまる
我々が生きている現代では、「あふれる情報」と「予測できない未来」の2点が、すっかり当たり前の「気にしなければいけないこと」となりました。
日々たくさんの情報が入ってくるので、そして目まぐるしく変化するので、いつも最新の情報をチェックし保存しておく必要があります。
同時に、大量に保存した情報の取捨選択も迫られるし、情報を何に活かすかの判断も行います。ただし情報が役に立つかは、未来の自分しか知り得ません。そうすると、役立つ情報と言い切られている情報は、基本的にはウソということになります。
今の世の中を誰が予測したでしょう?
未来は予測できないという前提があるならば、目標設定に意味はあるのか?
そんな風に思いました。
ところが、世の中では目標設定が当たり前に行われています。
目標設定には何かしら価値があるのだろうと予想できます。
最近ようやく「だから目標設定するのか!」と腑に落ちることがありました。目指すべき点が明確だからこそ、過程が洗練されていくのだと思い知ったのです。
そんなことわかっていると言う人が大半でしょう。
だって、私の記憶が確かなら、大学生の時から目標を定めることの大事さを聞かされてきたし、新人研修でももう少し深く習いました。
そう、私たちは「わかっている」。でもできない。
わかっていてもできないという現象についても、実はわかっている。
私は、この「わかっているけどできない」に悩まされていました。
自分でできないなら、誰かに見てもらうしかありません。
とはいえ時間を縛られたくないし、自分のやり方にあれこれ言われるのは釈然としません。はい、必要なことだとはわかっています。
この、自分を見てもらう「誰か」を、ノートにしてみてはどうか。
そんな提案が、本著でなされている提案なのではないかと思いました。
人は継続ができない
継続することの難しさを誰もが知っています。
だからこそ、継続できている人には賞賛があります。
継続は力なり。
コツコツ続けることこそ、圧倒的な力となるとわかっているはずなのに、できません。
本著でも習慣的なものの力は強く、意識的なものの力は弱いと示されています。意識しなくても行動できること(料理、洗い物、洗濯、歯磨き)はあまりにスムーズです。しかし意識してやることは、なぜか続かない。
毎年なのか、節目ごとなのか、そういえば目標を設定して行動を決めるという作業を何度かやっています。意識だけではなく、手帳やノートに書いたほうがより行動ができそうです。
では、目標を定めて、逆算して行動を決めて、1月〜3月にやること、4月〜6月にやることなどを決めてみよう。小さなステップで少しずつでも進めよう。月ごとに振り返って、修正が必要ないかを考えよう。
そうやって決めて行動していたら、なんだかうまくいきそうな気がしませんか? 現に、私は毎年のように目標と行動の細分化を図ってきました。でもできていないのです。何が邪魔しているのでしょうか。
まずは冒頭で書きました、「あふれる情報」です。
情報の濁流に飲み込まれ、あちこちに興味が沸いてしまうのです。
話題の本、おもしろそうなイベント、ガジェットやツール。
決めていた目標は捨て去られ、いつの間にか「これこそ自分のやりたかったことだ!」と方針を変えて進んでいきます。
もうひとつの「予測できない未来」も当てはまります。
世の中の流れが変われば環境が変わり、人は変わります。
それについて意識してようがいまいが、何かしらの影響を受けて、最初からそうであったかのごとく、軌道修正します。
あふれる情報と予測できない未来によって、どうやら私は毎年、目標に向かって順調に歩んでいけないことになっているようです。
定められた運命としかいえないのでしょうか。
まずは継続できない自分を認めよう
継続できないのは私たちが機械でないことを示しています。
あまりに人間らしい。それに安心しすぎてもいけないのですが。
人間はそもそも新しい情報を取り入れ、脳が瞬時に取捨選択をするような仕組みになっているのですから、自分がいくら「これは必要なのだ!」と豪語したところで、脳はそれを「OK!」と受け入れてはくれないのです。
本著では、心技体という言葉に触れ、行動にはモチベーション、技術、体力が大切であると記しています。先に技術、体力ではなく、まずはその行動に取り掛かる気持ちになることが必須とのことです。
習慣的な力、すなわち無意識にやっていることを乗り越え、自分がやりたい行動を継続させることを叶えたい。そのためには管理が必要になります。
この、管理の方法が世で溢れるさまざまな手法ということなのでしょう。
2010年ごろに流行ったライフハックブームは、管理がいかに大切かを訴える猛者たちと、管理できない人たちの気持ちがマッチした期間だったと言えそうです。
そうか、この本には最新の行動を継続するための方法論が書かれているのだな! と思った人には申し訳ないのですが、これまで世の中で広まってきた方法の紹介はいくつかあるものの、特に画期的な方法の提案がされているわけではありません。
目標やビジョンを掲げて、あらゆるツールを駆使して行動を続けるために日々奮闘する挑戦者たちに、原点に立ち返っていただく時間を提供するような本です。
自分には行動を継続することができない。
まずは自分を知ろう。
では自己分析ツールを使おう、ではないのです。
自分を理解するためには自分を観察するしかありません。
自分を観察するために役立つのが、自分のことを書くという行為です。
自分のことを認めるためには、自分がどういう人間かを知る必要があります。そして、自分がどういう人間かを知ることができれば、行動を継続させるために何が必要かが見えてきます。人によって、行動を継続させる方法が違うからです。
本著では、続けることが最も重要な点として書かれています。
続けるために、目標を叶えるために、ノートという手段があるという提案です。
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