見出し画像

短歌と俳句と恩師とわたし ( 5 )

厳かな雰囲気が合わずに
俳句をやめる決心をしましたが、
せっかく定員15名の抽選を突破して
500円も払い2回も講座に通ったことが
無駄に…. の無駄という言葉に反応して
思い直して、もう一度だけ俳句を作って
からやめることにしました (結局やめる)

そして短歌の時のように
NHKのネット投稿でもしてみようかと
検索したところ、「 NHK全国俳句大会 」
なるものを見つけ、
早速それに応募することにしました

意外と打たれ強く、
行動がすばやかったりします

自由題 2 作品 + 題詠 1 作品 、

いつものように軽いノリで
さて作ろうかと思った瞬間、
脳裏をよぎるものがありました

あのS先生の冷たい目です

よぎったかと思いきや
また戻ってきて、
わたしの創作の邪魔をし続け
頭から追い払おうとしても
頑として出ていきません

仕方ないので
ぼんやり講座を思い返していましたら、
S先生がお褒めになった宿題の句は
小鳥、幼子などが可愛らしいとか、
お花が美しいとか、ほんわか家族愛とか、
そんなのばかりだったなと気づきました

なるほど、S先生はそういうのが
お好きなんだとわかりましたので、
わたしは自分の気持ちを抑えながら
S先生の好きそうな句を作ることに
しました

そして、
心温まる、いかにもわたしらしくない、
ほっこりした句が出来上がりました
出来上がったときに
S先生の穏やかな笑顔さえ想像できた
くらいです

一句は母のこと、もう一句は
近所の人のいいお爺さまのことです

ヒョウ柄好きの母と、
人の話を全く聞かず自慢話が止まらない
近所のお爺ちゃんの事だとは到底思えない
二人が美化された心なごむ句が、
出来上がってしまいました

二人とも ほのぼのした人になってしまい
「あれっ?」とも思いましたが
言葉の一つ一つには全く嘘はありません
ので構いません

ささやかな抵抗ですが、
三句のうちの一句はS先生の目を無視して
自由に作ってみました

で、結果ですが、

なんと入選しました
しかも三句のうち二句入選しました

入選といいましても、
七、八句に一句は入選するようですので
狭き門ではありませんが、
講座で落ちこぼれたわたしにとっては
とても嬉しいものでした

これもひとえにS先生の冷たい仕打ちの
おかげです
感謝しております
何やかやと名誉を毀損するようなことを
並び立て、心苦しい限りです

入選してやっと、
S先生の冷たい目は愛のムチ的なもの
だったと気づきました
わざと試練を与えてくださったおかげで
わたしは成長することができました

その証拠に、
S先生のお好きそうな…. つまり…
大会の選者の方々もたぶんお好きな、
そんな ほっこり二句が入選しました
S先生が教えてくださったほっこりです

でも、わたしは、
落選した句が一番好きでした

テーマは iPhone です
アイフォーン ではなく iPhone 、
ここにはこだわりがありましたので
アルファベットの iPhone です
タテ書きてあろうと iPhone です

どこ こだわってるんだよっ!

ですよね

わかっています、
わたしは俳句に向いていません

S先生のおかげで二句入選、
教えを無視した一句落選、
この結果をもちまして、
きっぱり俳句をやめることができました

未練などまったくございません


                ( 完 )
 




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?