マガジンのカバー画像

#音楽 記事まとめ

3,553
楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
運営しているクリエイター

2023年10月の記事一覧

【音楽ジャンル】2010年代のSynth Punk/シンセパンク

2010年代というか、2000年代後半から2010年代の後半辺りというと... Minimal Wave(label)が始動して80年代のオブスキュアなSynth Pop/New Waveを凄い勢いで発掘していったり、Raw Houseなどハード音源中心の音作りのダンスミュージックがトレンドになったり、Downwards(label)やBlackest Ever Black (label)などがEarly Noise Industrial/Post-Punkと今のTechn

散歩が音楽になるとき ── 街の解像度を上げる、さんぽチーム「すみだのかたち」をTOMCが振り返る

2022年からはじまった「すみだのかたち」。2年目となる今年は、さんぽチームの活動を私たち以外の視点や言葉でも残したいと思い、ビート&アンビエント・プロデューサーで文筆家としても活動されているTOMCさんに寄稿をお願いしました。 TOMCさんは、2022年12月に開催した「すみだのかたち」にゲストアーティストとして出演いただいたり、既にさんぽチームと親交のあるアーティストです。  今年の9月に開催した「すみだのかたち さんぽとライブ」を参加者のひとりとして体験いただき、TO

星野源『YELLOW DANCER』(2015)

アルバム情報アーティスト: 星野源 リリース日: 2015/12/2 レーベル: JVCケンウッド/ビクター(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は95位でした。 メンバーの感想The End End  「桜の森」をリアルタイムで聴いた時の柔らかいワクワクが蘇ってきて普通に涙が出てきちゃった。  曲によってはスウィングしているものもあるけど、全体的に、"うねるリズムをスクエアに、でもシーケンサーではなくヒトの手で鳴らす"みたいなテーマを感じる。ディスコやファン

東欧グルーヴ 通信(2)

東欧グルーヴ通信、第2弾です。今回はユーゴスラヴィアも多めです。自著に書いた通り、ユーゴは東欧グルーヴに含めていないのですが、しばらくはこちらに載せていこうと思います。ユーゴの作品は、YU FUNKとしてディスクガイドを作りたいですね…。そんなわけで今回も10枚ほど紹介します。 1)V.A.『Pesme Titu』 (セルビア、77年 PGP RTB:LP 5315) タイトルは『チトーへの歌』。プロパガンダ番組のサントラのようだ。「蜂起」「戦いへの呼びかけ」「中央政府

和レゲエ数珠繋ぎ-第37回-

アーティスト名 思い出野郎Aチーム 曲名 そろそろ朝だよ 発売年 2023年 今回から少し形態が変わりまして…運営者である私・ケイタが書きます。当初と少し趣旨は変わりますが100回までやります。ゲストライターもたまには呼びたい。それでは早速始めます! ♨︎ 音楽レーベル・カクバリズムに所属する8人組ソウルバンド、思い出野郎Aチームの最新アルバム「Parade」の3曲目「そろそろ朝だよ」を選びました。 そもそもは最新アルバム収録以前に、コロナ下でのレコード屋支援企画として

Serphインタビュー「生きている実感を、音楽ヤバイ!という感覚をぶちこみたい」

 今や日本を代表する……と言っても過言ではない電子音楽家Serphの活動が活発だ。長年所属したレーベルnobleからの独立を表明したのが今年1月。それから別名義のAqira Klosaw、Reliqも含め、毎月1~2作のペースでなんらかの音源をリリースするという多作ぶりだ。しかもオリジナル・フル・アルバムも2枚含まれている。(太字はオリジナル・フル・アルバム) 2023/1/12 nobleから独立を表明 2023/2/1 Aqira Klosaw 『Shampoo Fli

DJ Shadow「Action Adventure」全曲解説

ベイのプロデューサー、DJ Shadowについての記事をRolling Stone JapanのWeb版に寄稿しました。 DJ Shadowは1996年にリリースした1stアルバム「Endtroducing.....」でのサンプリングベースのトリップホップ系のサウンドで高い評価を集めていますが、その後の活動もかなり興味深い試みの多いアーティストです。Rolling Stone Japanの記事では新作アルバム「Action Adventure」のリリースを機に、そのキャリア

