コンビニのおじさん

俺は知っている。毎朝行くコンビニのおじさんが、俺が常連だと知っていて色々と気を遣ってくれていることを。朝、コンビニに行くと、納品された商品を店員さん達が手分けして棚に陳列している。そこに俺が行くわけだが、そのコンビニのおじさんは俺が歩く通路を覚えていて、俺が入店するとさりげなく避けてくれるのだ。しかもわざとらしくなく。俺がおじさんに近づいていくと、おじさんは何気なくすーっと幽霊のように端に寄ってくれるのだ。あのおじさんは俺がスムーズに通れるように気を遣ってくれているんだ。ありがとう。ホットのドリンクを取る時もおじさんは気を遣ってくれる。おじさんが棚にホットドリンクを補充しているところに俺が行くと、おじさんはその棚を背にして納品された他の商品を検品しているフリをする。普通に後ろで待っていたら俺が気を遣うと思ってそうやって誤魔化してくれているんだ。そうして俺が気を遣うことなくゆっくりとホットドリンクを選べるようにしてくれているんだ。でも大体飲むものは決まっているので、サッと取って終わりだが。いや、おじさん、でもありがとう。他にもある。レジでは俺が言う台詞を全て覚えている。俺は必ず「袋はいらないです。支払いはクイックペイで。レシートは結構です。」この台詞を必ず言うのだが、そのおじさんはそれを確実に覚えてくれている。でもそれを言おうとする俺を遮らない。俺が言うのをわかっているのに全て最後まで聞いて受け止めてくれるのだ。ありがたいことだ。余計なことを言わないでくれるのがいい。たまに常連になってくると、先回りして「袋なしでクイックペイでレシートはなしでよろしいですか?」なんて言う人もいるが、それは困るんだ。そこまで知られていたかと思うと、俺が途端に気を遣ってしまうんだ。だからそういう余計なことを言わないおじさんはありがたい。ありがとう。そしてお会計後も素晴らしい。「いつもありがとうございます。」などという余計なことは言わない。あくまで初めて来た客のテイで見送ってくれるから次も行けるのだ。これが「いつもありがとうございます。またお待ちしておりまーす。」なんて言われ日には、途端に行く気が失せてしまう。俺という存在がバレて俺が店におじさんに気を遣ってしまうのだ。そんな余計なことを言わないおじさんは本当にありがたい。明日もおじさんはきっと俺を初めての客のようにさり気なくもてなしてくれるだろう。とても心地いい接客だ。おじさんのあの空気のような自然な接客、俺は本当に感謝している。でもおじさん、それはすべて俺の考えすぎだったら悲しいから、種明かしはしないでくれよな。それとおじさん、あんたの無駄にいい声、俺は好きだぜ。それじゃまた明日もよろしく。

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ごめんなさいね〜サポートなんかしていただいちゃって〜。恐縮だわぁ〜。