¥100

interview Alabaster Deplume:ありのままの自分、ありのままの相手を受け入れることで作る音楽(9,600字)

僕はアラバスター・デプルームの音楽が好きなのだが、どうもそれをうまく説明することができない。 ロンドンを拠点に活動するサックス奏者で作曲家のアラバスター・デプルームは彼にしか奏でられないオリジナルな音楽を生み出している。2020年ごろからInternational Anthemと組むようになり、世界中に彼の音楽が届けられ、今やアルバムを出すごとに様々なメディアで絶賛されている。 アラバスターがリリースしてきた『To Cy & Lee: Instrumentals Vo

¥250

「クラシック音楽」は万人に「わかる」ものではない

「クラシック音楽」は、残念ながら(と敢えて言う)万人にわかるものではありません。と、『クラシック音楽ファシリテーター』という肩書きを使っている人間が勇気を持って言ってしまいます。 そもそもがキリスト教から発生した音(音楽的)現象が体系化されロジカルに整えられ、ヨーロッパの貴族社会の中でもっとも分厚く育まれ、やがて市民社会を文字通り血を流して勝ち取った人々の手によって継承されてきた成熟した文化であり、宗教観のみならず啓蒙主義思想やらロマン主義思想やら国民国家のイデオロギーやら

ジャズ入門プレイリストを作りました

「21世紀のジャズ入門」という記事を書いてから、21世紀のジャズをまとめたプレイリストを作る作業に取り掛かっていましたが、思った以上に時間が掛かってしまい、その間に20世紀のジャズ入門プレイリストが先に仕上がってしまいました。 ようやくプレイリストが揃いつつあるので、ここでご紹介するとともに、どういう視点でまとめたかというのを補足しておきたいと思います。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 まず、今回のジャズ入門プレイリストは1941年録音の

Zackey Force Funk & XL Middleton「Blue Blade Piranha」全曲解説

西海岸のラッパー兼プロデューサー、XL Middletonにメールインタビューしました。Rolling Stone JapanのWeb版に掲載されています。 XL Middletonはラッパーでプロデューサーというだけではなく、キーボードも弾きDJも行い、さらにレコードショップのオーナーでもあるという多彩な顔を持つ人物です。Gファンクから出発して現在はブギーやモダンファンクといった言葉の方が似合う音楽性に変化し、さらに2021年には変名のDelmar Xavier VIIと

¥100

Jay Deeの未発売ビート集『Another Batch』(1998)について

 以前、ジェイ・ディラ/J DillaについてA to Zのエンサイクロペディア方式で紹介した記事を作った。そちらは主に伝記的な内容で埋まってしまったので、今回は彼の音楽的特徴を凝縮した未発売のビート・テープについて紹介してみたいと思う。  ジェイ・ディラが残した生涯最高傑作は何だろうか?録音芸術としての完成度や、プロデューサーとして関わった楽曲のセールスの観点などから選んでも、いろいろな作品があげられるだろうが、現在に至るまで各所でみられる影響力という点で、1998年、彼

クロス・レヴュー 2023年11月号

『ミュージック・マガジン』誌上で1981年から続く、注目アルバム7枚について毎月4人が批評して10点満点で採点するコーナー、“クロス・レヴュー”のWEB公開を始めます。評者それぞれの聴き方の違いを楽しんでいただくもので、アルバムの絶対評価を示すものではありません。より充実した音楽生活を送っていただくきっかけの一つにしていただければ幸いです。 今月の評者は以下の4名です。 ※それぞれの評文についた○内の数字が点数です。(10点満点) CHAI『CHAI』ソニー SICX1

「TATTOO」「日常」を聴いて思う、アップデートされ続けるヒゲダンの音楽

Official髭男dismは、もう大きくなるところまで成りきってて、J-POPの世界で上り詰めあげている。 そう言われ始めて数年が経つが、そのベストスコアをちょくちょく更新してくるのが信じられない… と思っている5000人くらいの中の一人です。 最近のヒゲダン曲で特によく聴いているのが、「TATTOO」と「日常」。 「TATTOO」は、AORやR&Bに振ったサウンドが印象的で、トラック重視派としては非常に耳が嬉しかったし、藤原さんのヴォーカルワークにも、楽器の一部に寄せた